【アウディ A3スポーツバック 試乗記】アウディのエントリーモデルがマイナーチェンジ[CORISM] [CORISM]

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【アウディ】2008/11/18

ラインアップを一新して低燃費な走りに磨きをかけた!

 A3はアウディのエントリーモデルとされるクルマ。といってもラインナップの中にはV型6気筒の3.2リッターエンジンの搭載車まであったのだから、ボディサイズがやや小さめなのが特徴という程度に考えたらいい。ただ、今回のマイナーチェンジでV型6気筒エンジンの搭載車は設定がなくなったから、ちょっと整理が進んだ感じになった。
 アウディA3は日本に導入された当初は3ドアハッチバック車のみの設定だったが、2004年9月にスポーツバックと呼ぶ5ドアハッチバックが追加されると、これに販売が集中したため、すでに3ドア車は廃止されていた。
 今回のマイナーチェンジで登場した新しいA3のラインナップは、いずれも直列4気筒の直噴ターボ(TFSI)仕様のエンジンを搭載しており、排気量は 1.4リッター、1.8リッター、2リッターの3機種が用意された。このうち2リッターエンジンを搭載する2.0TFSIクワトロのみが4WD車となる。
 外観デザインにも手が加えられ、最近ではかなり見慣れてきたシングルフレームのフロントグリルはVラインを強調したものとなった。ヘッドライトは7個のLEDランプを内蔵した新しいデザインに変更され、リヤのコンビネーションランプも新しくなった。
 最初に試乗したのは1.4TFSIで、1.4リッターの直噴DOHCエンジンにインタークーラー付きターボを装着したモデル。パワーは 125ps(92kW)だから1.4リッターのターボ車としては平均的だが、トルクは20.4kg-m(200N・m)を発生しており、2リッターエンジン並みの性能を持つ。それを1500回転という低回転域から発生するのだから、走り出すとすぐに2リッターエンジン並みの走りが得られる。箱根の急な上り坂も元気良く登っていくので、動力性能は全く文句のないレベルと評価できる。
 このエンジンに7速のSトロニックが組み合わされている。ほかのメーカーがDSGなどと呼ぶ2ペダルで乗れるマニュアルトランスミッションで、滑らかかつ素早い変速が特徴。アクセルを踏みつけているだけで、プロのドライバーよりも早い変速操作をしてくれる。もちろんマニュアルモードを選んで積極的にシフト操作しても良い。
 今回は特に変更されていないようだが、足回りのデキの良さは相変わらず。ストローク感のあるサスペンションがしっかりした乗り味を感じさせるほか、十分な手応えがあって確実な反応を示すステアリングも上々のフィールである。
アウディ A3スポーツバック 1.4TFSI フロント

エクステリアには手が加えられ、フロントグリルなどのデザインが変更されている。質感が非常に高いのも最近のアウディに共通の特徴だ。

アウディ A3スポーツバック 1.4TFSI リヤ

デビュー当初は3ドアのみであったが、途中から追加されたアウトバック(5ドア)が好評だったため、現在ではこちらに統一されている。

アウディ A3スポーツバック 1.4TFSI フロントマスク

特徴的なシングルフレームのフロントグリルはVラインが強調された形状になった。7個のLEDが埋め込まれたヘッドランプも新デザインだ。


アウディ A3スポーツバック 1.4TFSI リヤコンビランプ

光ファイバー技術を用いたリヤコンビランプは、電球式ともLED式とも異なる独特の雰囲気が印象的だ。視認性や質感も非常に高いものとなっている。

アウディ A3スポーツバック 1.4TFSI インテリア

基本的なデザインは従来モデルと変わりはないが、質感が高く1クラス上のクルマのような雰囲気が感じられる。視界も良く広々感も十分だ。

アウディ A3スポーツバック 1.4TFSI シフトレバー

7速Sトロニックは、MT車並のダイレクト感あふれる走りとAT並のイージードライブを両立させている。変速の速さはプロドライバーも顔負け。

アウディのお家芸であるクワトロがリーズナブルな価格で楽しめる

 2リッターエンジンの搭載車は従来はFF車だったが、V型6気筒エンジンを搭載したクワトロが廃止されるのに伴い2リッター車にクワトロが設定されるようになった。これによって比較的手頃な価格でアウディの特徴であるクワトロモデルが選べるようになったわけで、これは歓迎していいと思う。ついでに書いておくなら、アウディA4にも2リッターのクワトロを早く設定してほしい。
 2リッターの直噴ターボエンジンは従来から搭載されているのと同じで、 200ps(147kW)/28.6kg-m(280N・m)の実力。クワトロになったことで、従来のFF車に比べるとボディは70kg(試乗車はオプションの装着で+100kg)ほど重くなったが、人間一人分程度の重量差は無視できるくらいの動力性能である。全く同じ条件で乗り比べたら走りに多少の違いはあるのだろうが、2.0TFSIはクワトロになっても実に良く走る。吹き上がりの良さや回転の上昇に合わせたパワーの盛り上がりなど、十分な余裕のあるとても気持ち良いエンジンであると評価できる。
 試乗車にはオプションのマグネティックライドが装着されていて、走行状態に応じて足回りの硬さが変わるので、ワインディングなどを走るのが特に楽しくなる。コーナーでのロールを抑えた安定性の高さが特筆ものだ。
 価格は1.4TFSIが299万円と300万円を切るところに設定されていて、2.0TFSIクワトロは439万円の設定。本体価格はまずまずリーズナブルながら、1.4TFSIはカーナビや本革シートなどのオプションが装着されていて車両価格ベースで368万円ほど、また2.0TFSIクワトロも541 万円ほどの仕様になっていた。カーナビなどは必需品に近いので、これらのオプションを装着することを前提にして購入予算を組む必要がある。
アウディ A3スポーツバック 1.4TFSI フロントシート

フロントシートは本革に質感も非常に高く、座り心地も快適だ。体をしっかりと支えてくれるので、長距離ドライブでも疲労はとても少ない。

アウディ A3スポーツバック 1.4TFSI リヤシート

リヤシートは大人でも十分なスペースが確保されている。人数分の3点式シートベルトとヘッドレストが標準装備されているのはいうまでもない。

アウディ A3スポーツバック ラゲッジ

5人フル乗車時でも十分広いラゲッジスペースが確保されている。リヤシートは左右分割で倒せるのはもちろん、トランクスルー機構も装備する。


アウディ A3スポーツバック ラゲッジ

後席を収納すれば、最大で1100リッターもの広大なスペースを確保することができる。大きな荷物も余裕で積み込める使い勝手の良さが魅力だ。

アウディ A3スポーツバック 1.4リッター ターボエンジン

1.4TFSIに搭載されるエンジンは1.4リッターの直噴DOHCにターボを組み合わせている。低速域から豊かなトルクを生み出し、燃費も優れている。

アウディ A3スポーツバック 2リッター ターボエンジン

2リッター直噴ターボの2.0TFSIエンジンは、今回から駆動方式がクワトロに変更された。それでいて従来のFF車並の燃費を実現してのには驚きだ。


アウディ A3スポーツバック 16インチホイール
アウディ A3スポーツバック 17インチホイール
アウディ A3スポーツバック 1.4TFSI 走り

1.4TFSI(写真左)には16インチのタイヤ&ホイールが装着される。足まわりのセッティングは相変わらず素晴らしく、しなやかで快適な乗り味を楽しめる。それに対して2.0TFSIは17インチ仕様となる。こちらはよりスポーティな走りが楽しめるのはもちろん、快適な乗り心地も犠牲にはなっていないのに驚かされる。

アウディ A3スポーツバック 2.0TFSI 走り
アウディ A3スポーツバック 1.4TFSI 走り
アウディ A3スポーツバック 2.0TFSI 走り

代表グレード アウディ A3スポーツバック 1.4TFSI
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4290×1765×1430mm
車両重量[kg] 1380kg
総排気量[cc] 1389cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 125ps(92kw)/5000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 20.4kg-m(200N・m)/1500〜4000rpm
ミッション 7速AT
10・15モード燃費[km/l] 15.8km/l
定員[人] 5人
税込価格[万円] 299.0万円
発売日 2008/9/25
レポート 松下宏
写真 佐藤靖彦

(レポート:松下 宏

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