【トヨタ 新型 ウィッシュ 試乗記】ダイナミックな走りと高い環境・安全性能を得てお買い得度がアップしたNEW WISH! [CORISM]
【トヨタ】2009/05/10
基本コンセプトは受け継ぎつつウィッシュらしい個性をプラスした
横長のヘッドライトやグリルがスポーティな雰囲気を演出している。3ナンバー仕様となる1.8Sは幅が広い立体的な造形のフロントフェンダーを装着している。
ウィッシュは5ナンバーサイズのボディと手頃な価格を特徴とするトヨタの小型ミニバンだ。初代モデルはホンダのストリームが大ヒットしたのを見て作られ、3サイズがストリームと全く同じというコピー商品のようなクルマだったが、今回の2代目モデルは基本コンセプトは継承しながらも、ストリームとはやや異なる特徴を持ったクルマに仕上げてきた。
外観デザインは従来のモデルを踏襲しながらも、Bピラー部分のドアサッシュをブラックアウトして、ちょっと違ったサイドビューを表現している。ただ、フロント回りのデザインなどはスポーティさや洗練さを強調してはいるものの、ライトの形がちょっと今風になった程度で変更感は薄い。Bピラー部分のブラックアウトに加えて薄型のライトになったことで、雰囲気がややエスティマ的になっている。
外観デザインは従来のモデルを踏襲しながらも、Bピラー部分のドアサッシュをブラックアウトして、ちょっと違ったサイドビューを表現している。ただ、フロント回りのデザインなどはスポーティさや洗練さを強調してはいるものの、ライトの形がちょっと今風になった程度で変更感は薄い。Bピラー部分のブラックアウトに加えて薄型のライトになったことで、雰囲気がややエスティマ的になっている。
スタイリッシュなエクステリアは3タイプも用意される!
従来の縦型から横長のデザインに変更されたリヤコンビランプ。ブレーキランプはLED式から通常のバルブ式になっている。
従来のモデルでは、ボディが2種類あった。5ナンバー登録となるベースモデルのほか、フェンダーを張り出してワイドタイヤを履いた3ナンバー車もあったからだ。今回のモデルでは5ナンバーサイズをベースに、グレードによって2種類の3ナンバーボディが用意されている。フェンダー部分を変更した程度なので大がかりな変更ではないが、3種類ものボディがあるのは珍しい。これが影響して最小回転半径は全部で4種類も設定がある。
今回のウィッシュで強調されているのは走りの楽しさだ。開発テーマをスマート・マルチ・プレーヤーとしたウィッシュだけに、使い勝手や多人数乗車だけでなく、走りの楽しさを重視して開発を進めたという。後述するダイナミックスポーツモードの設定などはその代表だと評価しよう。
今回のウィッシュで強調されているのは走りの楽しさだ。開発テーマをスマート・マルチ・プレーヤーとしたウィッシュだけに、使い勝手や多人数乗車だけでなく、走りの楽しさを重視して開発を進めたという。後述するダイナミックスポーツモードの設定などはその代表だと評価しよう。
新型ウィッシュは基本となる5ナンバーボディ(写真左)に加えて、2種類の3ナンバー仕様も用意される。2.0Zのオーバーフェンダー無しのバージョンがメイン写真の1.8Sとなる。フロント同様、リヤビューもよりスタイリッシュな印象になった。どことなくエスティマのような雰囲気も感じさせてくれる。
3列目シートの足元スペースは工夫の余地あり
飛行機の翼をイメージしたというインテリア。左右の三角窓を広くしたため、交差点などでも死角が少なく運転しやすい。
新しいウィッシュは基本プラットホームを従来のモデルからキャリーオーバーし、ホイールベースも同じ長さだ。なので室内空間の広さについても変わらない。ボディそのものは30mm長くなっているが、これは衝突安全に対応するためにフロント部分のオーバーハングが延長されたためだ。
室内の広さは運転席と2列目については特に不満がないものの、3列目についてはもうひと工夫が欲しかった。子供しか乗らないという前提なのかも知れないが、大人が座ると足の置き場に困る感じになる。2列目シートの下の空間が狭くて足が入らないし、かかとも置きにくいからだ。頭上や膝回りはともかく、足元スペースに工夫が欲しかった。
室内の広さは運転席と2列目については特に不満がないものの、3列目についてはもうひと工夫が欲しかった。子供しか乗らないという前提なのかも知れないが、大人が座ると足の置き場に困る感じになる。2列目シートの下の空間が狭くて足が入らないし、かかとも置きにくいからだ。頭上や膝回りはともかく、足元スペースに工夫が欲しかった。
フロントシートまわりは、小物の収納スペースなども充実していて使い勝手はとてもいい。内装色はブラックに加えて、明るいベージュ系も選択可能だ。2列目シートは左右別々にリクライニング&スライドが可能。またフロントシートの背もたれを薄くすることで、膝まわりなどのスペースを拡大しているのも見逃せないところ。2.0Z(写真右)は6人乗りとなり、セパレートタイプのシートとなる。
全車に横滑り防止装置とサイドエアバッグが標準だが2列目中央のシートベルトが……
もうひとつ不満だったのは2列目シートの中央に3点式シートベルトが装備されていないこと。今はまだこの仕様でも許されるが、すでに法規でもしっかり決まっていて、3年もすればこの仕様の新車は販売できなくなるのだから、今の時点で登場する新型車には当然備えて欲しい仕様だった。最上級グレードの 2.0Zにだけ独立したキャプテンシートが用意されるのは従来と変わらない。
装備はかなり充実化が進んだ。安全装備に関しては、横滑り防止装置のESC(トヨタ名はS-VSC)、SRSサイド&カーテンエアバッグが標準だし、快適装備も2リッター車にはスマートエントリー&スタートシステムやクルーズコントロール、コンライト(1.8Sも)が標準となる。
装備はかなり充実化が進んだ。安全装備に関しては、横滑り防止装置のESC(トヨタ名はS-VSC)、SRSサイド&カーテンエアバッグが標準だし、快適装備も2リッター車にはスマートエントリー&スタートシステムやクルーズコントロール、コンライト(1.8Sも)が標準となる。
3列目シートは、大人だと足の置き場に困ってしまう。2列目シートの下につま先を入れられるようにするなどの工夫が欲しかった部分だ。
メーターは視認性が良く、スポーティな雰囲気。ただ、中央のインフォメーションディスプレーは、もう少し表示が大きくてもいいかもしれない。
ラゲッジは開口部も広めで、使い勝手はとてもいい。2列目、3列目とも簡単な操作で収納できるのはもちろん、フロアが完全にフラットになるので大きな荷物も積み込みやすい。
パワートレーンを一新してさらなる低燃費を実現した
今回のウィッシュではパワートレーン(エンジンとトランスミッション)が新しくなった。従来は1.8リッターが標準エンジンで2リッターが直噴仕様という設定だった。それが今回のウィッシュでは、1.8リッター、2リッターともバルブマチック仕様になった。トランスミッションも1.8リッターが4速AT で2リッターがスーパーCVT-iだったが、今回のモデルでは全車が7速シーケンシャルモード付きのスーパーCVT-iになった。
バルブマチックはエンジンのバルブリフト機構の可変化することで、可変バルブタイミング機構のVVT-iと合わせてバルブを最適にコントロールし、低燃費と高出力を両立させるもの。トヨタ車ではノア/ヴォクシーなどに採用例がある。3列シートのウィッシュでは車両重量が重くなるだけに、この仕様の必要性が高かった。滑らかな走りと燃費に貢献するCVTも今では当然の仕様といえる。
バルブマチックはエンジンのバルブリフト機構の可変化することで、可変バルブタイミング機構のVVT-iと合わせてバルブを最適にコントロールし、低燃費と高出力を両立させるもの。トヨタ車ではノア/ヴォクシーなどに採用例がある。3列シートのウィッシュでは車両重量が重くなるだけに、この仕様の必要性が高かった。滑らかな走りと燃費に貢献するCVTも今では当然の仕様といえる。
新型ウィッシュに搭載されるエンジンは1.8リッターと2リッターのバルブマチック仕様。パワーと燃費を両立させたのが特徴で、高速道路をおとなしく走ればカタログ値(1.8リッター/FF)を越える16.1km/Lをマークするケースもある。
ミッションは全車7速マニュアルモード付きのCVTを採用。エコドライブモード(2.0Zを除く)やスポーツモード(1.8S/2.0Z)を備え、走り方にあわせて最適な制御をしてくれる。
2.0Z(写真)はダイナミックスポーツモードを採用。スイッチを押すことでCVTやトラクションコントロール、そしてステアリングの制御を変更し、このようにかなりスポーティな走りが楽しめる。また1.8SにはCVT制御のみを行なうCVTスポーツモードを搭載。
CVTの制御が洗練されて走る楽しさも大幅にアップ!
走りはけっこう元気が良い。1.8リッターエンジンは従来のモデルからの向上幅が大きく、かなり元気が良くなった印象がある。同時にCVTのフィールがグンと良く高評価である。
CVTというと、とかくエンジンの吹き上がり(タコメーターの動き)と車速の上昇(スピードメーターの動き)とが一致せず、それが違和感として指摘されることが多かったが、その違和感がかなり少なくなった。また全車とも7速シーケンシャルモード付きになって積極的なマニュアル操作が可能になったが、この操作に対するレスポンスが良くなって、キビキビした走りを実現した。このあたりが全車に通じる走りの楽しさが表現された部分といえる。
CVTというと、とかくエンジンの吹き上がり(タコメーターの動き)と車速の上昇(スピードメーターの動き)とが一致せず、それが違和感として指摘されることが多かったが、その違和感がかなり少なくなった。また全車とも7速シーケンシャルモード付きになって積極的なマニュアル操作が可能になったが、この操作に対するレスポンスが良くなって、キビキビした走りを実現した。このあたりが全車に通じる走りの楽しさが表現された部分といえる。
グレードにより15インチ、16インチ、17インチの3種類のタイヤ&ホイールが用意される。ベーシックな1.8Xのみスチール、その他のグレードはアルミホイールが標準装備される。
モードの切り替えでエコもスポーツも自由自在
さらに1.8SにはCVTパワーモードが、2.0Zにはダイナミックスポーツモードが備えられた。インパネのボタンを押してパワーモードを選択すると、エンジンの回転が高めに維持され、より力強い走りが可能になる。一人でワインディングなどを走るときには、このモードを選ぶと良い。
もうひとつのダイナミックスポーツモードは、さらにスポーティな走りが可能になる。CVTに加えて電動パワーステアリングの制御、トランスミッションの効き具合などがスポーティなものとなり、より豪快な走りが楽しめる。どうせならサスペンションやエンジンの制御まで変更したいところだが、ウィッシュというクルマの性格や使い方を考えると、いきなりそこまで行くのは無理だったようだ。
2リッターエンジンの搭載車は1.8リッターに比べるとトルクに余裕があって走りの楽しさが増すのは確か。ただ、2.0Zではダイナミックスポーツモードがあるもの、エコモードがなくなってしまう。1.8Sには両方が備えられているのに2.0Zではダイナミックスポーツモードだけになってしまうのだ。エコモードがあっても良いように思う。
もうひとつのダイナミックスポーツモードは、さらにスポーティな走りが可能になる。CVTに加えて電動パワーステアリングの制御、トランスミッションの効き具合などがスポーティなものとなり、より豪快な走りが楽しめる。どうせならサスペンションやエンジンの制御まで変更したいところだが、ウィッシュというクルマの性格や使い方を考えると、いきなりそこまで行くのは無理だったようだ。
2リッターエンジンの搭載車は1.8リッターに比べるとトルクに余裕があって走りの楽しさが増すのは確か。ただ、2.0Zではダイナミックスポーツモードがあるもの、エコモードがなくなってしまう。1.8Sには両方が備えられているのに2.0Zではダイナミックスポーツモードだけになってしまうのだ。エコモードがあっても良いように思う。
代表グレード | トヨタ ウィッシュ 1.8S(FF) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4590×1720×1590mm |
車両重量[kg] | 1360kg |
総排気量[cc] | 1797cc |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 144ps(106kw)/6400rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 17.9kg-m(176N・m)/4400rpm |
ミッション | CVT |
10・15モード燃費[km/l] | 16.0km/l |
定員[人] | 7人 |
税込価格[万円] | 209.0万円 |
発売日 | 2009/4/2 |
レポート | 松下宏 |
写真 | 和田清志 |
(レポート:松下 宏)
【オススメ記事】
- フォルクスワーゲン ポロ新車情報・購入ガイド ついに全長4m越えに! 3ナンバー化した6代目新型ポロは、1.0L直3ターボを搭載【ニュース・トピックス】
- 三菱エクリプスクロス試乗記・評価 さすが4WDの三菱! 豪快にリヤタイヤを振りだすような走りも楽しめる絶妙なS-AWCに脱帽!【レビュー】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.6】 日差リーフの実電費チェック! (一般道編)コツコツ電費を稼ぐe-Pedal【評論家ブログ : 日産リーフ】
- メルセデス・ベンツSクラス新車情報・購入ガイド 約20年振りの直6エンジンに、ISGを組みあわせた次世代エンジンを搭載!【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.5】 日差リーフの実電費チェック! (高速道路編)実電費アップは、こだわりの空力性能にあり!【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 三菱エクリプスクロス新車情報・購入ガイド スタイルに走り、装備とスキ無しの完成度を誇るコンパクトSUV。ガソリン車だけしかないことが、唯一の弱点?【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.4】 30歳代クルマ好き女性、初めての電気自動車! その評価は?【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 日産セレナe-POWER新車情報・購入ガイド ついに、シリーズハイブリッドシステムを搭載したセレナ! 5ナンバーミニバン、ハイブリッド車戦争へ加速!!【ニュース・トピックス】
- マツダCX-8試乗記・評価 際立つ運転のしやすさ! こだわりの「躍度」を雪上でチェック!【レビュー】
- 日産テラ(TERRA)新車情報・購入ガイド ナバラベースのSUV中国でデビュー! 日本への導入は?【ニュース・トピックス】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!