伝統のキドニーグリルをはじめ、BMWらしいエッセンスがちりばめられた存在感のあるエクステリアデザインが印象的だ。750Liは標準ボディ(写真)に比べて全長が140mm延長されている。
名実ともにBMWのフラッグシップにふさわしい完成度が高評価!
フルモデルチェンジを受けたBMWのフラッグシップである7シリーズは、初代モデルが1977年にデビューしており、今回のモデルは5代目に当たる。一貫してラグジュアリーセダンを代表するモデルとしてのクルマ作りが続けられていて、充実した内外装の仕様を備えるとともに、先進技術を積極的に採用するなど、意欲的なクルマ作りが重ねられてきた。
これによって当初は大差のあったメルセデスベンツ Sクラスとの差も、モデルサイクルのタイミングによってはSクラスを上回るような売れ行きを示すようになり、名実とにもBMWのフラッグシップにふさわしいクルマになってきたと評価していい。
今回のモデルも、ラグジュアリーセダンにふさわしい外観デザイン、環境の時代に対応する高効率なパワートレーンの搭載、日本のユーザーにも配慮した装備や仕様などを特徴とする。
これによって当初は大差のあったメルセデスベンツ Sクラスとの差も、モデルサイクルのタイミングによってはSクラスを上回るような売れ行きを示すようになり、名実とにもBMWのフラッグシップにふさわしいクルマになってきたと評価していい。
今回のモデルも、ラグジュアリーセダンにふさわしい外観デザイン、環境の時代に対応する高効率なパワートレーンの搭載、日本のユーザーにも配慮した装備や仕様などを特徴とする。
BMWらしさを受け継いだ存在感のあるフォルム
外観デザインは、丸型ヘッドライトやキドニーグリルなどによってBMWらしさをしっかりと継承するとともに、オーソドックスな4ドアセダンでありながら新鮮なイメージを与えるものに仕上がった。大きく変わった印象があるのはフロント回りで、大きくなったキドニーグリルが高級車らしい存在感を主張する。
横から見ると基本シルエットは同じなので新型車であることがちょっと分かりにくい印象もあるが、ヘッドライトとテールランプを結ぶ形で前後に伸びるはっきりしたショルダーラインが伸び伸びしたデザインを表現している。ボディは標準ボディとロングボディが用意され、ロングボディではホイールベースを延長するとともに、リヤドアから後ろを変更している。
ひと世代前の7シリーズが登場したときに比べるとややインパクトが薄いが、BMWらしさや高級車らしい存在感は十分だ。
横から見ると基本シルエットは同じなので新型車であることがちょっと分かりにくい印象もあるが、ヘッドライトとテールランプを結ぶ形で前後に伸びるはっきりしたショルダーラインが伸び伸びしたデザインを表現している。ボディは標準ボディとロングボディが用意され、ロングボディではホイールベースを延長するとともに、リヤドアから後ろを変更している。
ひと世代前の7シリーズが登場したときに比べるとややインパクトが薄いが、BMWらしさや高級車らしい存在感は十分だ。
先代のイメージを受け継いだシルエットながら、洗練された印象を与えてくれるリヤビュー。全長が140mm延長された750Li(写真)は、さらに流麗なイメージだ。
大きくなったキドニーグリルが高級車らしいどっしりとした雰囲気をプラスしている。丸形のヘッドライトが個性的で、ウインカーはLED式を採用する。
リヤコンビランプはブレーキ、ウインカーともにLED式。サイドまで立体的に回り込んだデザインは、質感の高さも感じさせてくれる。
BMWらしいドライバー中心のインテリアデザイン
インテリアデザインもBMWらしさがしっかり継承されている。インストセンターの部分をやや運転席側に傾けたドライバーオリエンテッドのデザインは新しい7シリーズでも継承されていて、パーソナルユースを意識したデザインとされているのが最もBMWらしいと、評価していいところだ。
変わったのはシフトレバーがセンターコンソール部分に戻ったこと。従来のモデルではステアリングコラムにセレクターを設ける方式を採用したが、今回は積極的なレバー操作のしやすいセンターコンソールに戻している。その隣にダイヤル式のコマンドコントローラーが位置する形になった。
インテリア回りの雰囲気は一段と高級感がました印象だ。試乗車のうち750iにはレザー・フィニッシュ・ダッシュボードやセラミックス・フィニッシュがオプション装着されていたが、これらを含めて素材の選択から細部に至る入念な作り込みによって高級車ならではのインテリア空間が作られている。
変わったのはシフトレバーがセンターコンソール部分に戻ったこと。従来のモデルではステアリングコラムにセレクターを設ける方式を採用したが、今回は積極的なレバー操作のしやすいセンターコンソールに戻している。その隣にダイヤル式のコマンドコントローラーが位置する形になった。
インテリア回りの雰囲気は一段と高級感がました印象だ。試乗車のうち750iにはレザー・フィニッシュ・ダッシュボードやセラミックス・フィニッシュがオプション装着されていたが、これらを含めて素材の選択から細部に至る入念な作り込みによって高級車ならではのインテリア空間が作られている。
ロング仕様は驚くほど広い居住空間を実現した
ロングホイールベース車では圧倒的な広さの後席空間が確保されるが、標準ボディ車でも後席の広さは十分なもの。居住空間には何の不満もない。
快適装備は日本市場に向けた仕様がいろいろと用意されており、10.2インチのワイドコントロールディスプレーを始め、地上デジタル/ワンセグ放送TV チューナー、HDDナビゲーションなどが標準。ほかにもダコタレザーのインテリア、コンフォートアクセス、DVDチェンジャー、ヘッドアップディスプレー(740iではオプション)などが装備されている。
快適装備は日本市場に向けた仕様がいろいろと用意されており、10.2インチのワイドコントロールディスプレーを始め、地上デジタル/ワンセグ放送TV チューナー、HDDナビゲーションなどが標準。ほかにもダコタレザーのインテリア、コンフォートアクセス、DVDチェンジャー、ヘッドアップディスプレー(740iではオプション)などが装備されている。
インパネ中央をややドライバー側に向けたデザインテイストは従来と同様。本革などの質感も非常に高く、高級感は十分以上だ。
フロントシートはサイズもたっぷりあり、ゆったりとくつろげる。ホールド性が高くスポーティな走りも楽しめる形状は、いかにもBMWらしいところ。
後席のゆとりは十分で、頭上や足元のスペースも窮屈な印象はまったくない。安全性も問題なく、中央席も3点式シートベルトとヘッドレストが標準なのはいうまでもない。
ロングボディの740LIと750Liの後席は2人がけとなり、前後方向の余裕は驚くほど。それぞれの乗員向けのモニターが前席の背もたれに埋め込まれている。
メーターのデザインは他のBMW車にも共通のもの。メーター下部のオドメーターの部分は液晶モニターになっており、燃費などの情報を表示することも可能だ。
ラゲッジの広さは文句なし。奥行きも深さも驚くほどで、かなり大きな荷物でも余裕で積み込むことができる。
燃費とパワーを両立させた直噴ターボエンジンを搭載
新しい7シリーズの搭載エンジンは2機種。740i系に搭載される直列6気筒3.0リッターのパラレルツインターボと、750i系に搭載されるV型8気筒4.4リッターのツインターボの2機種。いずれも直噴仕様のDOHCエンジンにツインターボを装着したもので、大排気量化を抑えながら高性能のエンジンに仕上げるよう徹底した効率化を図っている。
ただ、直6エンジンは335iクーペから採用が始まったもので、135iにも搭載されているエンジンなので、7シリーズのエンジンが1シリーズや3シリーズと同じなのかという思いも感じる。もちろん7シリーズ専用にチューンされていて、車両重量に対応したトルクアップが図られているのだが……。
そんな風に思いながら740iに乗ったが、動力性能的にはこれで十分という印象を与えるものだった。アクセルを踏み込めば軽く300psを超える240kWのパワーと、わずか1500回転から45.9kg-m(450N・m)のトルクを発揮するのだから、2トン級のボディを持つ7シリーズとはいえ動力性能に不満があるはずがない。
750iの動力性能はさらに高いレベルにある。300kWのパワーは馬力換算では407psに達するもので、61.2kg-m(600N・m)をトルクを1750回転から4500回転にわたって発生する。軽くアクセルを踏み込むだけで、静かで滑らかかつパワフルな走りが得られるのはいかにも高級車らしい走りである。ボディの重さなどは全く感じさせない動力性能が、高い評価を得るに違いない。
ただ、直6エンジンは335iクーペから採用が始まったもので、135iにも搭載されているエンジンなので、7シリーズのエンジンが1シリーズや3シリーズと同じなのかという思いも感じる。もちろん7シリーズ専用にチューンされていて、車両重量に対応したトルクアップが図られているのだが……。
そんな風に思いながら740iに乗ったが、動力性能的にはこれで十分という印象を与えるものだった。アクセルを踏み込めば軽く300psを超える240kWのパワーと、わずか1500回転から45.9kg-m(450N・m)のトルクを発揮するのだから、2トン級のボディを持つ7シリーズとはいえ動力性能に不満があるはずがない。
750iの動力性能はさらに高いレベルにある。300kWのパワーは馬力換算では407psに達するもので、61.2kg-m(600N・m)をトルクを1750回転から4500回転にわたって発生する。軽くアクセルを踏み込むだけで、静かで滑らかかつパワフルな走りが得られるのはいかにも高級車らしい走りである。ボディの重さなどは全く感じさせない動力性能が、高い評価を得るに違いない。
740(写真左)は3リッター直6、750は4.4リッターV8エンジンを搭載する。どちらも燃費を改善するため従来より排気量が小さくなっているが、ターボで加給しているのでパワー&トルクは同等以上を発揮する。ミッションは全車6速ATを採用。変速は滑らかで効率もいいので、燃費アップにも貢献している。もちろんマニュアルモードも備え、BMWらしいダイナミックな走りも味わえる。
乗り心地とスポーツ性を兼ね備えた足まわり
乗り心地や静粛性のレベルも相当に高い水準にある。試乗した750iにはオプションでダイナミック・ドライブ(アクティブ・シャシー・コントロール)が装備されていて、ダンパーやエンジンのレスポンス、アクティブ・ステアリングの操舵フィールに至るまで、モード選択によって味付けが変えられるようになっていた。そのうちコンフォートを選ばなくても、ノーマルの状態でも十分に快適で、スポーツを選ぶとしっかりした乗り味と俊敏なレスポンスを感じさせるようになる。さらにスポーツ+を選ぶと、スポーツカー感覚のダイナミックな走りまで実現する仕組みだ。しかもモードごとに味付けを変えることができるので、ドライバーの好みに合わせた走りが可能だ。
このほかシャシーに採用されたインテグレイテッド・アクティブ・ステアリングと呼ぶ4WS機構は、操縦安定性や取り回しの良さに貢献している。時速60kmまでは前後輪が逆位相に操舵されて回頭性を良くし、時速80km以上では同位相に操舵されてレーンチェンジ時などの安定性を高めている。日本車で採用が始まった技術だが、最近では採用する日本車が少なくなっているだけに、BMWが改めて採用してきたのは注目に値すると評価していい。
このほか、操作性が向上したiDriveのコントローラーなど、新しい7シリーズは高級車としていろいろな面でとても良くできたクルマに仕上げられていた。強いていえば、センターコンソールに戻ったシフトレバーの操作感が軽すぎて、ちょっと触っただけで意図しない操作が行われることがあった点がやや気になった。このあたりの節度感はもうひと工夫が必要かと思う。
このほかシャシーに採用されたインテグレイテッド・アクティブ・ステアリングと呼ぶ4WS機構は、操縦安定性や取り回しの良さに貢献している。時速60kmまでは前後輪が逆位相に操舵されて回頭性を良くし、時速80km以上では同位相に操舵されてレーンチェンジ時などの安定性を高めている。日本車で採用が始まった技術だが、最近では採用する日本車が少なくなっているだけに、BMWが改めて採用してきたのは注目に値すると評価していい。
このほか、操作性が向上したiDriveのコントローラーなど、新しい7シリーズは高級車としていろいろな面でとても良くできたクルマに仕上げられていた。強いていえば、センターコンソールに戻ったシフトレバーの操作感が軽すぎて、ちょっと触っただけで意図しない操作が行われることがあった点がやや気になった。このあたりの節度感はもうひと工夫が必要かと思う。
18インチの大径タイヤ&アルミホイールが標準装備。740i(写真左)と750Liではデザインが異なる。
代表グレード | BMW 740i |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 5070×1900×1490mm |
車両重量[kg] | 1980kg |
総排気量[cc] | 2979cc |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 326ps(240kw)/5800rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 45.9kg-m(450N・m)/4500rpm |
ミッション | 6速AT |
10・15モード燃費[km/l] | 7.8km/l |
定員[人] | 5人 |
税込価格[万円] | 1010.0万円 |
発売日 | 2009/3/24 |
レポート | 松下宏 |
写真 | 佐藤靖彦 |
(レポート:松下 宏)
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