新型フォルクスワーゲン ゴルフ7新車試乗評価の目次
- 早くもユーティリティ性能にも優れたゴルフ ヴァリアントや、スポーティなGTIも登場
- フォルクスワーゲンの戦略MQBを採用した最初のモデルが新型フォルクスワーゲン ゴルフ7。その燃費は、ゴルフとして過去最高の21.0km/Lを達成
- より幅広く、長くなった新型フォルクスワーゲン ゴルフ7。日本で使いやすいサイズの限界値達した!?
- キープコンセプトのスタイリング、質感が高まったインテリア
- 気筒休止、後方排気、オールアルミなど、まったくの新型になった1.4L TSIエンジン
- スムースなDSGに、徹底して無駄なガソリンを消費しないようにするエンジン
- 世界がベンチマークするゴルフは、さらに多くの日本車の前を走ることになる
早くもユーティリティ性能にも優れたゴルフ ヴァリアントや、スポーティなGTIも登場
2013年5月に発表されたフォルクスワーゲンゴルフ7 は、革新的なクルマ作りによるデキの良さが高く評価され、日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY) を始め、ワールドCOTY、ヨーロッパCOTYを完全制覇する結果を残した。2013年に限っていえば、ゴルフ7に勝るクルマはなかったといえる。
その2013年末には、ゴルフのワゴン モデルであるヴァリアント が追加された。ゴルフというとハッチバック 車のイメージが強く、セダン モデルはジェッタ 、ヴェント、ボーラ、などと名前を変えてきたものの、結局日本市場で浸透することはできなかった。
ゴルフヴァリアントはゴルフ3の時代にゴルフワゴンの名前でデビューして以来、各モデルにヴァリアントが設定されてきた。セダンに比べれば、人気やイメージの面では優位に良かったものの、良く売れたかといえばさほどではなかったのが実情である。
■フォルクスワーゲン ゴルフヴァリアント試乗評価 積載性・燃費・価格よし、全方位敵無しの完成度を誇るゴルフヴァリアント!
新型フォルクスワーゲン ゴルフ7は、とても良いクルマだ。指摘すべき欠点はほとんど見つからないくらいで、いろいろな意味でとても良くできている。欠点を見つけられないのは、ちょっと悔しい気分である。
今回のフォルクスワーゲン ゴルフ7では、モジュラー・トランスバース・マトリックス(ドイツ語の頭文字はMQB)と呼ぶ新しい開発・生産手法を採用した。
ゴルフ7や他のいくつかのフォルクスワーゲン車、さらにアウディやセアト、シュコダなどグループ各社のいろいろなクルマと、見えない部分で共通化できる部分は共通化し、個性化を図る部分ではブランドアイデンティティを強調する形でクルマ作りがなされている。
これは、開発の合理化につながってボディの軽量化が大きく進められるとともに、生産の合理化にもつながって確実にコストダウンが図られた。
■新型フォルクスワーゲン ゴルフ7新車試乗評価 アラ探しが困難なほどの完成度! さらに、もはや国産車をも超えたコストパフォーマンス! ライバル不在?
フォルクスワーゲンは、屋台骨ともいえる主力モデル「フォルクスワーゲン ゴルフ」のスポーツモデルである「ゴルフGTI 」の発売を開始した。
フォルクスワーゲン ゴルフは、2013年6月にフルモデルチェンジし7代目のモデルとなった。そのゴルフ7に高性能エンジンなどを搭載したハイパフォーマンスモデルがゴルフGTIだ。このゴルフGTIは、もはやゴルフの中の1グレードというよりは、完全にゴルフGTIというブランドになっている。そのため、ゴルフを買うならGTI以外の選択肢は無し! そんなファンも多く、高額な価格ながらゴルフシリーズのラインアップの中でも、高い構成比になっている。
新型ゴルフGTIのエクステリアは、随所に伝統を受け継ぐ数々の専用装備が施されている。赤く塗装され
たブレーキキャリパーやラジエーターグリルのハニカムデザインなど、GTIであることを主張している。主張しているといっても、いかにも違います! と、ハデハデしくアピールするものではなく、ちょっと控えめなのがゴルフGTIの特徴でもある。バンパーなどのデザインも普通のゴルフとは明らかに違うのだが、並べてみないと分からないくらいだ。この控えめさが人気の理由でもあり、さり気ないアピールが日本人の心に響いているのだろう。
フォルクスワーゲンの戦略MQBを採用した最初のモデルが新型フォルクスワーゲン ゴルフ7。その燃費は、ゴルフとして過去最高の21.0km/Lを達成
フォルクスワーゲン ゴルフは、1974年に初代が発売されて以来、6世代38年間にわたり 2,900万台以上が生産されている世界的ベストセラーのFF車。日本においても、1988年に統計を開始して以来25年間、ゴルフシリーズとして販売台数ナンバー1をキープするなど、最も親しみやすい輸入車のひとつだ。また、その完成度の高さは圧倒的。世界中の自動車メーカーが、フォルクスワーゲン ゴルフをベンチマークにして新型車を開発するものの、フォルクスワーゲン ゴルフを超える5ドアハッチバックは次世代のゴルフのみとも言われるほどだ。
今回7世代目となる新型フォルクスワーゲン ゴルフ7は、今までにないMOBと呼ばれるフォルクスワーゲンの新しいモジュール戦略の第一弾となっている。MQBとは、モジュラー トランスバース マトリックスと呼ばれ、ブランドや車両のクラスを超えて、様々な車両コンポーネントを標準化する技術。より低コストで、多品種生産でき、よりリーズナブルな価格のクルマが手に入るという利点がある戦略だ。
そのMQB戦略により開発されたフォルクスワーゲン ゴルフ7は、先代で高い評価を得た TSI エンジンや高剛性ボディ、サスペンションだけでなく、エアコンやインフォテイメントシステムにいたるまで新世代モジュールとしてゼロから開発された。そのため、機能と性能を格段に向上しながら、プレミアムカーに匹敵する内外装品質、クラス最高の安全装備、大幅な軽量化と燃費の向上に成功しているという。
<新型フォルクスワーゲン ゴルフ7の新車情報・購入ガイドの続きはこちら>
■フォルクスワーゲン ゴルフ7新車情報・購入ガイド 燃費、価格、パフォーマンスなど、もはや隙なしの圧倒的な完成度!
より幅広く、長くなった新型フォルクスワーゲン ゴルフ7。日本で使いやすいサイズの限界値達した!?
新型フォルクスワーゲン ゴルフ7の本格的な発売は夏ごろとされているが、4月上旬から導入記念の特別仕様車の受注が始められた。これを機会に、ヨーロッパで乗ったゴルフ7の印象をレポートしておきたい。
新型フォルクスワーゲン ゴルフ7は、現行のゴルフ6が日本でデビューしたのが2009年4月だから、4年という比較的短いサイクルでフルモデルチェンジを受けることになった。それも、今回のモデルはMQBと呼ぶモジュラー戦略によって、基本プラットホームからシャシー、パワートレーン、内外装のデザイン、装備などまで全面的に新しくしているのだから驚かされる。MQBはモジュラー トランスバース マトリックスと呼ばれ、ブランドや車両のクラスを超えて、様々な車両コンポーネントを標準化する技術。
MQBに基づく開発・生産システムの革新は、クルマの軽量化につながるもので、比較の仕方にもよるが、ゴルフ7に比べて最大100kgもの軽量化が図られたという。
ただ、ボディサイズは、やや大きくなった。全長が55mm長い4265mmになり、全幅も10mm広い1800mmで、全高だけが25mm低くなって1460mmになった。全幅はついに1800mmに達したが、これは日本で使うには限界ともいえるサイズである。何とかここで踏み止まってくれて良かった。
エンジンについては、ゴルフ6の時代にダウンサイジングが図られたが、ボディは今回もまた大きくなった。また日本で予約受注が始まった特別仕様車のタイヤサイズは16インチと17インチだから、旧型並みかやや大きくなる方向である。
★発表前に早くも登場! 新型ゴルフ7限定車
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キープコンセプトのスタイリング、質感が高まったインテリア
外観デザインは、ひと目でゴルフと分かるものとすると同時に、現代的に洗練されたものになった。この点では、キープコンセプトの正常進化といえる。
全長とホイールベースが長くなって前輪が前方に移動し、フロントのオーバーハングが短くなったことで、ノーズが長くなったような感じを与えるとともに、空力特性などに配慮してやや傾斜を強めたAピラーがスポーティな雰囲気を表現している。
インテリアは、大きく変わった感じがある。これまでのゴルフというか、フォルクスワーゲンのクルマはすべからく、機能性を追求したインパネデザインが採用され、それがフォルクスワーゲンらしい質実剛健さを表現していた部分もあるのだが、それが今回は大きく変わった。
インストセンターの部分を運転席側にやや傾けた、ドライバーオリエンテッドのデザインが採用されたからだ。これはBMWやアウディなど、ほかの多くのメーカーが採用しているものだが、フォルクスワーゲンとしては初の採用である。
これによって、インテリア回りの質感が大きく向上したが、それだけでなくインパネ回りに全面的にソフトパッドを採用したり、シート表皮やドアトリムなども素材も含めて、ラグジュアリーさやプレミアム感が強調されている。
気筒休止、後方排気、オールアルミなど、まったくの新型になった1.4L TSIエンジン
フランクフルトからフランスを経由して、ジュネーブまで600kmを超える距離を走ったのは、1.4LのTSIエンジンを搭載したモデルで、快適装備や安全装備をテンコ盛りにした仕様の2ドアと4ドアだった。ほかに、ディーゼルエンジンを搭載したレンタカーにも試乗した。
1.4LのTSIエンジンというと、排気量や直噴+インタークーラー付きターボ仕様であることなどはこれまでと変わらないが、エンジン自体は全く新しく開発されたもの。オールアルミ製のブロックを採用するなど、軽量化や効率の向上が図られたエンジンである。
排気ガス浄化の効率を高めるために、前方排気から後方排気に変更されたほか、スタート/ストップ(アイドリングストップ)機構に加えて気筒休止システムも採用されるなど、いろいろな意味で新世代のエンジンとされている。
パワー&トルクは、103kW(140ps)/250N・mを発生するから、これまでの1.4LのTSIエンジンに比べると動力性能は大きく向上している。ボディが軽くなって動力性能が向上したのだから、走りが良くならないわけがない。組み合わされる7速DSGは基本はこれまでと変わらないが、中身はいろいろな改良を受けているという。
スムースなDSGに、徹底して無駄なガソリンを消費しないようにするエンジン
新型フォルクスワーゲン ゴルフ7で走り出した瞬間から、いいクルマだなという印象を受けた。剛性の高いしっかりしたボディを持つことが、すぐに感じられたからだ。このしっかりしたボディは、走行中の静粛性の高さや乗り心地の良さにもつながっている。
7速DSGは導入された当初は、低速域で多少のギクシャク感を感じさせる部分があったが、今回の新型ゴルフ7ではそれを全く感じさせなかった。改良が進んでいるのだろう。
新開発エンジンのトルク感は、これまで以上のものだ。わずか1500回転から3500回転までの領域で250N・mの最大トルクを発生するから、通常の走りをしていると、ほとんど最大トルクの領域を使うことになる。滑らかで力強い走りになるのも当然だ。
走り出した後は7速DSGの変速フィールは、さらに滑らかなものになり、ドライバーに余分な意識させることなく、スムーズに変速している。アクセルを踏み込んだときのダイレクト感は、CVTとは違うDSGならではのものだ。
信号待ちなどで停車すれば、すぐにスタート/ストップ(アイドリングストップ)機構が働いてエンジンが停止する。積極的にエンジンを停止して燃費を良くしようという意図が伝わってくるような設定だ。
高速などでクルージングに入ると、気筒休止システムが働く。アクセルを抜いてエンジンブレーキを使うときはもちろんのこと、じわ〜と加速しているようなときなども案外良く粘って2気筒が休止した状態で走れる。これも燃費につながっている。
世界がベンチマークするゴルフは、さらに多くの日本車の前を走ることになる
新しいゴルフ7には、さまざまな新機構・新装備が採用されている。特に最近話題な安全装備の充実度が高められた。
ドライバー疲労検知システムの“Fatigue Detection System”を始め、レーンキープアシストシステム”Lane Assist”、up!用のシティ・エマージェンシー・ブレーキを進化させたプリクラッシュブレーキシステムの”Front Assist Plus”、事故に遭遇する危険を察知したときに事故に備えるプロアクティブ・オキュパント・プロテクション、事故を感知したときに自動ブレーキをかけて二次衝突を防ぐマルチコリジョン・ブレーキシステム、電動パーキングブレーキ&ホールドシステムなどがそれ。
日本で予約受注が始まったモデルには、これらの仕様がすべて用意されている。
走りから装備や仕様に至るまで、大きく進化したといえるのが新型ゴルフだ。新型フォルクスワーゲン ゴルフ7に乗ると、日本車はまだちょっと置いて行かれてしまったな、という印象を持った。
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