日本の中古商用車、アフリカ大陸第2の人生裏事情[CORISM] [CORISM]

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【生活・文化】2010/05/02

アジアからアフリカへ、発展途上国への中古車輸出

 タイやベトナム、フィリピンなど東南アジアを旅行したことがあるなら、きっと街を走る日本車の多さに驚いた経験があるだろう。一昔も二昔も前の中古車、それも商用車をよく見かける。エキゾチックなアジアの街中を、「株式会社○○」など不釣り合いな名前の商用車が普通に走っているのだからおもしろい。初めは違和感を感じても、しだいに周囲の光景に溶け込んでいるように思えるのだから、不思議なものだ。
 こうした現象が、世界中の発展途上国、南米、中東、そしてアフリカへと広がっていることをご存知だろうか? これらの国々では、安くて性能が良い日本の中古車が大人気なのだ。エコ意識がそれほど高くない、というか、車道がやっとこれから整備されてゆくような国では、ハイブリッドや電気自動車に乗ることなど、まだまだ遠い未来の話なのかもしれない。

アフリカで見かけた日本からの中古車。漢字が描かれている(=日本からやってきた証し)ことで、中古車の価値が上がるという話も・・・

中古車輸出ビジネスの現在

 新車の市場が縮小するなか、長引く円高にもかかわらず、海外への中古車輸出台数はここ数年うなぎ登りだ(2009年はリーマンショックの影響もあり、減ってしまったが)。そこで、熱い注目を浴びているのがアフリカ市場。日本人がアフリカというと、サバンナのライオンやゾウを思い浮かべるが、アフリカ人が日本といえばまず連想するのが、トヨタ。低所得者層でも手の届く中古車が売れており、都市部ではマークIIに乗るのがステータスで、「いつかはクラウン」というのは、今やアフリカで大人気の標語になっているというのだから、驚きだ。
 統計によると、近年まで中古車輸出先1位だったロシアは、2009年には4位に退き、3位に南アフリカ共和国、6位にケニアがランクインしている。コンテナ船で20日以上かかる輸送距離を考えると、この急増は驚異的ともいえる。ちなみに1位はアラブ首長国連邦だが、この国は貿易中継地点としての側面もあり、政情や通関に信頼性が欠けるアフリカとの直接取引を嫌った業者が、治安の良いドバイなどを中継してアフリカへの輸出を行っているという。

多人数乗車可能な「トヨタ ハイエース」や「日産 キャラバン」などのマイクロバス仕様車に人気が集まっているようだ

アフリカで人気の日本車は?

 では、そのアフリカではどのような車が売れているのだろうか? 最近めっきりアフリカ向けの仕事で忙しくなってきたという中古車輸出業者から話を聞いてみると、色は白で車高の高い車に人気が集中しているとのことだ。なぜか。答えは、すべてアフリカ大陸の地域性に根ざしている。つまり、ただでさえ暑いのだから、熱を集める黒っぽい車は敬遠される。また、舗装道路がまだまだ少ないので車高の低い車はコワレやすいというわけだ。同じ理由からFF車も人気がないという。
 人気車種はやはり、ハリアー、プラドなどのトヨタ車。スバルでもフォレスター、レガシィなど頑丈な4WD車が人気なのがお国柄。大勢が乗れるから、イプサム、シャリオなどミニバンもよく売れるし、もちろん、トラックやバスなど商用車の需要も高い。
 ところで、好調に見えるこの“新”輸出ビジネスでも、問題がないわけでもない。それは規制。現地での輸入規制もあれば、日本での検査規制もある。「○○自動車学校」とか「△△センター」なんて名前が入ったバスなどをアフリカ諸国でよく見かけるのは、規制が普通車にしかない国だから。また、日本車の人気の高さに目をつけた外国人バイヤーが参入し、一部車種の値段が高騰したりするような現象が起きている。
 とはいえ、まだまだ成長の見込めるアフリカ市場。中古車輸出のノウハウを教えるセミナーを開催する企業も少なくない。独立・副業を考えている方は、アフリカ相手に一旗上げるのも夢ではない!?

(レポート:CORISM編集部

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