オーリスで走り出すと、同時に感じるのがスムーズさだ。小径ターボを装着しているので、低回転域からターボラグを感じさせることなくスムーズにターボの効きが得られるのが良い点だ。

アクセルを踏み込めば、余裕の最大トルクによって気持ち良く加速が伸びていく。ターボエンジンの割にはアクセル操作に対する反応も素直で、いかにも扱いやすいエンジンという印象を受けた。

ただ、小径ターボである分だけ高回転まで回したときのパンチ力はさほどではない。そのため、高回転域で走り続けるサーキット走行では、あまりいい印象とはならなかった。サーキットで走らせた時速120〜130kmくらいまでの領域では、十分にパワフルな走りが得られるエンジンだった。

　新型オーリスの足回りは、やや硬めの味付けで、サーキットでの走りでは狙った通りのラインが自然に確保できるハンドリングの素直さに好感が持てた。また、ハードなブレーキングに対しても、剛性感のあるペダルフィールと安定感のある挙動で安心してブレーキを踏めた。走りのフィールは、相当にスポーティなものである。

市街地での走りでは、スーパーCVT-iとの相性の良さが印象的で、滑らかに力強い走りを実現するのが良い点である。ターボというとスポーツエンジンと思いがちだが、この120Tのダウンサイジング直噴ターボは、実用域でのトルクフルな走りを身上とする。静かで滑らか、かつ燃費の良い走りが得られるのだ。

全体的に完成度の高い1.2Lエンジンだが、ハイオク仕様というのが難点。欧州のガソリン事情に合わせた設定なので、仕方ないという面もあるものの、トヨタは日本のメーカーで、その母国である日本で売る以上、やはりレギュラーガソリン仕様に変更するなどの配慮が必要だろう。

　新型オーリスには、最新の運転支援装備であるトヨタセーフティセンスC(TSS-C)が搭載された。いわゆる自動ブレーキの機能を含めたもので、これによってオーリスの安全性は大きく向上した。

TSS-Cの仕様は、普及版ともいえる単眼カメラと赤外線レーザーを組み合わせたもので、自動ブレーキは車速が時速10km〜80kmの範囲で作動する。軽自動車などに採用される赤外線タイプのものは、時速30kmを超えると作動しなくなるが、TSS-Cは時速30km超の領域でもしっかり作動する。

自動ブレーキの作動実験のため、バルーンに向かってオーリスを走らせると、時速30kmくらいまでなら障害物の手前で楽勝で止まれる。50kmを超えるような速度域では衝突は避けられないが、大きく減速して被害を軽減してくれる。

ただし、良いことばかりではない。このTSS-Cは、カメラを使っているが歩行者などの人を見つけて自動ブレーキをかける機能が無い。

120Tや1800cc車には標準装備されていて、1500cc車にはオプション設定となる。オプション価格は5万〜6万円なので、1500cc車を買う場合には必ず装着しておきたい。

■トヨタ オーリス価格
・150X FF 2WD CVT　1,892,945円/“C Package”1,789,855円/“S Package”2,085,382円
・150X FF 4WD CVT　2,087,345円/“C Package”1,984,255円/“S Package”2,279,782円
・180S FF 2WD CVT　2,376,000円
・RS FF 2WD 6MT 2,460,437円
・120T FF 2WD CVT　2,590,037円

代表グレード	トヨタ オーリス120T
ボディサイズ［mm］（全長×全幅×全高）	4,330×1,760×1,480mm
ホイールベース［mm］	2,600mm
トレッド前/後［mm］	1,535/1,525mm
車両重量［kg］	1,300kg
総排気量［cc］	1,196cc
エンジン最高出力［kw(ps)/rpm］	85（116）/5,200〜5,600
エンジン最大トルク［N・m（kg-m）/rpm］	185（18.9）/1,500〜4,000
ミッション	CVT
タイヤサイズ	195/65R15
JC08モード燃費	19.4km/L
定員［人］	5人
税込価格［円］	2,590,037円
発売日	2015/4/6
レポート	編集部
写真	トヨタ