もう少し攻撃的なスタイルにして欲しかった
かねてより、BMW7シリーズはセダンでありながら、運転が楽しく、しかも快適であり、人生の最後に乗りたい(勿論今直ぐにでも)クルマだと思っている。そのBMW7シリーズが今回、5代目にモデルチェンジした。日本に輸入されるのが740i(直列6気筒3リッター・最高出力326ps)と 750i(V型8気筒4.4リッター・最高出力407ps)、それぞれにロングホイールベースモデルが用意される。さらに、遅れて追加されたV型12気筒搭載の760Li(最高出力544ps)の合計5種類があり、全てのモデルはターボ付きのエンジンとなった。
最初に試乗したのは740i。エクステリアは先代モデルのイメージを継承し、更に保守的なスタイルにモデルチェンジした。エキゾースト・パイプはバンパー内蔵型となり、テールランプやトランクリッドの造形は何処かで見たことのあるようなスタイルで、私としては没個性となり残念である。
フロントはキドニーグリルでBMWだとは当然分かるが、7シリーズらしい押し出しがもっと欲しい。あまりクルマに興味が無い人が見たら”新型?”と思うかもしれない。7シリーズの多くのユーザーは社有車として購入するので、”正しいモデルチェンジ”だろうが、もう少し攻撃的なスタイルにして欲しかったというのが本音だ。
最初に試乗したのは740i。エクステリアは先代モデルのイメージを継承し、更に保守的なスタイルにモデルチェンジした。エキゾースト・パイプはバンパー内蔵型となり、テールランプやトランクリッドの造形は何処かで見たことのあるようなスタイルで、私としては没個性となり残念である。
フロントはキドニーグリルでBMWだとは当然分かるが、7シリーズらしい押し出しがもっと欲しい。あまりクルマに興味が無い人が見たら”新型?”と思うかもしれない。7シリーズの多くのユーザーは社有車として購入するので、”正しいモデルチェンジ”だろうが、もう少し攻撃的なスタイルにして欲しかったというのが本音だ。
特別感は薄らいだが、インテリアのムードはやはり格別評価
BMW7シリーズはドアノブを引いた瞬間から、3シリーズや5シリーズとはクラスの違いを実感する。ドアはアルミ製であるが重厚感が高く、ドアガラスも厚く遮音性が高い。更にシートに腰を下ろし、ドアを閉めると車内の空気は外とは異なり、高級ホテルの中に入ったと同じ様な空気を肌で感じる。運手席のシートはたっぷりしたサイズであるが他のBMW同様にホールド性が良いと評価。6速ATのセレクターはセンターコンソールに移り”普通”になった。先代のATセレクターはステアリング・コラムにあり、初めて運転する時は少々戸惑ったがエクステリアと同様に保守的になったのだ実感する。iDriveはボタンが増え、多くの人が使い易くなり、ディスプレイも10.2インチと大型ワイド液晶で画面が綺麗で見やすい。ナビゲーションは言語を英語にすると、ネイティブな英語でアナウンスがされ、更に地図の地名表示が日本語からローマ字表示に変わる凝った作りである。
BMW335iと共通のエンジンの740iは、流石に335iのような強烈なパワーは無いが、この重い7シリーズのボディでも軽々と走らせる。低速域でもレスポンス良くモリモリとトルクが出てきて試乗中にパワーの不満を感じることは無かった。
BMW335iと共通のエンジンの740iは、流石に335iのような強烈なパワーは無いが、この重い7シリーズのボディでも軽々と走らせる。低速域でもレスポンス良くモリモリとトルクが出てきて試乗中にパワーの不満を感じることは無かった。
峠道を操る感覚は、まるで"3シリーズ"
運転して一番驚いたのがハンドリングである。インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング(前後輪統合制御システム)を装備していて、従来の車速によるステアリングギヤ比の変更だけでなく、状況によりリヤタイヤを操舵し俊敏性と安定性の両立するシステムである。まるでホイール・ベースが短い3シリーズのように面白いようにコーナーを駆け抜けるが、不安定な動きはない。そしてアクティブ・スタビライザーが効果的にロールを制御する。これは「4ドアのスポーツカー」と言っていい。サスペンションはコンフォートからスポーツ・プラスまで4段階を任意に選ぶ事ができ、どれを選んでも路面の凹凸を優しく吸収し乗り心地は良いと評価しよう。
軽快さを保ちつつ安定度を増したロングホイールベース版
感銘を受けて次に750Liに乗り換える。外観は標準車と並べて見比べないと差がわからない程の自然なスタイルである。ハンドリングは標準車と同様に軽快であるが、安定感が良い意味でこちらの方が高く、私的にはロング・ホイール・ベース・モデルの方が好ましいと感じた。パワーは有り余り、どの速度域でもアクセルに軽く力を入れるだけで周囲のクルマが遙か後方に遠ざかる。
750iLの後席に座ると、オプションの左右独立型9.2インチ・ディスプレイがのフロントシート・バックに装備されていた。とても見やすく後席のiドライブを操作してナビゲーション画面、DVDやTVの画面を選べる。標準ボディでも十分広い足下は更に広く、DVDを見ながらマッサージ機能(オプション)を使うとクルマから降りたくなくなる程快適であり贅沢な空間である。
750iLの後席に座ると、オプションの左右独立型9.2インチ・ディスプレイがのフロントシート・バックに装備されていた。とても見やすく後席のiドライブを操作してナビゲーション画面、DVDやTVの画面を選べる。標準ボディでも十分広い足下は更に広く、DVDを見ながらマッサージ機能(オプション)を使うとクルマから降りたくなくなる程快適であり贅沢な空間である。
達人のパーソナルチョイスは・・・
モデルチェンジによる外観の変更は少なく感じるが、中身は先代より大きく飛躍した。スポーツカーに負けない速さと運転の楽しさがニュー7シリーズにはある。良好な居住性と充実の装備、そして高級感溢れる車内の演出。主に自分でハンドルを握る人には標準車が運転が楽しく良いだろう。一方、後ろにも乗ることもあるオーナーなら、ロング・ホイール・ベースのLiがベスト。排気量はどのモデルを選んでも十分であるが、750iは注意して運転しないと運転免許証が何枚あっても足りないだろう。試乗後750Liが欲しくなったが試乗車は車両本体価格1330万円に約300万円のオプションが装備された超高額車であり、私が最後のクルマとして乗るにはまだお金と時間が必要である。
代表グレード | BMW 750Li(4ドア・右/左ハンドル) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長・全幅・全高) | 5210x1900x1485mm |
車両重量[kg] | 2150kg |
総排気量[cc] | 4394cc |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 407ps(300kW)/5500rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 61.2kg-m(600N・m)/1750-4500rpm |
ミッション | ステップトロニック付き電子油圧制御式6速AT |
10・15モード燃費[km/l] | 6.6km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[万円] | 1330.0万円 |
発売日 | 2009年3月24日 |
レポート | 丸山 和敏 |
写真 | 佐藤 靖彦 |
(レポート:丸山 和敏)
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