日本で最も長い歴史をもつ伝統のスポーツカー
日本で最も長い歴史を持つと同時に、世界的に最も多く販売されてきたスポーツカーが日産 フェアレディZ。途中で一時途切れたこともあったが、40年を超える歴史を持ち、アメリカ市場を中心にたくさんの台数を売ってきたスポーツカーはフェアレディZ以外にない。
そのZがZ33型からZ34型へと進化した。Z33型は発売以来、毎年のようにエンジンや足まわりの改良を重ねてきたが、 Z33型のプラットホームでやれる改良はすべてやり尽くしたということで、今回のZ34型へのフルモデルチェンジが行われた。
今回のフルモデルチェンジのテーマはフェアレディZらしさを継承・発展させるとともに、スポーツカーとしての走りを純化させることにあった。そのために行われた改良の代表がホイールベースの100mm短縮と、車両重量の100kg低減だ。
そのZがZ33型からZ34型へと進化した。Z33型は発売以来、毎年のようにエンジンや足まわりの改良を重ねてきたが、 Z33型のプラットホームでやれる改良はすべてやり尽くしたということで、今回のZ34型へのフルモデルチェンジが行われた。
今回のフルモデルチェンジのテーマはフェアレディZらしさを継承・発展させるとともに、スポーツカーとしての走りを純化させることにあった。そのために行われた改良の代表がホイールベースの100mm短縮と、車両重量の100kg低減だ。
従来のフェアレディZらしさを受け継ぎつつ、新しさも感じさせるフォルムが印象的。いかにもスポーツカーらしい雰囲気にあふれている。
ひと目でフェアレディZとわかるデザイン。ホイールベースが100mm短縮され、見た目だけではなく、よりスポーツカーらしい走りも手に入れている。
ヘッドライトはプロジェクター式のバイキセノンライトを採用。矢尻のようなデザインが印象的だ。
フェアレディZらしさと新しさを両立させたフォルムが高評価
フェアレディZは従来から、手頃な価格で高い性能を持つスポーツカーとしてし評価されてきた面があり、手頃な価格を実現するためにはほかの車種とのプラットホームの共通化が行われてきた。Z33型でもスカイラインクーペと共通のプラットホームを持つことで、手頃な価格が実現できた面があった。それを変更してホイールベースを短縮することは大きな冒険でもあったはずだが、回頭性の向上など、走りの性能を高めるためには専用のプラットホームが必要だった。
外観デザインは、Zらしさと新しさを融合させるのがテーマだったとのこと。ひと目見てフェアレディZであることが分かるデザインとすると同時に、新しいZ であることも分かるものとされた。どちらかといえば、Zらしさのほうにウエイトが置かれた印象だが、矢尻のような形状をした前後のライトなど、ぱっと見ただけで新しさを感じさせる部分もある。
外観デザインは、Zらしさと新しさを融合させるのがテーマだったとのこと。ひと目見てフェアレディZであることが分かるデザインとすると同時に、新しいZ であることも分かるものとされた。どちらかといえば、Zらしさのほうにウエイトが置かれた印象だが、矢尻のような形状をした前後のライトなど、ぱっと見ただけで新しさを感じさせる部分もある。
立体的な造形のリヤコンビランプは、ヘッドライトと共通のイメージを感じさせてくれる。ブレーキランプはLED式で、視認性も良好だ。
サイドのウインカーは「Z」のロゴ入り。細かい部分ではあるが、所有する喜びを味わえるスポーツカーらしい演出といえる。
マフラーは左右2本出しで、いかにもスポーツカーらしいサウンドを奏でてくれる。中央に見えるのはリヤフォグだ。
スポーツカーらしい雰囲気と上質さを融合させたインテリア
インテリアのデザインは、いかにもスポーツカーらしいもの。中央の3連メーターはZらしさを主張するアイテムということもあり、デザインや配置には細心の注意をはらったという。
インテリアまわりの雰囲気は、いかにもスポーツカーらしいコクピット感覚にまとめられている。インパネデザインはZらしさを継承したもので、センター部分の3連メーターなどはZらしさを象徴するものとして、苦労して配置を決めたという。
ホイールベースの短縮は、ともすれば居住性に影響を与えかねないが、短くしたのは居住空間の後ろの部分なので、2人分の居住空間が影響を受けるようなことはなかった。主力となるアメリカ市場で大柄な男性ユーザーが乗っても不満のない広さが確保されている。
新型フェアレディZの室内にはいろいろな新しい素材が使われている。それらは人間の触感を大切にしようという考えの中で作られてきたものだ。センタークラスター部分のパネルにはソフィレスという新素材が使われているが、この部分に手を触れると上質な本革製の素材に触れているような印象を受ける。あるいはドアグリップの部分には、ソフトフィールシボという新しい加工が施されている。パーツ自体は樹脂製なのだが、手で握ったときの触感は手になじむ柔らかさのあるものだと評価したい。
ホイールベースの短縮は、ともすれば居住性に影響を与えかねないが、短くしたのは居住空間の後ろの部分なので、2人分の居住空間が影響を受けるようなことはなかった。主力となるアメリカ市場で大柄な男性ユーザーが乗っても不満のない広さが確保されている。
新型フェアレディZの室内にはいろいろな新しい素材が使われている。それらは人間の触感を大切にしようという考えの中で作られてきたものだ。センタークラスター部分のパネルにはソフィレスという新素材が使われているが、この部分に手を触れると上質な本革製の素材に触れているような印象を受ける。あるいはドアグリップの部分には、ソフトフィールシボという新しい加工が施されている。パーツ自体は樹脂製なのだが、手で握ったときの触感は手になじむ柔らかさのあるものだと評価したい。
上級グレートは本革とスエード調ファブリックのコンビシート地を採用する。タイト感はあるが、大柄な男性でも十分満足できるスペースが確保されている。
中央にタコメーターを配置した、スポーツカーらしいデザインだ。インフォメーションディスプレーには、燃費などの情報が表示可能だ。
カーナビの画面は大きく見やすい位置にある。時計/電圧/油温が表示される3連メーターは、フェアレディZの伝統ともいえる装備だ。
快適装備はもちろん安全装備もレベルアップと評価!
さらにいえば、シートの表皮にはスウェード調のファブリックが使われている。これはシートに座ってスポーティなドライビングを楽しむとき、体が動かないように滑りにくい表皮を選んだ結果である。シートのカラーはグレードによって3色から選択できる設定になっている。
装備のレベルは全体的に向上した。快適装備ではカーナビやナビとセットのステアリングスイッチなどがオプションとなる程度で、主な快適装備は全車に標準だ。いい音を聞かせるBOSE のサウンドシステムはバージョンT系に標準で装備されている。安全装備は横滑り防止装置のVDCやSRSサイド&カーテンエアバッグが標準となるなど、こちらも高い充実度が確保されていると評価していい。
標準のフェアレディZとバージョンTには18インチのアルミホイールが標準で、バージョンSとバージョン STには19インチのレイズ製鍛造アルミホイールが標準となる。
装備のレベルは全体的に向上した。快適装備ではカーナビやナビとセットのステアリングスイッチなどがオプションとなる程度で、主な快適装備は全車に標準だ。いい音を聞かせるBOSE のサウンドシステムはバージョンT系に標準で装備されている。安全装備は横滑り防止装置のVDCやSRSサイド&カーテンエアバッグが標準となるなど、こちらも高い充実度が確保されていると評価していい。
標準のフェアレディZとバージョンTには18インチのアルミホイールが標準で、バージョンSとバージョン STには19インチのレイズ製鍛造アルミホイールが標準となる。
ミッションは6速MT(写真左)または7速AT(写真中央)が選択可能。どちらもシンクロレブコントロールを備え、シフトダウン時には回転をあわせてくれるのが特徴だ。ラゲッジはサスペンションの出っ張りや、大きなタワーバーのせいで決して広いとはいえない。だが2人分の短期間の旅行カバンぐらいなら積み込めるだけの実用性は確保されている。
シンクロレブコントロールを採用し、プロ顔負けの走りが味わえる
3.7リッターのV6エンジンは、パワフルで吹け上がりも鋭い。回転フィールやサウンドは、スポーツカーであるフェアレディZにふさわしいもの。
これまで日産は5速ATを幅広い車種に採用してきたが、最近ではほかの多くのメーカーが6速または7速、さらには8速ATまで登場しているだけに、多段化への立ち遅れが目立つような状況になっていた。今回のフェアレディZとほぼ同時に、スカイラインクーペにも7速ATが採用されているが、最後に出てきた(ホンダから出てくるのが本当の意味での最後か)7速ATとして、相当に入念な開発が行われたという。
ステアリングの裏側のパドルによって操作することも可能なATで、マニュアル操作したときのレスポンスの良さが印象的。パドルを操作すると同時にきびきびとした感じでギアが切り替わるのが良い。 7速もの段数があると、日常ユースでは3速から5速とか、4速から6速など、1段飛ばしてシフトするようなシーンも多くなるが、そんなシーンでも操作に応じた確実な反応が得られた。
ATモードでアクセルを全開にして発進していけば、レッドゾーンの始まる7500回転の手前まで一気に吹き上がってから変速していくのでとても気持ちが良い。逆に減速時には軽くブリッピングを入れるシンクロレブコントロールが備わるのは従来の5速ATと同じである。
マニュアル車として初めてシンクロレブコントロールが採用された6速MT車は、シフトフィールにもう少し洗練された感じが欲しいものの、このシンクロレブコントロールのデキが良いのには驚かされる。ヒール&トゥをするまでもなく、ベテランドライバーがそれをやるよりもスムーズかつ素早い変速操作が可能なのだから、これは文句のない仕様であると高評価だ。
ステアリングの裏側のパドルによって操作することも可能なATで、マニュアル操作したときのレスポンスの良さが印象的。パドルを操作すると同時にきびきびとした感じでギアが切り替わるのが良い。 7速もの段数があると、日常ユースでは3速から5速とか、4速から6速など、1段飛ばしてシフトするようなシーンも多くなるが、そんなシーンでも操作に応じた確実な反応が得られた。
ATモードでアクセルを全開にして発進していけば、レッドゾーンの始まる7500回転の手前まで一気に吹き上がってから変速していくのでとても気持ちが良い。逆に減速時には軽くブリッピングを入れるシンクロレブコントロールが備わるのは従来の5速ATと同じである。
マニュアル車として初めてシンクロレブコントロールが採用された6速MT車は、シフトフィールにもう少し洗練された感じが欲しいものの、このシンクロレブコントロールのデキが良いのには驚かされる。ヒール&トゥをするまでもなく、ベテランドライバーがそれをやるよりもスムーズかつ素早い変速操作が可能なのだから、これは文句のない仕様であると高評価だ。
パワフルで吹けの鋭いエンジンでスポーツカーらしい気持ちよさを楽しめる
バージョンSとバージョンSTには19インチのレイズ製鍛造アルミホイール(写真)が標準装備。その他のグレードは18 インチ仕様となる。グリップ感やステアリングフィールは、スポーツカーらしいシャープさを備えているが、ややロードノイズが気になる。
搭載エンジンは3.7リッターに排気量アップされたVQ37VHR型で、336ps(247kW)/37.2kg-m(365N・m)のパワー&トルクを発生する。年間の自動車税が6万6500円になることなどを考えると、エンジンの大排気量化はもう勘弁して欲しいところだが、240ZGの時代からより大きな排気量のエンジンを搭載することで高い性能を発揮してきたのがフェアレディZの歴史でもあり、止むを得ないところもある。
VVEL機構を採用した新エンジンは、とにかく吹き上がりがスムーズだ。アクセルを踏み込んでいくとタコメーターの針が一気に立ち上がって行って、同時に大きくパワーが盛り上がっていく。これには同時に大きなエンジン音も伴うのだが、吹き上がりとパワーフィールの気持ち良さは、いかにもフェアレディZらしいものだ。この豪快な走りはZ33型との大きな違いともなるもので、フェアレディZのフルモデルチェンジの意味を明確に示すものといっても良いと評価しよう。
今回のZでは安心して走れる操縦安定性の高さも大きなテーマに開発されたという。箱根ターンパイクなどを走ってもそれは十分に確認できた。中速コーナーからの立ち上がりでラフにアクセルを開けたとき、瞬間的に後輪が横滑りを示したシーンもあったが、今回のモデルから全車に標準装備されたVDCが横滑りを押さえ込み、ステアリングを操作するまでもなく安定性が確保された。
気になったのはエンジン音やロードノイズなどが大きめなこと。その分だけ走りの臨場感は高まるものの、音が疲れてしまうような感じもあり、もう少し静かな走りであればさらに良いように思えた。
VVEL機構を採用した新エンジンは、とにかく吹き上がりがスムーズだ。アクセルを踏み込んでいくとタコメーターの針が一気に立ち上がって行って、同時に大きくパワーが盛り上がっていく。これには同時に大きなエンジン音も伴うのだが、吹き上がりとパワーフィールの気持ち良さは、いかにもフェアレディZらしいものだ。この豪快な走りはZ33型との大きな違いともなるもので、フェアレディZのフルモデルチェンジの意味を明確に示すものといっても良いと評価しよう。
今回のZでは安心して走れる操縦安定性の高さも大きなテーマに開発されたという。箱根ターンパイクなどを走ってもそれは十分に確認できた。中速コーナーからの立ち上がりでラフにアクセルを開けたとき、瞬間的に後輪が横滑りを示したシーンもあったが、今回のモデルから全車に標準装備されたVDCが横滑りを押さえ込み、ステアリングを操作するまでもなく安定性が確保された。
気になったのはエンジン音やロードノイズなどが大きめなこと。その分だけ走りの臨場感は高まるものの、音が疲れてしまうような感じもあり、もう少し静かな走りであればさらに良いように思えた。
●お勧めグレード
新型フェアレディZは月間販売目標台数が500台であるのに対し、発売から1カ月ほどの間にその3倍を超える1600台弱の受注得ている。市場環境が非常に厳しい中で順調な滑り出しとなったわけで、フェアレディZに対する根強い支持があることを示している。ベースグレードが360万円台からとやや高くなったが、当面は約440万円のバージョンSTを中心に売れそうだ。
6速MT車は、マニュアル車として初めてシンクロレブコントロールを採用。ヒール&トゥをしなくても、ベテランドライバー顔負けの走りが楽しめる。
代表グレード | 日産 フェアレディZ バージョンST(7速AT) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4250×1845×1315mm |
車両重量[kg] | 1530kg |
総排気量[cc] | 3696cc |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 336ps(247kw)/7000rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 37.2kg-m(365N・m)/5200rpm |
ミッション | 7速AT |
10・15モード燃費[km/l] | 9.4km/l |
定員[人] | 2人 |
税込価格[万円] | 446.25万円 |
発売日 | 2008/12/1 |
レポート | 松下宏 |
写真 | 和田清志 |
(レポート:松下 宏)
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