【フォルクスワーゲン シロッコ 試乗記・評価】個性炸裂のダイナミックスタイルが、瀕死のクーペ市場に新風を巻き起こす!
【VW】2009/06/13
伝統の車名シロッコが復活!
ワゴン風のフォルムを持つ個性的なクーペが高評価
ボディは2ドアのクーペだが、外観デザインは普通のクーペとはちょっと違うものに仕上げられた。特徴的なのはルーフの長さで、2ドアながら一見するとステーションワゴンではないかと思うようなロングルーフが採用され、バックウインドーを垂直に近い形に立てたデザインとなった。従来のシロッコがバックウインドーを傾斜させたファストバッククーペだったのと大きく変わっている。
フロント回りのデザインはブラックアウトされた左右のヘッドライトを水平基調のフロントグリルが結ぶ形でワイド感を強調している。というか、ボディそのものもゴルフに比べると幅が広く、全幅は1810mmに達している。この余裕ある全幅によってデザイン的な自由度が増し、リヤフェンダー部分の印象的な造形にもつながっている。リヤビューはフェンダーの張り出しと絞り込みによって狭くなったルーフが躍動感を感じさせる。
新型シロッコは全体にダイナミックでスポーティな雰囲気にあふれたデザインで、最近ではほとんどクーペが死滅したような状態にある日本の市場では極めて特徴的で異彩を放つ存在になりそうだと、評価しよう。
フロント回りのデザインはブラックアウトされた左右のヘッドライトを水平基調のフロントグリルが結ぶ形でワイド感を強調している。というか、ボディそのものもゴルフに比べると幅が広く、全幅は1810mmに達している。この余裕ある全幅によってデザイン的な自由度が増し、リヤフェンダー部分の印象的な造形にもつながっている。リヤビューはフェンダーの張り出しと絞り込みによって狭くなったルーフが躍動感を感じさせる。
新型シロッコは全体にダイナミックでスポーティな雰囲気にあふれたデザインで、最近ではほとんどクーペが死滅したような状態にある日本の市場では極めて特徴的で異彩を放つ存在になりそうだと、評価しよう。
リヤから見ると、その特徴的なルーフの長さがよく分かる。ワイド&ローなフォルムはどっしりとした安定感を感じさせる。
ブラックアウトされた横長のヘッドライトや水平基調のフロントグリルにより、ワイド感を演出している。シンプルながらとても個性的な顔つきといえる。
立体的な造形のリヤビュー。リヤコンビランプも横方向に長いデザインでワイドさを強調しているが、実際のボディサイズもベースのゴルフよりも拡大されている。
タイト感と居住性を両立させたインテリア
全高1420mmというやや低めのボディの運転席に座り込むと、そこには座るとややタイトな感じのコクピットがデザインされている。ステアリングホイールの底部を平らな形状にすることで、乗降性を補助している。インパネ回りの雰囲気はゴルフ系のイメージを感じさせながらもゴルフとは異なる専用のデザインが採用された。
シロッコの乗車定員は4名で、後席は2人乗り仕様となる。この後席に十分な空間が確保されているのがポイントだ。前述のように新型シロッコではロングルーフデザインが採用したが、これが後席の居住空間を確保することにつながっている。同時に後席を2人乗りとすることで、2人分のシートをやや中央寄りに配置して前方を見やすくし、圧迫感のない室内空間に仕上げていると評価していい。
シロッコの乗車定員は4名で、後席は2人乗り仕様となる。この後席に十分な空間が確保されているのがポイントだ。前述のように新型シロッコではロングルーフデザインが採用したが、これが後席の居住空間を確保することにつながっている。同時に後席を2人乗りとすることで、2人分のシートをやや中央寄りに配置して前方を見やすくし、圧迫感のない室内空間に仕上げていると評価していい。
日本専用のHDDナビを始め快適装備は充実している
2ドアクーペらしい適度なタイト感のあるインテリア。デザインはゴルフのイメージも残しつつ、シロッコ専用のものとされている。
シートそのものも、前席はもちろんのこと後席もスポーティな形状のシートとすることで、後席に座ってもドライブの楽しさが味わえるものとした。
装備は日本市場専用に開発されたHDDナビゲーションが全車に標準で装備されるほか、バイキセノンヘッドライト、パドルシフト、スタティックコーナリングライト、レザー3本スポークマルチファンクションステアリングホイールなど、全体に充実した快適装備が用意される。上級グレードの2.0TSIには、レザーパワーシートやアダプティブシャシーコントロール、18インチタイヤなどが装備されている。
装備は日本市場専用に開発されたHDDナビゲーションが全車に標準で装備されるほか、バイキセノンヘッドライト、パドルシフト、スタティックコーナリングライト、レザー3本スポークマルチファンクションステアリングホイールなど、全体に充実した快適装備が用意される。上級グレードの2.0TSIには、レザーパワーシートやアダプティブシャシーコントロール、18インチタイヤなどが装備されている。
リヤシートもバケット風の形状となっている。やや中央よりに配置することで前方の視界も良く、快適なドライブが楽しめる。
シロッコ TSI(写真)のシートは、ブラックのアルカンターラとファブリックを組み合わせたもの。2.0TSIはオールレザーとなり、ブラックに加えてトリュフと呼ばれる茶色系の内装色も選べる。
ラゲッジは4人乗車時でも十分な容量が確保されている。後席の収納も簡単で、ある程度大きな荷物も積み込むことができる。
安定感と軽快感のある走りが味わえる
シロッコの搭載エンジンは2機種。1.4リッターの直噴DOHC+インタークーラー付きターボに7速DSGを組み合わせたものと、2リッターの直噴 DOHC+インタークーラー付きターボに6速DSGを組み合わせたものが用意された。新型ゴルフには2リッターエンジンを搭載したGTIはまだ設定されていないが、シロッコではひと足先に搭載されたことになる。
1.4リッターのTSIに搭載されるエンジンはゴルフのハイラインに搭載されたのと同じ160os(118kW)仕様のエンジンで、2.4リッターエンジン並みの24.5kg-m(240N・m)のトルクを発生する。それもわずか1500 回転の段階で最大トルクに達するのだから、どの速度域からでもアクセルを踏み込めば力強い加速が得られる。
1.4リッターエンジンというと、スポーティカーの心臓としてちょっと物足りないのではという先入観を持ちそうだが、フォルクスワーゲンのTSIはスポーティな走りにも十分に対応できるエンジンだ。小淵沢から清里周辺の勾配のきついワインディングなどを走ったが、とても軽快な走りが楽しめた。低めの全高による重心高の低さや後輪側を広くしたワイドトレッドなどによってコーナーでの安定感はとても高い。
さらにスポーティな実力を持つのが2.0TSIで、こちらは 200ps(147kW)/28.6kg-m(280N・m)の実力。すでにゴルフ5のGTIなどに搭載されて定評を得ているエンジンで、力強さと滑らかさを合わせ持つ。ボディに対して十分な余裕のある動力性能を発揮するので、豪快な走りを楽しむこともできる。
1.4リッターのTSIに搭載されるエンジンはゴルフのハイラインに搭載されたのと同じ160os(118kW)仕様のエンジンで、2.4リッターエンジン並みの24.5kg-m(240N・m)のトルクを発生する。それもわずか1500 回転の段階で最大トルクに達するのだから、どの速度域からでもアクセルを踏み込めば力強い加速が得られる。
1.4リッターエンジンというと、スポーティカーの心臓としてちょっと物足りないのではという先入観を持ちそうだが、フォルクスワーゲンのTSIはスポーティな走りにも十分に対応できるエンジンだ。小淵沢から清里周辺の勾配のきついワインディングなどを走ったが、とても軽快な走りが楽しめた。低めの全高による重心高の低さや後輪側を広くしたワイドトレッドなどによってコーナーでの安定感はとても高い。
さらにスポーティな実力を持つのが2.0TSIで、こちらは 200ps(147kW)/28.6kg-m(280N・m)の実力。すでにゴルフ5のGTIなどに搭載されて定評を得ているエンジンで、力強さと滑らかさを合わせ持つ。ボディに対して十分な余裕のある動力性能を発揮するので、豪快な走りを楽しむこともできる。
シロッコ TSI(写真左)は1.4リッター、2.0TSIは2リッターの直4ターボエンジンを搭載。1.4リッターでもターボのおかげで十分なトルクがあるので、どの速度域からでも力強い走りを味わえる。
ダイレクト感と滑らかさを兼ね備えたDSGにも注目!
2.0TSIにはアダプティブシャシーコントロールのDCCが標準で装備されている。1.4リッター車には設定のないこの装備は、コンソールのスイッチによって足回りの硬さを変えるもので、ノーマル状態のほかコンフォートとスポーツを選択できる。走行シーンに応じてドライバーの好みの走りの味を楽しむことができる。
1.4リッター用の7速DSGは乾式、2リッター用の6速DSGはオイルを介した湿式のトランスミッションで、素早い変速に定評があるところ。DSGは一般に、それも7速では特に、低速域でのギクシャク感が出やすいのだが、今回のシロッコではそのあたりの違和感がグンと良くなっていた。6速は滑らかさの点でも不満がない。
新型シロッコの価格は1.4リッターのTSIで392万円で、2リッターの2.0TSIが447万円だから、ちょっと高めの印象がある。TSIを新型ゴルフのハイラインと比べると80万円ほどの価格差がある。シロッコではHDDナビゲーションやバイキセノンヘッドライトなどが標準で装備されるなど、装備に違いがあるほか、ボディ代が加わってこの価格差になっているわけだ。シロッコのデザインにどれだけ惹かれるかが、価格を納得できるかどうかにつながると思う。
1.4リッター用の7速DSGは乾式、2リッター用の6速DSGはオイルを介した湿式のトランスミッションで、素早い変速に定評があるところ。DSGは一般に、それも7速では特に、低速域でのギクシャク感が出やすいのだが、今回のシロッコではそのあたりの違和感がグンと良くなっていた。6速は滑らかさの点でも不満がない。
新型シロッコの価格は1.4リッターのTSIで392万円で、2リッターの2.0TSIが447万円だから、ちょっと高めの印象がある。TSIを新型ゴルフのハイラインと比べると80万円ほどの価格差がある。シロッコではHDDナビゲーションやバイキセノンヘッドライトなどが標準で装備されるなど、装備に違いがあるほか、ボディ代が加わってこの価格差になっているわけだ。シロッコのデザインにどれだけ惹かれるかが、価格を納得できるかどうかにつながると思う。
シロッコ TSIは7速、2.0TSIは6速のDSGを搭載。低速域での違和感もなく、スムーズな走りを実現した。パドルシフトも備えているので、スポーティな走りも楽しめる。シロッコTSI(写真中央)は17インチのタイヤ&アルミホイールを装備する。2.0TSI(写真右)は18インチ仕様となり、どちらも軽快な走りを味わうことができる。
フォルクスワーゲン シロッコ燃費、スペックなど
代表グレード | フォルクスワーゲン シロッコ TSI |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4255×1810×1420mm |
車両重量[kg] | 1340kg |
総排気量[cc] | 1389cc(ターボ) |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 160ps(118kw)/5800rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 24.5kg-m(240N・m)/1500〜4500rpm |
ミッション | 7速DSG |
10・15モード燃費[km/l] | 15.8km/l |
定員[人] | 4人 |
税込価格[万円] | 392.0万円 |
発売日 | 2009/5/25 |
レポート | 松下宏 |
写真 | 森山良雄 |
(レポート:松下 宏)
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