ボルボ は、主力モデルのV40が好調な売れ行きを続けている。売れ行きをさらに安定したものにするため、V40 T4クロスカントリー・ノルディックという特別仕様車が設定された。

これまでのV40 には直列4気筒1.6Lの直噴ターボ仕様エンジンを搭載するT4系標準モデルをベースに、直列5気筒2.0Lエンジンを搭載するT5系にFFのRデザインと4WD のクロスカントリーAWD が設定されていた。

今回設定された特別仕様車のV40クロスカントリー・ノルディックは、高めの最低地上高などクロスカントリー系の外観デザインを持ち、T4として1.6Lエンジンを搭載し、駆動方式はFFという新しい設定のモデルである。

積雪地のユーザーなら4WDが絶対的なニーズにとなるが、温暖な地区のユーザーはSUV 感覚の外観デザインは欲しいが、燃費などを考えると必ずしも4WDは必要がないという人もいる。そんなユーザーを意識したモデルといえる。

まあ、今の日本では、ハリアー やエクストレイル などの全高の高いSUVでもFF車が良く売れているから、ボルボ V40でSUV感覚のFFモデルが欲しいというのは当然の選択ともいえる。4WDにしないことで車両価格が安くなり、燃費が良くなって維持費が安上がりになるほか、エコー減税が適用されるなど、経済的なメリットがある。

　外観デザインは、クロスカントリーのもの。高めの地上高だけでなく、ルーフレールを備えるなど、見るからにSUV感覚のクロスカントリーとされている。インテリア回りについては、特に変更を受けていない。

搭載エンジンは、1.6Lの直噴ターボ仕様で132kW/240N・mのパワー＆トルクは、標準仕様のV40に搭載されているのと同じ。車両重量は標準のV40に比べて10kg重くなっているが、それによって走りが影響を受けるほどではない。

湿式のデュアルクラッチを採用したギアトロニックの電子制御6速ATもスムーズな変速を示し、マニュアル操作で積極的な変速を楽しむこともできる。

ただ、最低地上高が135mmから145mmへと10mm高くなったことは、多少は走りに影響を与えていた。カタログ上の数値では10mmの違いだが、実質的にはもう少し大きな違いがあり、全高は30mm高くなっている。

その分だけ重心高が高くなっているわけで、コーナーなどの操縦安定性に関しては標準のT4やRデザインなどに比べるとやや及ばない印象だった。

なのでワインディングで走りを楽しむようなタイプのユーザーなら、別に設定された特別仕様車のT4スポーツやRデザインなどを選べば良いし、SUV感覚の走りを楽しみたいユーザーがT4 クロスカントリーを選べば良い。

V40 T4クロスカントリー・ノルディックのベースになったのは、豪華装備のT4 SEで、さらにナビゲーションパッケージや助手席パワーシートなども備えられている。このため、4WDのT5クロスカントリーAWD とほぼ同じ価格設定になっている。FFで良いか4WDが必要かによって選択を決めたら良い。