BMW は最近、クーペ やカブリオレ 系のボディに偶数で始まる車名を付けている。3シリーズのクーペが4シリーズになったのがその皮切りで、かつて1シリーズクーペと呼ばれたモデルは改めて2シリーズとして登場した。

この原稿を書いている時点では、すでに4シリーズのグランクーペの登場も話題となり、偶数の車名が2ドア車だけでなく4ドア車にまで広がっている。BMWのラインナップの拡充はとどまるところを知らない。

BMW220iの外観デザインは、3／4シリーズなどと似た最近のBMW顔を持つ。それぞれに微妙な違いが設けられているものの、ひと目でBMWと分かる顔である。全体的なプロポーションはロングノーズ、ショートオーバーハングのBMWらしいバランスの良さを備えたものだ。

インテリアも同様に、BMWに共通のデザイン処理が施されている。インストの中央部分をやや運転席側に傾けたドライバーオリエンテッドのデザインを採用するのがそれだ。同じ仕様なので、BMWに乗るという安心感が得られると同時に、もう少し違った雰囲気も欲しいという気分にさせられる部分でもある。

ベースグレードとなる220iクーペスポーツは、直列4気筒2000ccの直噴ターボ仕様エンジンを搭載する。このエンジンは3シリーズなども搭載されているもので、最近のBMWの定番エンジンである。動力性能は135kW／270N・mの実力を発揮する。2シリーズのボディに対して、十分な性能といっていい。

　今回は、新型車試乗のメッカともいえる箱根ターンパイクで試乗した。急な勾配の続くワインディングを軽快に駆け抜けて行くのはいかにもBMWのFRクーペらしいところ。この軽快感のあるハンドリングは何とも気持ち良いものだ。

特に感心させられたのは、コーナーでの安定性だ。2シリーズの全幅は3シリーズスポーツセダン よりやや狭いのに、トレッドは同じかやや広いくらいの幅が確保されている。このトレッドの広さと全高の低さなどがコーナーでの操縦安定性の高さにつながっている。

220iクーペスポーツの他に、M235iクーペにも試乗した。Mモデルには、直列6気筒3000ccの直噴ターボ仕様エンジンが搭載され、標準車の220iクーペスポーツとは全く異なるレベルの走りの実力を備えている。外観が一段とスポーティなものになるのに加え、搭載エンジンも240kW／450N・mを発生するのだから、走りの次元が異なるのも当然である。

M235iは、より硬めにチューンされた足回りによって操縦安定性のレベルも一段と高いものになる。ワインディングでの走りが本当に楽しいと感じられるクルマだ。

220iスポーツクーペ、M235iクーペとも、電子制御8速のスポーツATと組み合わされている。変速フィールは滑らかそのもので、Dレンジのままだと何速のギアで走っているのか分からなくなる。でも、それを気にしなくても良いくらいに滑らかな走りが得られる。

BMWのラインナップの中で、クーペボディを考えると、2シリーズの上に4シリーズが存在する。でも、この2シリーズに乗った後では、もはや4シリーズはなくても良いのではないか、そんな風に思えるクルマだった。

2シリーズには、最新の安全装備も備えられている。BMWは昨年から、一気に各モデルに追突軽減ブレーキの設定を始めたからだ。そのためもあって、価格設定は手頃とはいえない水準にあるのが難しいところ。やはりクーペの付加価値分が高めになっている印象だ。

■BMW2シリーズ価格
・220i クーペ Sport　8速AT 4,570,000円
・220i クーペ M Sport　8速AT 4,810,000円
・M235i クーペ 6速MT 6,010,000円
・M235i クーペ 8速AT 6,150,000円