軽自動車メーカーを震撼させる、ホンダ軽自動車戦略、第3のモデルがN-ONE
新型N-ONEは、ホンダの新世代軽自動車の本命モデルともいえるクルマで、相当に気合の入ったクルマ作りがなされている。ホンダは2011年の東京モーターショーで、3車種の軽自動車の投入を表明したN BOX、N BOXカスタム、N BOX+、そしてN-ONEであり、軽自動車市場のど真ん中に投入するモデルだ。
驚かされたのは、ホンダの新世代軽自動車はこれで終わりではないことだ。N-ONEの発表よりも前に行われた伊東社長の記者会見では、2015年度までの間に6車種の軽自動車を発売することが表明された。
N-ONEは、3車種目として新世代軽自動車の最後のモデルになるのではなく、N-ONEを皮切りに新たに6車種の投入が予定されているといのだ。この中には当然ながら、燃費志向を強めたライフ、オープンスポーツのビート後継モデル、1BOX系のバモスなどが含まれることになるのだろう。
ホンダの軽自動車攻勢はまだまだ続くわけで、これはこれで大いに楽しみである。
<ホンダN-ONEの人気グレードや色を分析評価! 詳しくはコチラ↓↓↓↓>
■ホンダN-ONE(エヌワン)新車情報/購入ガイド 売れてます! 1ヶ月で2万5000台、その内訳を分析評価する!
ミニからのインスピレーションは、N360譲り。質感を高めたプレミアムは、軽自動車を超えた?
話をN-ONEに戻そう。まずは外観デザインだ。ホンダではタイムレスデザインという言い方をしていた。団塊世代に懐かしさを感じさせるデザインであると同時に、若い世代には新鮮なデザインとして映るようなデザインを目指したという。
ルーフだけをボディカラーと異なる色に塗り替えるツートーンカラースタイルを設定するなど、ミニの影響を受けている部分もあるが、一般的な軽自動車とは違う独特の個性を表現したデザインである。
ちなみに、ツートーンカラースタイルは、生産ラインから外して手作業で塗装するとのことで、生産台数に制約があるため、納車までにかなり時間がかかる状態だという。
N-ONEはインテリア回りも仕上がりも、並みの軽自動車とは違うレベルにある。特にプレミアムと呼ばれるシリーズは、専用にコーディネートしたインテリアが用意され、本革巻きステアリングホイールや手触りの良さシート表皮、専用のインパネ素材などが高い質感を表現している。
プレミアムは単にデザインや素材などだけの問題ではなく、入念な防音対策を施すことによって静かな走りも実現している。走りの面での質感も高めているわけだ。
ホンダ独自のセンタータンクレイアウトを採用したパッケージングの良さは、先に発売されているN BOXなどと変わらない。N-ONEはやや全高が低くなる分だけ室内空間の容量は小さくなるが、後席に座ったときの足元空間の広さは十分なもので、座面のチップアップや背もたれを倒すことで、長尺物からかさばるものまで、さまざまな形状と大きさの荷物を積めるようになる。
運転席回りを中心に豊富な収納スペースが確保されるほか、後部のラゲッジスペース下にはサブトランクも用意されている。
F1エンジニアが創り出した意欲作
N-ONEは、走りに関しても相当に意欲的だ。開発責任者の浅木LPLは、F1エンジニアとしての経験から、ターボを装着すれば排気量が倍のエンジンに相当すると言い、660ccターボは1.3Lエンジンを搭載するフィット並みの走りが得られるという。
N-ONEには、ターボエンジンの搭載車にツアラーという名前が付けられているが、これは高速での長距離ドライブも意識してのこと。それに耐えるパワートレーンや足回りに仕上げている。
エンジンの動力性能は、先に発売されたN BOXなどと変わらないが、N BOXに比べるとN-ONEは車両重量がやや軽くなる分だけ走りが良くなり、燃費も向上している。
N-ONEの走りの良さは、ターボ仕様のエンジンを搭載したツアラーが際立っている。低速域から十分なトルクを発生するので、力強い加速感がスムーズに得られる。CVTとの組み合わせでダイレクト感は、それほどではないが、特に違和感を感じるシーンもない。
ターボ車は、ツアラーLパッケージとプレミアムツアラーLパッケージの両方に試乗した。この両モデルの間にはタイヤの違いがある。プレミアムツアラーLパッケージは15インチタイヤを履いていて、ツアラーLパッケージの14タイヤ装着車に比べると、乗り心地がちょっと硬めの印象になる。
コーナーでの安定感などは当然ながら15インチタイヤのほうが勝るが、総合的に考えたらどちらが良いかは微妙な感じ。乗り心地を考えたら14インチタイヤのほうが良いが、プレミアムの装備や仕様が欲しい人は自動的に15インチになる。
スタビライザーを持たない自然吸気のG系は、さすがに走りは今一歩
自然吸気エンジンを搭載する標準車のG・Lパッケージにも試乗したが、G系のモデルにはフロントスタビライザーが装着されていない。プレミアムの自然吸気エンジンの搭載車には装着されるのに、G系にだけはないのだ。
このため、走り出すとすぐに安定性の違いが分かる。軽めのステアリングフィールで、中央付近に少しあいまいさがあった後、舵を切るとすぐに姿勢が傾く感じになるからだ。
また、自然吸気エンジンの搭載車は、元気良く走らせようとするとエンジンを回しがちなり、その分だけエンジン音が入ってくる。プレミアムツアラー・Lパッケージなどが静粛性の面で頑張っているのに比べると、はっきりした違いがある印象だ。
予算が許せば、N-ONEはターボのプレミアムツアラーLパッケージがオススメ
N-ONEでは、ターボ仕様車のツアラーがメインといった感じであり、ターボ車を中心に考えたい。ターボ車は自然吸気エンジンの搭載車に比べると10万円以上高くなるが、走りの性能や仕様の違いなどを考えたら止むを得ないだろう。
タウンユースを中心にした日常ユースなら、自然吸気エンジンの搭載車でも十分だが、その場合でも足回りの違いを考えるとプレミアムを選んだほうが良い。
ターボ車でも、できればプレミアムを選びたい。内外装の仕様に明確な違いがあり、軽自動車的な安っぽさを感じさせないプレミアムは、コンパクトカーやミドルセダンなどからダウンサイジングするユーザーに最適のモデルといえる。
N-ONEには、さらに、各グレードにLパッケージが設定されている。サイドカーテンエアバッグなどが標準装備となるのがLパッケージで、サイドエアバッグがオプション設定されるのもLパッケージだけだ。プレミアムツアラーLパッケージには、サイドエアバッグもサイドカーテンエアバッグも標準で装備されている。
安全装備の有無につながるLパッケージは、必須の選択といえるもので、プレミアムツアラーLパッケージとなると、FF車でも153万円になり、その上でツートーンカラースタイルを選ぶとさらに5万円ほど高くなる。
欲を言ったらきりがないという感じなので、自分の予算に合わせてグレードを決めるしかないのだが、予算に余裕があるなら、最上級グレードがイチ推し。前述の15インチタイヤだけがわずかに気になる点だ。
N-ONE価格、スペック 燃費など
<ホンダN-ONE価格>
■N-ONE
G FF 1,150,000円 4WD 1,270,000円
G 2トーンカラースタイル 1,207,750円 4WD 1,327,750円
G・Lパッケージ FF 1,240,000円 4WD 1,360,000円
G・Lパッケージ 2トーンカラースタイル FF 1,297,750円 4WD 1,417,750円
Tourer FF 1,230,000円 4WD 1,350,000円
Tourer 2トーンカラースタイル FF 1,287,750円 4WD 1,407,750円
Tourer・Lパッケージ FF 1,370,000円 4WD 1,490,000円
Tourer・Lパッケージ 2トーンカラースタイル FF 1,427,750円 4WD 1,547,750円
■N-ONE Premium
Premium FF 1,360,000円 4WD 1,480,000円
Premium 2トーンカラースタイル FF 1,417,750円 4WD 1,537,750円
Premium・Lパッケージ FF 1,390,000円 4WD 1,510,000円
Premium・Lパッケージ 2トーンカラースタイル FF 1,447,750円 4WD 1,567,750円
Premium Tourer FF 1,440,000円 4WD 1,560,000円
Premium Tourer 2トーンカラースタイル FF 1,497,750円 4WD 1,617,750円
Premium Tourer・Lパッケージ FF 1,530,000円 4WD 1,650,000円
Premium Tourer・Lパッケージ 2トーンカラースタイル FF 1,587,750円 4WD 1,707,750円
代表グレード | ホンダN-ONE G・Lパッケージ |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 3,395×1,475×1,610mm |
ホイールベース[mm] | 2,520mm |
トレッド前/後[mm] | 1,305/1,305mm |
車両重量[kg] | 840 |
総排気量[cc] | 658cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 43(58)/7,300 |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 65(6.6)/3,500 |
ミッション | CVT |
タイヤサイズ | 155/65R14 |
JC08モード燃費 | 27.0km/L |
定員[人] | 4人 |
税込価格[円] | 1,240,000円 |
発表日 | 2012/11/1 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | 編集部 |
【関連記事】
- ホンダN-ONE(エヌワン)新車情報/購入ガイド 売れてます! 1ヶ月で2万5000台、その内訳を分析評価する!
- ホンダN BOX +(エヌボックス プラス)新車情報 軽自動車でも、一家のファーストカーになる! クラスの枠を超えたスペースユーティリティ性能
- ダイハツ ムーヴ/ホンダN BOX 迷ったらコレを買え! 自動車評論家 松下 宏が選ぶ「今、お勧めの軽自動車」【軽自動車新車購入術】
- 燃費よりもパワー優先? Nシリーズの第1弾軽自動車【新型ホンダN BOX(エヌボックス)新車情報】
- ホンダN BOX+(エヌボックスプラス)新車試乗評価 驚きの積載性能を実現したミラクル軽自動車
- クラスナンバー1スペックで勝負する、オススメ スパーハイト系軽自動車【ホンダN BOX試乗評価】
- ホンダ新車情報/購入ガイド一覧
- ホンダ試乗評価一覧
- 新型ダイハツ ムーヴ新車情報・バイヤーズガイド 高い安全装備スマートアシスト搭載したムーヴ参戦で、ダイハツVSスズキVSホンダ三つ巴の軽自動車戦争へ
- スズキ ワゴンR/ワゴンRスティングレー新車情報/購入ガイド エネチャージで発電エコカー!
- 新車情報・新車試乗評価CORISM
【オススメ記事】
- フォルクスワーゲン ポロ新車情報・購入ガイド ついに全長4m越えに! 3ナンバー化した6代目新型ポロは、1.0L直3ターボを搭載【ニュース・トピックス】
- 三菱エクリプスクロス試乗記・評価 さすが4WDの三菱! 豪快にリヤタイヤを振りだすような走りも楽しめる絶妙なS-AWCに脱帽!【レビュー】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.6】 日差リーフの実電費チェック! (一般道編)コツコツ電費を稼ぐe-Pedal【評論家ブログ : 日産リーフ】
- メルセデス・ベンツSクラス新車情報・購入ガイド 約20年振りの直6エンジンに、ISGを組みあわせた次世代エンジンを搭載!【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.5】 日差リーフの実電費チェック! (高速道路編)実電費アップは、こだわりの空力性能にあり!【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 三菱エクリプスクロス新車情報・購入ガイド スタイルに走り、装備とスキ無しの完成度を誇るコンパクトSUV。ガソリン車だけしかないことが、唯一の弱点?【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.4】 30歳代クルマ好き女性、初めての電気自動車! その評価は?【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 日産セレナe-POWER新車情報・購入ガイド ついに、シリーズハイブリッドシステムを搭載したセレナ! 5ナンバーミニバン、ハイブリッド車戦争へ加速!!【ニュース・トピックス】
- マツダCX-8試乗記・評価 際立つ運転のしやすさ! こだわりの「躍度」を雪上でチェック!【レビュー】
- 日産テラ(TERRA)新車情報・購入ガイド ナバラベースのSUV中国でデビュー! 日本への導入は?【ニュース・トピックス】
【関連記事】
- ホンダN-ONE VS 日産 デイズ ハイト系軽自動車比較評価【対決】
- ホンダN-ONE試乗記・評価 価格は高いが、満足度も高い走行性能【ホンダ】
- ホンダN-ONE新車情報・購入ガイド 外板パネルは流用なのに、想像を超えた価格アップ!【ホンダ】
- ホンダN-ONE新車情報・購入ガイド マイナーチェンジで個性と上質感はアップしたものの、安全装備は進化無し!【ホンダ】
- ホンダN-ONE(エヌワン)新車情報・購入ガイド 個性に磨きをかけろ! N360をモチーフにした限定車 「SSネオクラシックレーサーパッケージ」投入! [CORISM]【ホンダ】
- ホンダN-ONE新車情報・購入ガイド 上質なスポーティさと上品な気品さを誇る2つの個性派特別仕様車が登場 [CORISM]【ホンダ】
- ホンダN-ONE(エヌワン)新車情報・購入ガイド 苦戦するプレミアムな軽! ローダウンモデルで立体駐車場に対応! さらに、カスタマイズモデルのモデューロXを追加しスポーティなイメージを鮮明にアピール! [CORISM]【ホンダ】
- ホンダN-ONE(エヌワン)新車情報・購入ガイド プレミアムな軽自動車、マイナーチェンジで燃費・安全性能大幅熟成! [CORISM]【ホンダ】
- 【東京オートサロン2013で見つけたこの1台!その4】クルマがドレスアップしてくれと叫ぶ!? GRMNヴィッツ ターボコンセプト [CORISM]【イベント・モーターショー】
- ホンダN-ONE VS ダイハツ ムーヴ カスタム「おすすめの軽自動車とは?」 【軽自動車比較評価/新車バイヤーズガイド】 [CORISM]【対決】
【オススメ記事】
- ホンダWR-V試乗記・評価 大満足か後悔か? 成功か失敗か? 見極め重要なコンパクトSUV【ホンダ】
- 日産エクストレイル(T33型)vs トヨタ ハリアーハイブリッド(80系)徹底比較!【対決】
- 日産フェアレディZ新車情報・購入ガイド 2025年モデルが登場! 納期は? 転売ヤー対策は?【日産】
- BMW M2クーペ(G87)試乗記・評価 「サーキットで乗ってみたい!」クルマ好き女子が試乗!【BMW】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、栄えある10ベストカーが決定! 今年のナンバー1は、どのクルマに!?【イベント】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、ノミネート車31台が決定!【イベント】
- マツダCX-80試乗記・評価 すべてに大人の余裕を感じた国内フラッグシップ3列SUV【マツダ】
- 三菱 アウトランダーPHEV新車情報・購入ガイド 大幅改良&値上げ。それでも、コスパ高し!!【三菱】
- スズキ フロンクス試乗記・評価 価格、燃費値を追加。欧州プレミアムコンパクトに近い上質感【スズキ】
- 日産セレナAUTECH SPORTS SPEC新車情報・購入ガイド 走りの質感を大幅向上した特別なモデル【日産】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!