ミニ John Cooper Works(ジョン クーパー ワークス)シリーズ試乗評価 すべての人にミニJCWの楽しさを! 6速AT&新エンジンを搭載。
ミニ John Cooper Works(ジョン クーパー ワークス)シリーズ試乗評価の目次
多彩なボディバリエーションを誇るミニ。最もホットなジョン・クーパー・ワークスに6ATが設定され、誰もが高性能を楽しめるようになった!
個性的で可愛いスタイルのMINI(ミニ)ブランドの車種が広がっている。ボディスタイルは伝統のハッチバック・スタイルのワン、開放的なコンバーチブル、クラブマン、4枚ドアと4WDモデルのクロスオーバー、2人乗りのクーペ、クーペをベースにしたロードスターと6種類もある。それぞれのボディに高性能モデルのクーパーSをラインナップしていたが、今回クロスオーバーにもハイ・パフォーマンス・モデルのミニJohn Cooper Works(ジョン・クーパー・ワークス)を追加。さらに、6速MTだけでなく、全てのモデルにAT車も追加した。因みにこのモデル名の由来であるジョン・クーパーと言う人物は、F1チームでの活躍やミニをチューニングし、雪のモンテカルロ・ラリーを制した伝説の名前である。
John Cooper Worksの高性能を知るには、打って付けのミニサーキットを中心とした試乗会場。しかし前々日に異例の大雪が降り、サーキットは一面、銀世界となりコース上は雪こそ無いがウェットで、一部は水溜まりがある最悪のコンディション。
最初の試乗車は、ベーシックボディの従来からあるミニJohn Cooper Works(6速MT)。オプションのレカロ・スポーツ・シートが装備されたインテリアは高性能の匂いが漂っている。スタートスイッチを押し早速サーキットからの試乗。
コース長2.43kmのテクニカルなコースではあるが、ミニサーキットとしてはコース幅が広く、多少無理な事をして失敗してもコース内に留まれそうなので、滑り易い路面でもアクセルを思い切って踏める。正確に言うとミニだから躊躇無くアクセルを踏めた。剛性感に満ちたハンドル、前輪駆動でありながらサーキットで走っていて、それを意識する事がない。
新エンジンが搭載されたミニ ジョン・クーパー・ワークス
今回、新型エンジンが搭載された。エンジン形式はN16からN18に変更され、直噴、バルブトロニック、ブレーキ回生システムが採用。MTモデルはエンジンのスタート・ストップ機能を搭載し、高効率化により高性能と環境性能の改善を図った。1.6L直列4気筒ターボチャージャー付きのエンジンは、211psの最高出力と260Nmの最大トルクを発生する。特筆すべきは最大トルクの回転数で1,850〜5,600rpmの広い範囲で得る事が出来る。
高いギヤでも2,000rpmを越えると、しっかり加速をしてアクセルをそのまま踏み続ければ3,000rpmからは一気に回転計の針が急上昇しレッドゾーンに到達する。低い回転数から得られる高トルクは一般道では乗りやすさに繫がり、シフトチェンジをしなくても高いギヤでそのまま走りきれる場面が多く、AT車に準ずるイージーなドライブが可能である。
さらに、オーバーブースト機能により2,000rpmから5,200rpmにおいて最大トルクは280Nmまで高くなり、とても速くサーキットでもこれ以上のパワーは怖くてアクセルは踏めないだろう。
ボディ剛性は高く、高出力エンジンのパワーをしっかり受け止める。ロールは少なく、それでいてホイールベースは2465mmと軽自動車のダイハツ・ムーヴ2455mと大差ないのに乗り心地はとても良い。
ステアリングを切ると、自分を中心にクルマが旋回するカート感覚のハンドリングも楽しい。また、旋回中にアクセルを踏んでもトルクステアは意識することは殆ど無く、前輪駆動車を運転している感覚は少ない。
ハンドルを切れば素直に旋回を始め、前輪駆動車でありながら、こんなに滑り易い路面でも運転が楽しいクルマはあまりない。車両重量が1200kgと現代のクルマでは比較的軽量、そしてコンパクトなサイズも運転が楽しめる一因である。このサーキットであれば、BMW M3に勝るとも劣らないだろう。
履いていたタイヤはコンチネンタル・タイヤのSport Contact 3、205/45 R17。ウエットでもグリップ力が高いだけでなくコントロール性能が良い。良いクルマとタイヤ、その安心感から高いスピードでコーナーに進入し、何度もオーバーステアになりDSC助けを借りながらも運転を楽しめた。15分間のサーキット試乗を終えてピットに帰ってきてもブレーキ・ペダルのタッチは最後まで変化はなく、ドアを開けた時にタイヤが溶けた匂いが漂うだけであった。
サーキットでも大差なしのATモデル
次に試乗したのがクーペ・モデルのJohn Cooper Worksの6速ATモデル。レカロ・スポーツ・シートなど魅力的な約100万円のオプションを含めると、550万円オーバーとなる試乗車。価格はBMW320dより高い。しかも2シーター・モデルであり、4人乗車可能なMINI John Cooper Worksより30万円高いのは「如何な物か」と理性で考えるが、MINIの愛くるしいスタイルに強いスパイスを効かせたルーフが特徴のクーペ・スタイルに気持ちが揺れる。
その乗り味は、よりクイックでスポーティなため、てっきりサイズが小さいのかと思ったら4シーター・モデルと同じだった。6速ATはサーキットをMT車と同様に楽しめ、むしろ本格的にサーキットを攻めないならAT車の方がステアリングに集中出来て良い。
ハンドルと一緒に動くパドルシフトを使う事も出来るが、どの回転数でも豊富なトルクが湧き出るエンジンのためDレンジでもMTモードでも速さに大差はない。ロールもより小さく硬めな乗り心地で平均ラップ、そしてストレートエンドのスピードも速い。クーペ・モデルを選択した方がよりJohn Cooper Worksの神髄に触れる事が出来るだろう。
両モデルとも一般道でも運転が楽しく、扱いやすさは同等。MTモデルでもトルクのあるエンジンのおかげで、最小限のギヤチェンジでAT車並のイージー・ドライブが可能である。また、アイドリング・ストップ機能はMT車にしか装備されていないので、購入時にMT車にするかAT車にするか悩むが、どちらを選んでも楽しさと実用性は大きな違いは無い。
2人乗りと完全に割り切った超ホットモデル、ミニ ジョン・クーパー・ワークスGP
ミニ史上最速モデルのミニJohn Cooper Works GPを最後に試乗した。全世界2,000台の限定生産で、その1割の200台が日本に輸入される。専用のサンダー・グレーのボディ・カラー、フロント・バンパーにはブレーキ・ダクトが追加され、リアには大型のカーボン・ウイングとリヤ・バンパーにはディフューザー、専用の17インチ・ホイールとスポーツ・タイヤも採用されていて、一目で「タダモノでない」雰囲気である。
インテリアはレッド・ステッチがカッコいい専用のレカロ・シートと、リヤ・シートが無い換わりにバーが左右に横断しボディ剛性を高めている。エンジンは更に7ps向上し、専用サスペンション、スポーツ・ブレーキ・システムも装備されている。
とても期待してサーキット試乗をしたが、スポーツ・タイヤがウェット・コンディションでは仇となり、トルクが高まるとホイール・スピンが始まり、水膜が厚いとハイドロプレーニング現象も起きて、GPモデルの能力を確かめる事が出来なかった。次回はドライ・コンディションで試乗をしたいがエンジンが更に強力なのは体験出来た。
ミニと一言で言ってもボディ・バリエーションが豊富で、John Cooper WorksはATも選択出来るようになり誰にでも高性能を楽しめるようになった。ミニ愛好者の悩みは増えたが、どのモデルを選んでも楽しい。さらに、豊富なオプションパーツにより、自分だけミニに仕上げることができるのもミニの魅力でもあるだろう。
<ミニ ジョン・クーパー・ワークス価格>
・MINI John Cooper Works 6速MT ¥3,900,000/6速AT ¥4,030,000
・MINI John Cooper Works Convertible 6速MT ¥4,400,000/6速AT ¥4,530,000
・MINI John Cooper Works Clubman 6速MT ¥4,170,000/6速AT ¥4,300,000
・MINI John Cooper Works Coupé 6速MT ¥4,260,000/6速AT¥4,390,000
・MINI John Cooper Works Roadster6速MT ¥4,510,000/6速AT ¥4,640,000
代表グレード | ミニ ジョン・クーパー・ワークス スペック |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 3,745×1,685×1,430 mm mm |
ホイールベース[mm] | 2,465mm |
トレッド前/後[mm] | 1,230/1,450mm |
車両重量[kg] | 1,230kg |
総排気量[cc] | 1,598cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 155(211)/6,000 |
エンジン最大トルク[N・m/rpm] | 260(オーバーブースト時280)/1,750-5,500 |
ミッション | 6速AT |
タイヤサイズ | 205/45R17 |
JC08モード燃費 | 16.3km/L |
定員[人] | 4人 |
税込価格[円] | 4,030,000 円 |
発売日 | 2012/10/23 |
レポート | 丸山和敏 |
写真 | 編集部 |
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