全高55㎜ダウンで室内空間が狭くなったかといえば、必ずしもそうではない
フロントマスクはワイドなフロントグリルとシャープなヘッドランプが特徴。まるでスポーティカーのような精悍な表情だ。
フルモデルチェンジを受けたトヨタのラクティスは、初代モデルだった旧型はファンカーゴの後継モデルとして作られたクルマだった。なので、コンパクトカーでありながら背の高いパッケージングを採用し、広い室内空間を持つのが特徴だった。
背の高さはウェルキャブをラインナップすることも大きな理由だった。初代ラクティスは生産ラインでそのままウェルキャブを作れるようにした最初のクルマで、これによってウェルキャブの品質を安定させて価格を下げることができ、納期も早くなった。
旧型ラクティスは車椅子に座ったままで後席に乗り込める仕様としたために背が高くなったのだ。
そのラクティスが今回のモデルでは全高を55mmも下げてきた。パッケージングの大きな変更だ。
従来のモデルに対し、「背が高くて室内が広いのは良いが、カッコがあまり良くない」という指摘があったそうで、よりスタイリッシュなデザインにしたのがひとつ理由。さらに全高の引き下げは重心高の低下につながって操縦安定性が高まるほか、主にヨーロッパでは高速燃費の向上にも貢献することなどが理由だ。
これによって室内空間が狭くなったかといえば、必ずしもそうではない。従来のモデルの頭上空間は確かに広かったが、その部分は特に乗員が使う空間ではなかったからだ。
また今回のモデルでは運転席のシート位置を下げるなどの工夫をしているため、全高と同様に室内高が55mmも下がったことのデメリットはほとんど感じない。
ではウェルキャブはどうなったのかといえば、今回のモデルの全高ではそのまま車椅子で乗り込めるだけの開口部が確保できないため、ルーフを120mm高くしたハイルーフ仕様にした。これによって従来よりも65mmも高い開口部高を確保できた。日本人男性なら95%くらいの人が車椅子に座ったままでラクティスのウェルキャブに乗り込めるという。
ウェルキャブ以外の標準車も使い勝手は向上していると評価していい。特にラゲッジスペースが拡大され、高さ調整機能を持つラゲッジボードが設定され、高さのある荷物を積みやすくしたし、大きなスーツケースを3つも積めるだけの容量が確保されている。さらに、後方からレバーを引くだけで後席の背もたれを倒せるようになった。
背の高さはウェルキャブをラインナップすることも大きな理由だった。初代ラクティスは生産ラインでそのままウェルキャブを作れるようにした最初のクルマで、これによってウェルキャブの品質を安定させて価格を下げることができ、納期も早くなった。
旧型ラクティスは車椅子に座ったままで後席に乗り込める仕様としたために背が高くなったのだ。
そのラクティスが今回のモデルでは全高を55mmも下げてきた。パッケージングの大きな変更だ。
従来のモデルに対し、「背が高くて室内が広いのは良いが、カッコがあまり良くない」という指摘があったそうで、よりスタイリッシュなデザインにしたのがひとつ理由。さらに全高の引き下げは重心高の低下につながって操縦安定性が高まるほか、主にヨーロッパでは高速燃費の向上にも貢献することなどが理由だ。
これによって室内空間が狭くなったかといえば、必ずしもそうではない。従来のモデルの頭上空間は確かに広かったが、その部分は特に乗員が使う空間ではなかったからだ。
また今回のモデルでは運転席のシート位置を下げるなどの工夫をしているため、全高と同様に室内高が55mmも下がったことのデメリットはほとんど感じない。
ではウェルキャブはどうなったのかといえば、今回のモデルの全高ではそのまま車椅子で乗り込めるだけの開口部が確保できないため、ルーフを120mm高くしたハイルーフ仕様にした。これによって従来よりも65mmも高い開口部高を確保できた。日本人男性なら95%くらいの人が車椅子に座ったままでラクティスのウェルキャブに乗り込めるという。
ウェルキャブ以外の標準車も使い勝手は向上していると評価していい。特にラゲッジスペースが拡大され、高さ調整機能を持つラゲッジボードが設定され、高さのある荷物を積みやすくしたし、大きなスーツケースを3つも積めるだけの容量が確保されている。さらに、後方からレバーを引くだけで後席の背もたれを倒せるようになった。
全長3995mm、全幅1695mm、全高1585mmの扱いやすい5ナンバーサイズを維持。ただし全高は先代モデルに比べ55㎜も引き下げられている。
タイヤの四隅配置を強調するホイールアーチの張り出しで、クルマ全体の踏ん張り感を演出。リヤビューは低重心と安定感を感じさせる。
フードからバンパー中央に向かってせり出した力強く立体感のあるデザインを採用。ワンモーションのシルエットはCD値0.30と空力的にも優秀。
水平基調の上下二段構成としたインストルメントパネル。室内の広がりを演出しながらも、収納場所としての機能性も追求している。
フロントシートには薄型シートバックを採用して、乗る人の膝まわりや足元にゆとりを持たせた後席空間を確保。快適性を向上させた。
パノラマルーフが開放的な室内空間を演出。外からは室内が見えにくいガラスを採用。もちろんスイッチひとつで自動開閉するシェードも備える。
乗り心地や操縦性を両立した足回りに好感。動力性能は1.3Lエンジンで十分。
スポーティグレードのSに装着される16インチの大径アルミホイール。軽快な走りに貢献する。
搭載エンジンは1.5Lと1.3Lの2機種で、このうち1.3Lエンジンは新開発エンジンに変更された。4WDを含めて全車にCVTが組み合わされるが、1.5Lエンジン用のCVTはスポーツモード付きのアクティブCVT(7速シーケンシャルシフトマチック)になり、さらにSではパドルシフトも採用されている。
新しいエンジンに変わった1.3Lは、従来に比べると性能が向上して1.5Lとの差が縮小している。実際に走らせてもけっこう良く走るので、これで十分という印象を受けると評価できる。
ただ、走りの余裕ということになると1.5Lに分があるのは当然で、7速シーケンシャルモードを使ったときのダイレクト感などは特に有利になる部分。1.3Lではマニュアル操作はできない。
ステアリングはセンター付近の手応えがあって座りが良いほか、操舵したときの反応にもきびきび感がある。状況によってはやや過敏な印象を受けるくらいだったので、上々のレスポンスということができる。
今回のモデルで良くなった印象が際立ったのは足回りで、乗り心地と操縦安定性のバランスに好感が持てた。特にユーロサスペンションを採用したSでは、しっかり感のある足回りなのに乗り心地も悪くなく、軽快なフットワークを発揮してくれた。この足回りはSだけにとどめておくのはもったいな感じで、全車をこの仕様にして欲しいという印象を受けた。
新しいエンジンに変わった1.3Lは、従来に比べると性能が向上して1.5Lとの差が縮小している。実際に走らせてもけっこう良く走るので、これで十分という印象を受けると評価できる。
ただ、走りの余裕ということになると1.5Lに分があるのは当然で、7速シーケンシャルモードを使ったときのダイレクト感などは特に有利になる部分。1.3Lではマニュアル操作はできない。
ステアリングはセンター付近の手応えがあって座りが良いほか、操舵したときの反応にもきびきび感がある。状況によってはやや過敏な印象を受けるくらいだったので、上々のレスポンスということができる。
今回のモデルで良くなった印象が際立ったのは足回りで、乗り心地と操縦安定性のバランスに好感が持てた。特にユーロサスペンションを採用したSでは、しっかり感のある足回りなのに乗り心地も悪くなく、軽快なフットワークを発揮してくれた。この足回りはSだけにとどめておくのはもったいな感じで、全車をこの仕様にして欲しいという印象を受けた。
今回のモデルチェンジで好感が持てたのは、乗り心地と操縦安定性のバランスの良さ。特にユーロサスペンションを採用したSの乗り心地が良く、フットワークも軽快。全車をこの仕様にして欲しいくらい。
コストダウンで装備を簡略化。それでもライバルに比べて割高な印象
今回のモデルチェンジではコスト削減の仕様ダウンが目立つ。走りなどは素性のいいクルマだけに、やや残念ではある。
今回のラクティスでは、コスト削減のためか仕様ダウンしたものがいろいろある。最も問題なのは、従来のモデルで標準装備だったSRSサイドエアバッグとSRSカーテンシールドエアバッグがオプション設定に変わったこと。現行イストがデビューしたときに「今後は全車に標準装備していく」と表明したのに、今年登場したパッソと同様、渡辺社長時代の約束を破っておきながらそのことの説明が一言もない。オプション価格が4万2000円と比較的安めに設定されているとはいえ、標準装備をオプション設定にしたら、100%だった装着率がガタ落ちになってしまう。
ほかにも従来のモデルにあったシートベルトの高さ調整機構やテレスコピックステアリングなどが廃止されてしまったが、これは最適なドライビングポジションを確保するために必要なもの。安全につながる基本の“き”とも言うべき装備なのだが・・・。
横滑り防止装置のS-VSC&TRCは従来のモデルでも最上級グレードにしか設定されていなかったが、今回もSだけにオプション設定。これまた価格が引き下げられて4万2000円になったが、2012年10月から標準装備化される方向になったというタイミングなのに、1グレードにだけオプション設定というのはあまりも緩い。
また価格もやや高めの設定だ。今回のラクティスは全高を下げてコンパクトカーのライバル車と勝負することになるが、フィットやスイフトなどが120万円台からのスタート価格としているのに、ラクティスの価格は140万円台からの設定。いかにも高い印象だ。
ほかにも従来のモデルにあったシートベルトの高さ調整機構やテレスコピックステアリングなどが廃止されてしまったが、これは最適なドライビングポジションを確保するために必要なもの。安全につながる基本の“き”とも言うべき装備なのだが・・・。
横滑り防止装置のS-VSC&TRCは従来のモデルでも最上級グレードにしか設定されていなかったが、今回もSだけにオプション設定。これまた価格が引き下げられて4万2000円になったが、2012年10月から標準装備化される方向になったというタイミングなのに、1グレードにだけオプション設定というのはあまりも緩い。
また価格もやや高めの設定だ。今回のラクティスは全高を下げてコンパクトカーのライバル車と勝負することになるが、フィットやスイフトなどが120万円台からのスタート価格としているのに、ラクティスの価格は140万円台からの設定。いかにも高い印象だ。
ウェルキャブ(福祉車両)「車いす仕様車」は全高1705mmに高められた専用ハイルーフボディを持つ
車高を変えられる後輪エアサスペンションやスロープ、車いす固定装置などを専用装備する
"助手席側リアシート付き"モデルは、後席を前倒しのうえ前方に送り込み格納できるようになっている
こちらが本文中で紹介された「ラクティス」ウェルキャブ(福祉車両)の『車いす仕様車』。タイプI"助手席側リアシート付き"は、車いす仕様車として日本で初めて型式指定自動車に設定され、持ち込み登録が不要となった。
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(レポート:松下 宏)
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