戦略的価格でアウディA6が勝負に出た!
アウディ ジャパンは、アウディA6 をフルモデルチェンジし、販売を開始した。新型アウディA6は、軽量化したボディや新世代クワトロシステム、スタート・ストップシステム(アイドリングストップ機能)の搭載したアッパーミディアムクラスのセダンだ。
アウディの販売は、7月に過去最高の販売台数を記録するなど低迷する国内マーケットをものともせずに快進撃を続けている。そんな勢いに乗り、今回の新型アウディA6も国内の輸入車マーケットだけでなく、国産高級セダンまでもをターゲットにしている。そんな姿勢を感じさせるのが、2.8 FSIクワトロ価格。610万円というプライスは、BMW528より105万円も安く排気量の小さいBMW523と同等だ、メルセデス・ベンツEクラスの中でも最安値であるE250CGIよりも24万円安い。国産車と比べると、レクサスGSのAWDが592万円なので、18万円ほど高い程度に収まっているのだ。もちろん、こんな価格設定ができるのは円高によるものが大きい。さらに、販売が好調で、このアウディA6も必ず売れるという見込みがあるからこそできる強者のマーケティングでもある。
アウディ人気の理由の一つとしてあげられるのが、スタイリッシュなデザイン。LEDを多用したポジションランプやヘッドライトなど、最近のトレンドの先駆けともいえる。ところが、今回の新型A6のデザインは、今までの流れからみると意外と地味。塊感のある落ち着きのあるデザインだが、エモーショナルな雰囲気をあまり感じさせない。ある意味、保守的だ。確かに、世界中で売る高級車なのだから、あまりエモーショナル過ぎて好き嫌いが出ると売れないかもしれない、というところだろうか。
ボディは、アウディお得意のアルミと高強度スチールを組み合わせたもの。FR車がないアウディにとって、高級車らしい乗り味を確保するためには、AWDのクワトロシステムを採用するしかないのが現状。クワトロは当然、車重が重くなるので燃費やハンドリング、衝突安全にも影響するのでアルミを使い軽量化する手法が取られている。そういう意味でも、高価なアルミを20%以上使用してAWDなのだから610万円というのは確かにリーズナブルだ。
エンジンは2.8ℓV型6気筒ガソリン直噴(FSI)と、3ℓV型6気筒ガソリン直噴スーパーチャージャー(TFSI)の2種類を用意。いずれのパワーユニットにもスタート・ストップシステムを採用ししている。さらに、減速エネルギーを電気エネルギーへ変換、バッテリーへ還流させるエネルギー回生システムを搭載した。10・15モード燃費は2.8 FSI quattro が11.0km/lで、3.0 TFSI quattro が10.2km/l。クラウン・ロイヤルサルーンに搭載されるアイドリングストップ機能がない3リッターエンジンの燃費が11.8km/l。さらに、160kgほどA6の2.8FSIが重いことを考えれば、200CC排気量が小さいもののまずまずの燃費といえるのかどうか少し微妙だ。欧州車は、10・15モード燃費は悪くても、実燃費が良い場合が多くあるので、そちらに期待したい。評価したいのは、全車にアイドリングストップ機能を装備してきた点。未だ輸入車・国産車の多くがアイドリングストップ機能を持たないなか、素早くアイドリングストップ機能を装着して環境対応してきたのはさすが。とくに、このクラスのような大きな排気量を持つクルマは、アイドリングストップさせるだけでも燃費は大幅に改善するからだ。とくに、停止している時間が長い首都圏での燃費には、期待がもてるかもしれない。
インテリアは、さすがにアウディといった感じで、落ち着いた大人の空間をうまく創り出している。精緻を極めたといってもいいほどの品質感は、高級セダンとしての品格を感じさせる。極端な派手さはないものの、少しおしゃれで高品質。派手さを嫌う日本の高級車に乗るユーザーにも、受け入れられやすい仕上がりだ。
代表グレード | アウディA 62.8 FSIクワトロ |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4930×1875×1465mm |
車両重量[kg] | 1790kg |
総排気量[cc] | 2772cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 204ps(150kw)/5250-6500rpm |
エンジン最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 28.6kg-m(280N・m)/3000-5000rpm |
ミッション | 7速Sトロニック |
10・15モード燃費[km/l] | 11.0km/l |
定員[人] | 5人 |
税込価格[万円] | 610.0万円 |
発売日 | 2011/8/24 |
レポート | 編集部 |
写真 | アウディ・ジャパン |
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