日産スカイライン ハイブリッド新車試乗評価 走りのスカイライン復活を感じさせる先進のハイブリッド&ステアバイワイヤ技術

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【日産】2014/05/22

 

 

日本のことを忘れてしまった、日本を代表するセダン

日産スカイライン ハイブリッド

スカイライン といえば、日産 を代表するブランド。今でもスカイラインというだけで支持するユーザーも多い。根強いファンを持つクルマである。そのスカイラインが、ハイブリッド システムを搭載してフルモデルチェンジした。

スカイラインとともに齢を重ねてきたオールドファンからすると、新しいスカイラインは本当に遠くに行ってしまったようにも思える。日産(元々はプリンスだが)スカイラインではなく、インフィニティ のエンブレムを付けたスカイラインになったのは、その象徴だ。

もはや、日本国内向けに売るクルマではなく、アメリカや中国などの大市場でインフィニティQ50として販売され、ヨーロッパのプレミアムブランドと競合するクルマに仕立てられているからだ。このあたりは、最近の日産のクルマ作りのダメさを加減を象徴する部分である。まあ、ティアナ ほどひどくはないが・・・。

日産スカイライン ハイブリッド
日産スカイライン ハイブリッド
日産スカイライン ハイブリッド

 

 

全幅は1,800mmを超えてが、高級セダンらしい堂々としたスタイリングが魅力的

 新型スカイライン ハイブリッドのボディサイズは、タブーともいえる1800mmを超えていて、日本市場をあまり考慮していないクルマであることを端的に示している。何より、国内での月販目標台数がわずか200台というのに驚かされた。ほとんど売る気がないかのような設定である。もっとも、日本にはまだスカイライン信者がたくさんいるようで、発売前の現車を見られない段階でその20倍くらいの受注を集めたというのだから、スカイラインのブランド力は凄い。

外観デザインはけっこう良い。堂々たるサイズの高級セダンであることが、しっかり表現されている。ボディサイズを拡大したことで、デザイナーに与えられた余裕も大きくなったことが、デザインの良さにつながったのだろう。同様の例は、アテンザ などにも見られる。

インテリアもスポーティさや高級感をうまくまとめている。走りに関しては、BMW3シリーズ をベンチマークにしたようだが、インテリアに関しては3シリーズを大きく超える高級感を持つ。このあたりは車格の違いからくるものだ。

ただ、走り出そうとした瞬間、足踏み式パーキングブレーキを採用していることに気づいた。おいおいこれでプレミアムセダンだと言い張るのかよ、そんな風に思わせる部分である。今どきの欧州車は、フォルクスワーゲンゴルフ などのクラスでも電気式パーキングブレーキが常識になっている。まあBMW3シリーズは、ハンドブレーキタイプだが・・・。

後席は、ドアの開口部があまり大きくなくて乗降性がもうひとつの上、大柄なボディの割には室内空間は広くはない。前席優先のアメリカ向けといったイメージなので、中国向けには厳しい面があるかも知れない。

さらに、後席の後方に電池を搭載することから、トランクの容量はあまり大きくない。パズルをはめ込むように工夫すれば、ゴルフバッグが4個積めるというが、ゴルフに行くにはほかの荷物も必要なので、2人がちょうど良くて3人が限界だろう。

日産スカイライン ハイブリッド

 

 

 

 

圧倒的なパワーと低燃費を実現したハイブリッドシステム。メルセデス・ベンツ製直4エンジン搭載車にも期待

 新しいスカイラインは、取り敢えずハイブリッド車だけでデビューした。2014年5月26日には、メルセデス・ベンツ 製の2.0L直噴ターボ仕様エンジンを搭載したガソリン車が投入される予定である。

ハイブリッドシステム自体は、フーガから採用が始まった日産独自の1モーター2クラッチのシステムだが、新型スカイラインへの搭載に合わせてリファインが進められている。燃費の良さを追求するというより、パフォーマンスの良さを追求するタイプのハイブリッド車である。

試乗会が開かれた大磯ロングビーチ駐車場には、思い切り発進加速を試せるコースが設定されていて、スタンディングの状態からアクセルをいっぱいに踏み込むと、最初はモーターだけで力強く走り出し、すぐにエンジンが始動してさらに力強い加速が得られる。こうした特設コースでなければ試せないくらいの豪快な加速だ。

搭載されるV型6気筒3.5LのVQ35HR型エンジンは、225kW/350N・mのパワー&トルクを発生し、これに50kW/290N・mを発生する電気モーターが加わるのだから、力強い加速も当然である。

システムとして発生できる最高出力は単純な足し算ではなく、268kW(364ps)とのことだが、それだって半端な数字ではない。

 

 

日本では圧倒的なパフォーマンスをが使いきれない?

日産スカイライン ハイブリッド

 高速クルージングなども余裕十分で、7速ギアを使えば時速80kmは1200回転ほどでこなすし、時速100kmでも1500回転くらいだ。ただ、このあたりにも日本向けが熱心に作られていないことが表れていて、Dレンジのままだと時速80kmでは7速に入らない5速ギアを使って走っていたりする。それだと1600回転くらいだ。

同様に7速ギアには時速100kmでやっと入るかどうかである。日本の制限速度や道路交通環境を考えたら、80kmで7速ギアが使えるような設定にして欲しいところ。海外向けに作って、そのままに仕様を日本で売るのはとんでもない。

クルージング中にアクセルを抜くと、すぐにエンジンが停止してモーター走行に入る。フーガ よりもモーター走行に入りやすくなった感じがあり、そこから急な加速が必要になってアクセルを踏み込んだときのショックなどもうまく抑えられている。ハイブリッドシステムの洗練度が高められたのが分かる。

日産スカイライン ハイブリッド
日産スカイライン ハイブリッド
日産スカイライン ハイブリッド

 

日産スカイラインハイブリッド価格、燃費、スペックなど

日産スカイライン ハイブリッド

■新型日産スカイラインハイブリッド価格、スペックなど
●2WD
・350GT HYBRID  4,624,560円
・350GT HYBRID Type P 5,002,560円
・350GT HYBRID Type SP 5,415,120円
●4WD
350GT FOUR HYBRID 4,905,360円
350GT FOUR HYBRID Type P 5,283,360円
350GT FOUR HYBRID Type SP 5,695,920円

代表グレード 日産スカイライン 350GT HYBRID Type SP
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4,800×1,820×1,440mm
ホイールベース[mm] 2,850mm
トレッド前/後[mm] 1,535/1,560mm
車両重量[kg] 1,800㎏
総排気量[cc] 3,498cc
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] 225〈306〉/6,800
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] 350〈35.7〉/5,000
モーター最大出力[kw(ps)] 50〈68〉
モーター最大トルク[N・m(kg-m)] 290〈29.6〉
ミッション 7AT
タイヤサイズ 245/40RF19
JC08モード燃費 17.8km/L
定員[人] 5人
税込価格[円] 5,415,120円
発表日 2013年11月11日
レポート 松下宏
写真 編集部

 

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(レポート:松下 宏

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