三菱アウトランダー試乗評価 大幅軽量化で洗練度が大幅アップ!

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【三菱】2012/12/28

 

 

前モデルをベースとした、正常進化

三菱アウトランダー 顔

 しばらく新型車を発売できない状況にあった三菱 から、今年はミラージュ の発売に続いてアウトランダー がフルモデルチェンジ車が登場した。

SUV は日本ではあまり売れていないが、先進国から新興国まで世界的に良く売れているタイプであり、日本のメーカーも昨年から今年にかけてCR-VCX-5フォレスター など、次々に新型車を投入している。そんな中でアウトランダーは三菱にとって期待の新型車だ。

2005年10月に発売された初代アウトランダー(その前のモデルはエアトレックと呼ばれた)は、V型6気筒2.0Lと直列4気筒2.4Lのエンジンを搭載していたが、その後バリエーションの変更を受け、最終的には4気筒2.0LのFF車を中心に2.4Lの4WD車も設定するようになっていた。

新型車では、2.4Lの4WD 車を中心に2.0LのFF車もあるというバリエーションに変更し、改めてグレードアップを図っている。

ボディは全長がわずかに長くなったものの、1800mmに達していた全幅や全高は同じ数値であり、キャリーオーバーした基本プラットホームをベースに正常進化したクルマといえる。

基本パッケージングが変わらないため、外観デザインも従来のイメージを継承していて、その意味でも正常進化といえる。もちろん、外観だけでなく内装も含めて質感の向上が図られている。

技術的には、大幅な軽量化とオートストップ&ゴー(AS&G、アイドリングストップ機構)などによる燃費の向上や、e-アシストと呼ぶ安全装備の採用などがポイント評価となる。

三菱アウトランダー フロントフェイス
三菱アウトランダー リヤレンズ
三菱アウトランダー ホイール

 

三菱アウトランダー リヤスタイル
FFで2Lの20Gには、e-アシストをオプションで装着することができない。今のところ4WD用の制御しかないという。せっかくの安全装備なのだから、全グレードに付けられるようするべきだろう。

すべてが洗練され、完成度は大幅アップ!  燃費性能は安心できる状態ではない

三菱アウトランダー 2.4Lガソリンエンジン

14.4km/Lの燃費性能をもつ2.4Lエンジン。アウトランダーには、クリーンディーゼルエンジン搭載を望む声が強いが、アウトランダーPHEVと価格的にも顧客の奪い合いになることを避け、今のところPHEVの販売状況を静観中だという。投入は容易なので、マーケットの声とPHEVの販売次第だろう。

 試乗したのは上級グレードの24GナビパッケージをベースにS-AWCやAYCなどの駆動系オプションを装着したモデルだ。

搭載エンジンは2.4Lの排気量は変わらないが、エンジンのヘッド部分がDOHCからSOHCに変更され、動力性能は数値的にはほんのわずかながら下がった。それで走りが鈍くなったかといえば、逆にむしろ良くなっている。これは車両重量がざっと100kgほど軽量化されたためで、スムーズに発進していく。

CVTも従来のものと変わらないが、制御などの部分では当然ながら進化が図られていて、これもスムーズな走りに貢献するとともに、パドルを操作して積極的な走りを楽しむときのレスポンスなども良くなっていると評価したい。

パワートレーンに関しては、余裕十分というほどではないが、必要十分な性能を備えているといっても良いだろう。

今回のモデルから、ECOモードを備えるようになり、これをインパネのボタンを押して選択すると、ラフなアクセル操作をしてもスロットルを抑えて穏やかな走りとするなど、標準状態とは明確に異なる走りになる。

クルマが停止したときのアイドリングストップ機能は、再始動時の振動や騒音も良く抑えられていて、まずまずの満足度。ほかの三菱車にはすでに採用されているが、アウトランダーでは今回のモデルが初の採用だ。

ボディの軽量化などと合わせ、燃費は旧型モデルの12.4km/Lから14.4km/Lへと大幅な改良が図られている。ただ、このクラスには燃費と動力性能のバランスに優れたSKYACTIVエンジンを搭載するマツダのCX-5があり、さらに後から登場してきたフォレスターもアウトランダーの燃費を上回っているから、安閑としていられる状態ではない。

楽しく安定性の高い走りに好感度MAX! 三菱のぶつからないクルマeアシストには、さらなる進化を期待したい

三菱アウトランダー インパネ

 走りで好感が持てたのはS-AWC(スーパー・オール・ホイール・コントロール)の効き具合だ。三菱が昔から得意とする先進的なシャシー技術を採用したもので、AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)と合わせてワインディングでの走りがとても安定したていた。

電動パワーステアリングやブレーキなどを総合制御することで、コーナリング時の接地性を良くして安定した姿勢と走りでワインディングを走らせることができる。やや大柄なボディであるのに、箱根の山道を走らせるのが楽しいといった感じだった。

左右輪への駆動力配分はインパネ内のインジケーターに表示されるが、それがインパネ中央に配置されているため、ステアリングを切ったときにその影に隠れてしまうのはやや難点。操舵時に効果を発揮する機能なのに、操舵中に確認するのが難しいからだ。高速レーンチェンジ程度の操舵量なら、効き具合とそれによる落ち着いた挙動が確認できる。

この他、遅ればせながらe-アシストと呼ぶレーダークルーズコントロール、横滑り防止装置(ASC)、車線逸脱警報、追突軽減ブレーキなどをセットにした先進安全装備が用意された。他のメーカーではさらに進化した仕様も用意しているだけに、これで喜んでいるわけにはいかないが、三菱車も追いついてきたのは確かである。

三菱アウトランダー メーター
三菱アウトランダー シフトノブ
三菱アウトランダー ステアリングスイッチ

 

 

 

アウトランダーに搭載されたe-アシスト解説ムービー

松下 宏がオススメする三菱アウトランダーの購入ガイドとは?

 新型アウトランダーの価格は、ちょっと高めの印象。4WD車はベースグレードの24Gで270万円弱の設定で、安全装備やカーナビなどを装着したナビパッケージ装着車は310万円になる。2.0Lエンジンを搭載したFF車の価格が240万円を超えていることも含め、価格的にはちょっと高めの印象があると評価しよう。

現実的な選択肢は、24Gに前述のe-アシストなどを装着したセーフティパッケージ装着車で、これが280万円弱の設定。オプションはS-AWC&AYCが8万4000円なので、これを装着すれば良い。

電動ガラスサンルーフや本革シート、木目調パネルなどは、それぞれに30万円ずつの価格が設定された高価なオプションなので、これらは選択しなくて良いと思う。

三菱アウトランダー フロントシート
三菱アウトランダー リヤシート

三菱アウトランダー 3列目シート

狭いが3列目シートが用意され7人乗車が可能なのもアウトランダーと特徴のひとつ

 

三菱アウトランダー ラゲッジスペース

3列目シートを使用時のラゲッジスペース
三菱アウトランダー ラゲッジアンダートレイ

三菱アウトランダー

3列目シートは、スッキリとフロア下に収納。広大なラゲッジスペースが出現する

 

三菱アウトランダー 価格 燃費 スペックなど

<三菱アウトランダー価格>
・20G 2WD 2,427,000円
・24G 4WD 2,692,000円
・24G Safety Package 4WD 2,787,000円
・24G Navi Package 4WD 3,100,000円

代表グレード 三菱アウトランダー24G 4WDスペック
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,655×1,800×1,680mm
ホイールベース[mm] 2,670mm
トレッド前/後[mm] 1,540/1,540mm
車両重量[kg] 1,520kg
総排気量[cc] 2,359cc
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 124(169)/6,000
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 220(22.4)/4,200
ミッション CVT
タイヤサイズ 225/55R18
JC08モード燃費 14.4km/L
定員[人] 7人
税込価格[円] 2,692,000 円
発売日 2012/10/25
レポート 松下 宏
写真 編集部

 

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(レポート:松下 宏

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