新車・中古車購入術 スライドドアで選ぶ! 家電的クルマの選び方 [CORISM]

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【その他】2010/10/25

開口部の広さで決めるスライドドアミニバン選び

ダイハツ タント スライドドア開口部
 たくさんの荷物や大勢の人を乗せられることで人気のミニバン。とくにスライドドア車は使い勝手の良さから人気で、各メーカーからさまざまなクラスのスライドドアミニバンが発売されている。
 クルマ選びには人それぞれ、さまざまな理由があるが、スライドドアの開口部の広さは重要な要素といえるだろう。これは冷蔵庫を庫内の容量で、薄型テレビを画面のサイズで選ぶようなものだ。家電もクルマもメーカーの好みなどがハッキリしていれば別だが、最終的には使い勝手の良さは、購入の大きな決め手となる。スライドドアのミニバンをスライドドアの開口部の数値だけで選ぶことは、ある意味「家電的クルマ選び」ともいえる。さて、どのクルマがもっとも使い勝手がいいのか? ジャンル別に解説しよう。

5ナンバートールミニバン編

 スライドドアミニバンのなかで、もっとも人気が高いといっても過言でないのが「5ナンバートールミニバン」だ。実際、各メーカーも力を入れており、フルモデルチェンジのたびにライバルを研究し尽くして、より使いやすさを追求している。販売のボリュームも大きく、中古車のタマ数も豊富だから、安く質のいい中古車が購入できるジャンルでもある。
 このクラスではトヨタ ノア/ヴォクシーと日産 セレナ、そしてホンダ ステップワゴンの3強がしのぎを削っており。マツダ ビアンテもエコ(アイドリングストップ装置)性能の高さなどから、一定の評価を得ている。
 各車の詳しい数値は下の表を見て貰うとして、スペック上、もっとも室内が広そうなのは室内長が唯一3m超えのステップワゴンといえそうだ。ただ、室内高に限ってはビアンテが圧倒的で、ライバルよりも15〜20cmも高いのには驚かされる。またフロアの地上高だが、意外にもノア/ヴォクシーがいちばん低く、乗り降りはしやすそう。フロアの低さといえば低床低重心プラットホームをウリにしているホンダが有利そうだっただけに意外な結果といえる。スライドドア自体の開口部の広さだが、セレナが一番広そうだ。ビアンテは開口部の幅こそ一番広いが、高さが低め。とはいえ実用上、大きな差といえるほどではないので、ほぼ互角といってもいい。
 ではどのクルマがオススメなのか? どのクルマも数値上、優劣はあるが、決定的な差とは言い難い。室内の広さを重視するならステップワゴン。乗り降りのしやすさならノア/ヴォクシー。スライドドアの広さを優先するならセレナということになりそうだ。
トヨタ ノア フロントビュー

トヨタ ノア
室内長 2970mm
室内高 1350mm
室内幅 1485mm
フロア地上高 360mm(2列目)
スライドドア開口部幅 730mm
スライドドア開口部高さ 1300mm

トヨタ ヴォクシー フロントビュー

トヨタ ヴォクシー
室内長 2970mm
室内高 1350mm
室内幅 1485mm
フロア地上高 360mm(2列目)
スライドドア開口部幅 730mm
スライドドア開口部高さ 1300mm

日産 セレナ フロントビュー

日産 セレナ
室内長 2760mm
室内高 1355mm
室内幅 1470mm
フロア地上高 395mm(2列目)
スライドドア開口部幅 775mm
スライドドア開口部高さ 1300mm


ホンダ ステップワゴン フロントビュー

ホンダ ステップワゴン
室内長 3095mm
室内高 1395mm
室内幅 1500mm
フロア地上高 390mm(2列目)
スライドドア開口部幅 700mm
スライドドア開口部高さ 1230mm

ホンダ ステップワゴン スパーダ フロントビュー

ホンダ ステップワゴン スパーダ
室内長 3095mm
室内高 1395mm
室内幅 1500mm
フロア地上高 390mm(2列目)
スライドドア開口部幅 700mm
スライドドア開口部高さ 1230mm

マツダ ビアンテ フロントビュー

マツダ ビアンテ
室内長 2990mm
室内高 1545mm
室内幅 1350mm
フロア地上高 413mm(2列目)
スライドドア開口部幅 780mm
スライドドア開口部高さ 1240mm

※数値はメーカー計測値

5ナンバーMクラスミニバン編

 5ナンバーMクラスミニバンも人気の高いジャンルだ。確かにトール系と比べれば室内高のゆとりは少ないし、全長が短めに抑えられているため室内長も短めだ。とはいえ1.5リッタークラスのコンパクトに比べれば十分実用的な3列目シートを備えるなど、使い勝手に大きな不満はない。それにトール系より車重が軽いこともあって燃費も良好だ。
 このクラスのミニバンは通常のヒンジドアが多いが、トヨタ アイシスや日産 ラフェスタ、そしてマツダ プレマシーがある。販売面ではトヨタ ウィッシュやホンダ ストリームに及ばない車種もあるが、アイシスやプレマシーは人気が高く、中古車のタマ数も比較的多い。そのため予算に合わせて選びやすいのも魅力だ。
 まずは室内の広さだが、アイシスがやや広めだ。だが室内高に関してはプレマシーが約群を抜いている。その反面、室内長と室内幅は、ひとまわり小さいので、高さ方向の余裕を重視するならプレマシーがベスト。ラフェスタは室内長と室内幅に関してはアイシスと同等ながら、室内高は1255mmと、ミニバンらしからぬ低さだ。
 またアイシスはピラーレスのパノラマオープンドアが最大の特徴で、助手席とリヤのスライドドアをあわせた開口部の幅は、なんと1890mmもある。この開放感は驚くほどで、乗り降りはもちろん、大きな荷物を横から積むときには威力を発揮してくれる。このクラスでは、室内の広さが比較的広く、スライドドア開放部の圧倒的な広さにより、アイシスがもっとも使い勝手に優れているといえそうだ。
トヨタ アイシス フロントビュー

トヨタ アイシス
室内長 2705mm
室内高 1315mm
室内幅 1470mm
フロア地上高 380mm(2列目)
スライドドア開口部幅 770mm(助手席ドア+助手席側リアドア開口部幅1890mm)
スライドドア開口部高さ 1190mm

日産 ラフェスタ フロントビュー

日産 ラフェスタ
室内長 2690mm
室内高 1255mm
室内幅 1420mm
フロア地上高 405mm(2列目)
スライドドア開口部幅 645mm
スライドドア開口部高さ 1060mm

マツダ プレマシー フロントビュー

マツダ プレマシー
室内長 2520mm
室内高 1490mm
室内幅 1240mm
フロア地上高 390mm
スライドドア開口部幅 700mm
スライドドア開口部高さ 1083mm

※数値はメーカー計測値

軽自動車編

 税金の安さや燃費の良さで維持費が少なくて済むのが軽自動車最大のメリットだ。また、リセールバリューもいいので、新車はもちろん中古車で購入しても、手放すときにある程度の値段がつくのもうれしいところ。もちろん軽自動車にもスライドドア車は用意されている。
 なかでも注目なのはダイハツのタント。これは、トヨタのアイシスと同じくピラーレスのパノラマオープンドアを採用しており、スライドドア開口部の広さは圧倒的。リヤドアのみではライバルのスズキ パレットや日産 ルークスと変わらないものの、助手席を開ければLクラスミニバンも凌ぐ1480mmという広さになる。この広さはアイシスと同じく、荷物の出し入れやチャイルドシートの装着時などに威力を発揮する。
 肝心の室内の広さはというと、こちらもタントが有利。規格の上限いっぱいのボディサイズで作られる軽自動車だが、タントはパッケージングに優れるムーヴをベースにしているだけに、ゆったりとしている。とくに前後方向の余裕はかなりのもので、大柄な男性がリヤシートに座っても余裕で足が組めるほど。数値的に見てもタントが優勢だ。
ダイハツ タント フロントビュー

ダイハツ タント
室内長 2160mm
室内高 1355mm
室内幅 1350mm
フロア地上高 370mm
スライドドア開口部幅 580mm(助手席ドア+助手席側リアドア開口部幅1480mm)
スライドドア開口部高さ 1205mm
テールゲート開口部幅 1120mm(最大開口幅)
テールゲート開口部高さ 1040mm

スズキ パレット フロントビュー

スズキ パレット
室内長 2085mm
室内高 1365mm
室内幅 1280mm
フロア地上高 340mm
スライドドア開口部幅 580mm
スライドドア開口部高さ 1230mm
テールゲート開口部幅 985mm
テールゲート開口部高さ 1100mm

日産 ルークス フロントビュー

日産 ルークス
室内長 2085mm
室内高 1365mm
室内幅 1280mm
フロア地上高 340mm
スライドドア開口部幅 580mm
スライドドア開口部高さ 1230mm
テールゲート開口部幅 985mm
テールゲート開口部高さ 1100mm

※数値はメーカー計測値

家電的クルマ選びは目的をハッキリさせるべし

 ここまでに紹介したジャンルはもちろん、Lクラスミニバンにもいえるのだが、カタログスペックで決める家電的クルマ選びは、目的をハッキリさせることが重要だ。というのも室内長と室内幅が広くても室内高が低いクルマや、室内高は高くても室内幅が狭いなどの差があるからだ。
 実際の販売台数を見ると、すべての数値が平均的に優れているクルマがよく売れている。とはいえ、室内高を重視したり、室内長などの前後方向のゆとりを重視するなど、人それぞれだ。だから自分がどこの余裕を重視するかによって最適なクルマは違ってくるので、自分の求める部分の数値を重視してクルマを選ぶと失敗は少ない。それに対し、とくに重視するポイントがない人は、どの数値も平均的に優れているクルマを選ぶのが家電的クルマ選びの極意といえそうだ。

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(レポート:CORISM編集部

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