【プジョー 3008 試乗記】プジョー初の本格クロスオーバーモデル、その走りとは!?

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【プジョー】2010/08/03

 

●コンセプト&デザイン

プジョー 3008 エンブレム
 プジョーは数字を使ってモデル名を表しているが、多いのは3桁数字を使ったもの。今回の3008のように4桁数字を使うのは、既存のラインナップの枠に収まらない新コンセプトのクルマの場合。過去に1007や4007などの例がある。
3008はかなり大柄なボディを持つハッチバック車で、基本プラットホームから308系のものを使っている。SUVセダン、マルチパーパービークルなどの特徴も合わせ持つクロスオーバー車として作られた大柄なボディのモノスペース車だ。
外観デザインはフロントの大きなライオンマークがプジョー車であることを主張するほか、ブーメラン形状のテールランプなどもプジョー車らしいものだが、全体的には既存のプジョー車とは異なる無国籍車的な印象を与えるものと評価していい。
フロント回りのデザインは格子模様のグリルが大きく口を開け、前後バンパー下のアンダーガードがオフロード車らしい力強さを表現している。
インテリアはこれまでのプジョーとは違った感覚に仕上げられた。全体がドライバー中心に作られていて、助手席側はやや疎外感を感じるようなデザインとされたものの、センターコンソールの部分には助手席用のアシストグリップがデザインされている。
プジョー 3008 フロントビュー
プジョー 3008 リヤビュー
プジョー 3008 フロントマスク
プジョー初のクロスオーバーモデルとして登場した新型3008。SUVらしい力強さと、プジョーらしさを備えたフロントマスクがとても印象的だ。リヤのデザインも個性的でお洒落な雰囲気だ。

●機能&装備

プジョー 3008 ステアリング
 最低地上高は160mmなので心持ち高めといった程度。なので運転席や助手席への乗降性についてもセダンとそう変わらない。自然な姿勢で乗り降りできるのが良い。乗り込んだ運転席はドライバー・オリエンテッドのデザインによってコクピット感覚が演出されているが、サイズそのものがゆったりしているのでタイト感はない。大きなセンターコンソールを挟んだ助手席との間隔もかなり広い。
後席に乗るとさらに余裕十分といった感じの広さがある。頭上にも足元にもたっぷりした余裕があるのは、大柄なモノスペース車らしい特徴だ。後席のシートは6:4の分割可倒式で、背もたれを倒すと座面がダイブダウンしてフラットなラゲッジスペースが生まれる。
バックドアは上下2分割式になっていて、重い荷物の出し入れも容易。下側はベンチシートとして使うこともできる。またラゲッジボードは3段階の高さ調節が可能で、自在な使い勝手を実現する。
装備はESPや6SRSエアバッグなどの安全装備が全車に標準、ヘッドアップディスプレー、バックソナー、クルーズコントロール、オートヘッドライト、自動防眩ミラーなども標準で全体に充実度が高い。
プレミアムとグリフの装備の違いは、グリフに本革シート、バイキセノンディレクショナルヘッドライト、18インチアロイホイールなどが装備される点だ。

プジョー 3008 インテリア

運転席からの視界はとてもよく、狭い道でも運転しやすい。インテリアの質感もなかなかで、上質さを備えている。

プジョー 3008 リヤシート

リヤシートは頭上、足元の空間ともに十分な余裕が感じられる。大柄な男性でもゆったり快適に過ごせる。

プジョー 3008 フロントシート

シートの出来はとてもよく、長時間乗っていても疲労感は少ない。小物の収納スペースも豊富で実用性も高い。

 

プジョー 3008 メーター

シンプルで視認性に優れたメーターを装備する。中央のディスプレーには燃費などの情報を表示させられる。

プジョー 3008 ヘッドアップディスプレー

通常のメーターに加え、ヘッドアップディスプレーも装備する。視線の移動が少なく、とても見やすい。

プジョー 3008 パノラミックガラスルーフ

大きな開口部が特徴のパノラミックガラスルーフは、オープンカーのような開放感を味わうことができる。

 

プジョー 3008 ラゲッジ
プジョー 3008 ラゲッジ
プジョー 3008 ラゲッジ
ラゲッジのフロアは高さを3段階に変えられるなど、使い勝手は非常にいい。テールゲートは上下2分割式となっている。小さな荷物なら上だけ開けて入れるなど、使いやすい工夫がなされている。

●メカニズム&走り

プジョー 3008 走り
 3008はクロスオーバーではあるものの、駆動方式はFFだけで4WDの設定はない。搭載エンジンはプジョーがBMWと共同開発した直列4気筒1.6リッターの直噴ターボで、電子制御6速ATと組み合わされる。プジョー&シトロエングループの新世代パワートレーンだ。
パワー&トルクは156ps(115kW)/24.5kg-m(240N・m)の実力。このエンジンにはいくつかのチューニングがあるが、プジョー&シトロエンでは主要モデルにこの仕様を選んでいる。プジョーは少し前に308系にもこのパワートレーンを搭載したばかりで、当面はこれが主力になるとみられている。
トルク感いっぱいの実力を感じさせるエンジンがまず魅力的で、これに電子制御6速ATが組み合わされるので、走りのフィールはとても良い。これまでのプジョー車には4速ATが組み合わされていて、それもヨーロッパでの走りに合わせた変速モードになっていたりしたから、日本では必ずしも好ましい走りにならない面があったのだが、今回の6速ATの採用でこれが一気に良くなった。
段数が増えたことだけでなく、ATの変速フィールが良く磨かれていて、ショックの少ない滑らかで快適な走りを感じさせるし、十分なエンジンのトルクを6段のギアがうまく引き出すので、どんな速度域からでも滑らかで力強く、伸びのある加速を実現す。これはなかなか具合が良い。
足回りも特筆モノだ。最低地上高がやや高めの設定なので、ともすれば安定感がスポイルされかねないが、ワイドトレッドを生かしてコーナーでも安定して走りを見せる。さすがにプジョーの猫足といった感じの柔らかさはないが、フラットで安定感のある走りと乗り心地の良さがうまくバランスされた印象。この感じは相当に良いと評価しよう。
プジョー 3008 1.6リッター ターボ エンジン
プジョー 3008 シフトレバー
プジョー 3008 18インチタイヤ&アルミホイール

 

プジョー 3008 走り
プジョー 3008 走り
プジョー 3008 走り
3008に搭載されるエンジンは1.6リッターの直4ターボのみ。パワー、トルクには十分な余裕があるので、フル乗車時や高速道路、そして山道などでもパワー不足を感じることはない。6速ATはマニュアルモードもあり、スポーティな走りも楽しめる。18インチ仕様(写真)でも、想像以上にしなやかな乗り味だ。

●まとめ

 3008の問題はフロントまわりのデザインとボディの大きさ、高めの価格の3点にある。デザインに関しては好き嫌いがあるから何ともいえないが、個人的にはカッコ良いとは思えない。また全幅が1800mmを超えるボディは日本では何とも扱いにくい。全高も高いのでタワーパーキングにはまず入らない。このふたつの要素からユーザーが絞られて、かなりニッチなクルマになるのは避けられないのではないか。
価格は、新しいパワートレーンを搭載した新コンセプトのクルマとしては頑張ったと思う。ただ、フォルクスワーゲンのティグアンが2リッターターボの4WD車で371万円からの価格設定であることを考えると、プレミアムで339万円、グリフで385万円の価格は必ずしも割安とはいえない。ティグアンのベースグレードは装備で見劣りするから単純ではないが、このあたりはやや微妙なところだ。
プジョー 3008 走り
代表グレード プジョー 3008 プレミアム
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4365×1835×1635mm
車両重量[kg] 1540kg
総排気量[cc] 1598cc(ターボ)
最高出力[ps(kw)/rpm] 156ps(115kW)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 24.5kg-m(240N・m)/1400〜3500rpm
ミッション 6速AT
10・15モード燃費[km/l] 10.6km/l
定員[人] 5人
税込価格[万円] 339.0万円
発売日 2010/6/1
レポート 松下宏
写真 近藤暁史

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(レポート:松下 宏

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