【【スズキ ワゴンR/ワゴンR スティングレー 試乗記】軽自動車の王者が満を持してフルモデルチェンジ[CORISM] [CORISM]
【スズキ】2008/11/08
大ヒットモデルの後を受けた新型ワゴンRはキープコンセプトで登場!
軽自動車の規格内で広い室内空間を確保するハイト系モデルとしての基本コンセプトは今回も継続。従来モデルの特徴となる部分をさらに進化させ、売れ筋軽自動車の王道を行くフルモデルチェンジが行われた。
逆に言えば、斬新さを感じさせるような部分のないキープコンセプトのフルモデルチェンジともいえる。基本シルエットが従来と全く同じような印象のものとされたのは、それを象徴する部分である。
逆に言えば、斬新さを感じさせるような部分のないキープコンセプトのフルモデルチェンジともいえる。基本シルエットが従来と全く同じような印象のものとされたのは、それを象徴する部分である。
標準車(写真左)は、従来モデルのイメージを受け継いだキープコンセプトのデザインを採用。一方のスティングレーは、より精悍なイメージになりハッキリと差別化されている。
標準車とスティングレーの差別化がより明確に
といっても、新プラットホームを採用してより広くて快適なパッケージングを実現したのを始め、さまざまな改良が加えられていると評価していい。外観デザインについても、リヤクォーター部分のウインドーを廃止してリヤドアのサイズ大きくし、乗り降りしやすいようにしたのはひとつの改良例だ。
標準系とRR系に変わって設定されたスポーティなスティングレーの外観を明確に差別化したことも特徴のひとつ。従来のモデルではワゴンRのアイコンともいえる大きくて四角いヘッドライトを全車に採用していたが、今回のモデルでは標準系は従来のイメージを継承し、スティングレーには横長のヘッドライトを採用するなど、明確な違いが設けられた。
標準系とRR系に変わって設定されたスポーティなスティングレーの外観を明確に差別化したことも特徴のひとつ。従来のモデルではワゴンRのアイコンともいえる大きくて四角いヘッドライトを全車に採用していたが、今回のモデルでは標準系は従来のイメージを継承し、スティングレーには横長のヘッドライトを採用するなど、明確な違いが設けられた。
ボディサイドのキャラクターラインがとても印象的だ。バンパーなどの形状も標準車(写真左)とスティングレーでは異なっている。
標準車(写真左)は大きく四角いヘッドライトだが、スティングレーは横長とすることで明確な差別化を図っている。リヤコンビランプは形状こそ同じだが、スティングレー(写真)はクリアタイプとすることで、スポーティさをプラスしている。
優れたパッケージングにより室内スペースが拡大された!
新型ワゴンRのプラットホームは先に発売されたパレット用のものをワゴンR用に改良したもので、従来のワゴンRに比べるとホイールベースが延長され、より広い室内空間が作られている。フラットな低床フロアが後席に座ったときの広さ感を一段と高めている。ワゴンRは従来のモデルでも十分といえる室内空間があったが、それがさらに広くなったのが今回のモデルだ。
前述のように、外観デザインの変更によってリヤドアの開口部が大きくなり、乗降性を高めたのもポイントとして挙げられる。
前述のように、外観デザインの変更によってリヤドアの開口部が大きくなり、乗降性を高めたのもポイントとして挙げられる。
標準車(写真左)はライトグレーの内装色とすることで、広々感を演出。スティングレーはブラック系のスポーティな雰囲気だ。どちらも質感が高まり、1クラス上のコンパクトカーにも負けない作りとなっている。
インパネのデザインだけでなく、シートのカラーや形状も標準車(写真左)とスティングレーでは異なっている。サイズも比較的大きめで、座り心地はとても良い。リヤシートのスペースは軽自動車とは思えないほどの広さを実現している。左右独立してスライドさせることができるのも魅力だ。
インテリアの雰囲気は標準車とスティングレーで大きくイメージが異なる
インパネ回りのデザインも標準のワゴンRとスティングレーとで異なる仕様が設定されている。ワゴンRには親しみやすいライトグレーの内装を用意し、左右に広がったインパネ造形によって開放感を演出した。ボリューム感のあるベンチシートもゆったりした感じを与えている。大型の自発光式メーターやインパネシフトは今回のモデルから採用されるようになったものだ。
スティングレーにはブラック内装にシルバーのアクセントが加えられ、スポーティさを演出した内装が用意される。立体感のあるブラックのセンターパネルは軽自動車とは思えない質感とされた。ターボ車にはオーディオスイッチ付きの本革巻きステアリングホイールも用意されている。
スティングレーにはブラック内装にシルバーのアクセントが加えられ、スポーティさを演出した内装が用意される。立体感のあるブラックのセンターパネルは軽自動車とは思えない質感とされた。ターボ車にはオーディオスイッチ付きの本革巻きステアリングホイールも用意されている。
メーターは表示が大きく非常に見やすい。スティングレー(写真中央)はタコメーターを装備している。インパネシフトを採用し、左右のウォークスルーも容易に行なえる。スティングレーのターボ仕様は、ステアリングにマニュアルシフト用のスイッチが装着される。
新型ワゴンRは全車プッシュ式のスターターボタンが標準装備となる。
グローブボックスやドリンクホルダーはもちろん、助手席シート下にも収納スペースが設けられている。
ラゲッジの使い勝手は非常にいい。4人乗車時でも実用上十分なスペースを確保しているのはもちろん、助手席が前方に倒せるので、長尺物の積載も可能だ。
CVTならではの滑らかな走りと安定感のある走りが魅力だ
標準系のワゴンRとスティングレーの両方に、自然吸気エンジンとインタークーラー付きターボ仕様のエンジンが搭載されている。最初に試乗したのは自然吸気エンジンを搭載したFXリミテッドで、装備の充実した上級グレードである。
搭載エンジンは従来のモデルと基本的に変わらず、54ps(40kW)/6.4kg-m(63N・m)のパワー&トルクだが、今回のモデルではCVT(4 速AT車の設定もある)と組み合わされたのが異なるところ。最近のスズキはCVTに対してはやや積極性に欠けるきらいがあったが、今回のワゴンRでは一気に採用を拡大し、CVTを中心としたラインナップに変更してきた。
CVTによる滑らかな走りは上々のもので、低速でもギクシャク感を感じさせることのないなかなか優れたCVTに仕上がっていた。FXリミテッドのCVT車ではハイト系軽自動車としてはトップ水準の23.0km/Lの低燃費を実現したのも評価できるポイントだ。
足回りは乗り心地を重視した味付けながら、FXリミテッドはほかの標準系ワゴンRに比べて1サイズ大きな155/65R14のタイヤを履いていることもあり、操縦安定性も悪くない。コーナーでのロール感はそれなりに出るものの、安心してハンドルを切れる感じなのが良い。さらに良かったのが振動や騒音が低く抑えられていること。同時に比較試乗したワケではないが、従来のモデルに比べるとグンと良くなった印象だっだ。さらに電動パワーステアリングも自然なフィールで、シャシー系は全体に良くなった印象が強かった。
搭載エンジンは従来のモデルと基本的に変わらず、54ps(40kW)/6.4kg-m(63N・m)のパワー&トルクだが、今回のモデルではCVT(4 速AT車の設定もある)と組み合わされたのが異なるところ。最近のスズキはCVTに対してはやや積極性に欠けるきらいがあったが、今回のワゴンRでは一気に採用を拡大し、CVTを中心としたラインナップに変更してきた。
CVTによる滑らかな走りは上々のもので、低速でもギクシャク感を感じさせることのないなかなか優れたCVTに仕上がっていた。FXリミテッドのCVT車ではハイト系軽自動車としてはトップ水準の23.0km/Lの低燃費を実現したのも評価できるポイントだ。
足回りは乗り心地を重視した味付けながら、FXリミテッドはほかの標準系ワゴンRに比べて1サイズ大きな155/65R14のタイヤを履いていることもあり、操縦安定性も悪くない。コーナーでのロール感はそれなりに出るものの、安心してハンドルを切れる感じなのが良い。さらに良かったのが振動や騒音が低く抑えられていること。同時に比較試乗したワケではないが、従来のモデルに比べるとグンと良くなった印象だっだ。さらに電動パワーステアリングも自然なフィールで、シャシー系は全体に良くなった印象が強かった。
標準車はNA(写真左)のみのラインアップだが、スティングレーにはターボ仕様も用意される。組み合わされるミッションはCVTがメインとなり、燃費も大幅にアップした。
やや硬めだが軽快なハンドリングが楽しめるスティングレー
次に試乗したスティングレーTSに搭載されるターボエンジンは64ps(47kW)/9.7kg-m(95N・m)と軽自動車の上限に達するパワーを発生する。従来のモデルでは直噴ターボが64ps(47kW)で、標準系などにはパワーを抑えたマイルドターボが搭載されていたが、今回はそのマイルドターボをパワーアップする形で64ps(47kW)仕様に仕上げてきた。ターボ車は全車ともCVTのみの設定である。
このターボ+CVTの走りがなかなか良くできていて、滑らかで力強い加速を感じさせる。エンジンのパワーはボディに対して十分なもので、吹き上がりのスムーズさパワーの盛り上がりとも不満はない。しかもそれが滑らな変速で手に入るのだ。
シフトレバーをMレンジに入れれば、ステアリングの裏側に設けられたパドルシフトを操作して7速マニュアル車感覚の走りを楽しむことも可能。パドルはDレンジのままでも操作可能なので、下り坂を走るときのエンジンブレーキも簡単に使えることになる。乗り心地は標準系に比べるとやや硬めの味付けで、より安定性に優れた印象。個人的な好みでいえばもっと硬めでも良いくらいだが、これくらいが乗り心地と安定性のバランスの取れたところなのだろう。
このターボ+CVTの走りがなかなか良くできていて、滑らかで力強い加速を感じさせる。エンジンのパワーはボディに対して十分なもので、吹き上がりのスムーズさパワーの盛り上がりとも不満はない。しかもそれが滑らな変速で手に入るのだ。
シフトレバーをMレンジに入れれば、ステアリングの裏側に設けられたパドルシフトを操作して7速マニュアル車感覚の走りを楽しむことも可能。パドルはDレンジのままでも操作可能なので、下り坂を走るときのエンジンブレーキも簡単に使えることになる。乗り心地は標準系に比べるとやや硬めの味付けで、より安定性に優れた印象。個人的な好みでいえばもっと硬めでも良いくらいだが、これくらいが乗り心地と安定性のバランスの取れたところなのだろう。
標準車のFXリミテッド(写真左側)は14インチ、スティングレーは15インチのタイヤ&ホイールを装着する。ハンドリングと安定性に優れ、乗り心地とのバランスも良好だ。
●お勧めグレード
立ち上がりの時点では、外観が明確に差別化されたスティングレーの販売比率が高まると思うが、長期的にはFXやFXリミテッドなどが売れていくことになると思う。FXやFXリミテッドを買うときに注意したいのは、ABSがオプション設定になること。FXリミテッドでCVT車を選べば標準で装備されるのだが、4速AT車だとオプションなのだ。こんな設定は早めに止めてABSはクルマに必須のものとして全車に標準装備にして欲しい。
今回のワゴンRではスティングレーにESPをオプション設定するなど、安全装備を進化させた面もあるのだが、ABSをオプション設定にしているようではそれも台無しになる。
今回のワゴンRではスティングレーにESPをオプション設定するなど、安全装備を進化させた面もあるのだが、ABSをオプション設定にしているようではそれも台無しになる。
代表グレード | スズキ ワゴンR FXリミテッド(FF/CVT) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 3395×1475×1660mm |
車両重量[kg] | 850kg |
総排気量[cc] | 658cc |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 54ps(40kw)/6500rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 6.4kg-m(63N・m)/3500rpm |
ミッション | CVT |
10・15モード燃費[km/l] | 23.0km/l |
定員[人] | 4人 |
税込価格[万円] | 118.125万円 |
発売日 | 2008/9/25 |
レポート | 松下宏 |
写真 | 和田清志 |
(レポート:松下 宏)
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