デカくて重いSUVも低燃費化し登場!
メルセデス・ベンツは、SUVの新型「メルセデス・ベンツMクラス」を7年ぶりにフルモデルチェンジし発売を開始した。クリーンディーゼルエンジンを搭載したメルセデス・ベンツML350 BlueTEC 4MATICおよび、5.5LのV8エンジンを搭載したハイパフォーマンスモデル メルセデス・ベンツML 63 AMGは9月下旬頃より納車開始予定となる。
メルセデス・ベンツMLは、3代目となるSUV。ひとつ上のクラスには、全長5mをオーバーするGL。一つ下のクラスには、GLKが用意されており、メルセデス・ベンツのSUVラインアップのちょうど中間にある。メルセデス・ベンツにはGクラスという軍用車両から派生したオフローダーも存在する。しかし、主要マーケットであるアメリカでは、オンロードでの使用がメインでGクラスでは厳しいという判断があった。そのために作られたというのが、このMLということになる。1997年に初代モデルが登場して以来、世界で累計約120万台以上販売された人気モデルに成長している。
新型メルセデス・ベンツMLのデザインは、スリーポインテッドスターを中央に配した大型のラジエーターグリルとLEDを多用した先進的なデザインのヘッドライトが特徴。前モデルのドーンとした威圧感のあるフェイスから、洗練されたスタイルへ変更されている。オフロードというよりは、流麗な都会派SUVのイメージ強くなった。
こういったデザインになるには、やはり燃費というキーワードは避けて通れないのだろう。先代の威圧感タップリのスタイリングも魅力的だが、顔が大きすぎると空気抵抗も大きくなる。空気抵抗を少しでもデザインで減らすには、やはり流麗なスタイルになるということだ。新型メルセデス・ベンツMLは、Aピラーやルーフスポイラー等の多くの空力に影響する部分に最適化を施し、空気抵抗値(Cd値)はクラストップレベルの0.32を実現した。空気抵抗は、高速走行での低燃費化に効く。いかにも、ドイツ車でアウトバーン的発想だ。その結果か、車高も前モデルの1815mmから、1795mmへ20mmほど下げられている。
インテリアは、一段と高級感がアップした印象を受ける。それだけでなく、リアシートバックには角度が9段階に変えられるリクライニング機構を採用。リアシートの居住性を高めたり、ラゲッジ積載量を優先したりと用途に合わせたアレンジが可能となった。また、2:1の分割可倒式後席シートを倒すことで、ラゲッジフロアの構成を自在に変更可能でき、最大荷室容量は2,010リッターとクラス最大級を誇る。
エンジンは、3タイプが用意されており、すべてが最新世代へシフトした。用意されるのは、V6直噴3.5Lガソリンエンジン、V6 3LのBlueTECエンジン(クリーンディーゼル)、AMGモデルには圧倒的なパフォーマンスを発揮する5.5L直噴V8ツインターボエンジンだ。
3.5Lのガソリンエンジンは、最高出力225kW(306PS)、最大トルク370Nmを発生。第3世代ガソリン直噴システムにより、従来モデルに比べ出力・トルクが向上するとともにJC08モード燃費10.4km/L(従来モデル比+42%)と大幅な燃費経済性の向上を実現した。+42%の低燃費性能というのには驚きだが、やはりこれだけの排気量があるクルマは、アイドリングストップ機能が付くだけでも、大きく燃費は改善される。一部の国産メーカーのように、アイドリングストップ機能がオプションだったり、新型モデルだというのにアイドリングストップ機能が用意されていない。今まで燃費が国産車のセールスポイントのひとつだったのに、現在では輸入車の方が低燃費だったりしている。良い技術は、すぐに水平展開するというのがメルセデス・ベンツらしい。
V6 3LのBlueTEC(クリーンディーゼル)は、低圧縮比化やフリクション低減など大幅な改良を施した。最高出力190kW/258PS(従来比+35kW/47PS)、最大トルク620Nm(従来比+80Nm)の実力を持つ。このクリーンディーゼルエンジンは、マツダや日産のものとは違い、排出ガスに高純度尿素水(AdBlue)を噴射することにより化学反応(還元作用)を発生させ、有害な窒素酸化物(NOx)を大幅に削減するディーゼル排出ガス処理システム「BlueTEC」採用している。
ガソリン&クリーンディーゼルとも、最新の高効率7速オートマティックトランスミッション「7G-TRONIC PLUS」やECOスタート/ストップ機能(アイドリングストップ機能)を装備している。
そして、SUVをこんなに速くしていいのか? と思えるほどのハイパフォーマンスモデルML63AMGは、AMG社開発による最新鋭5.5L V型8気筒直噴ツインターボエンジンを搭載。排気量のダウンサイジングを図りながらも、最高出力386kW/525PS(従来比+11kW/15PS)、最大トルク700Nm(従来比+70Nm)を発生し、SUVとしてトップクラスの圧倒的な動力性能をもつ。さらに、効率を高めたAMGスピードシフトPLUSやECOスタート/ストップ機能(アイドリングストップ機能)によりハイパフォーマンスSUVでありながら優れた燃費経済性を実現した。
またシャーシは、専用の電子制御エアサスペンション「AMG RIDE CONTROL スポーツサスペンション」や、コーナリング時のロールを抑えるACTIVE CURVEシステム、AMG強化ブレーキシステム等の採用により圧倒的な動力性能に対応して運動性能と操縦安定性を大幅に高めている。エクステリアは、ML63AMG専用デザインのエアロパーツをはじめ、フロントワイドフェンダー、 21インチAMG5 ツインスポークアルミホイールなどにより、 AMGモデルならではの迫力ある精悍なスタイリングとなっている。
注目したのは、価格。新型メルセデス・ベンツMクラスの価格は、各モデルとも大幅な性能向上と装備充実にもかかわらず、ML350 4MATIC BlueEFFICIENCY、ML350BlueTEC 4MATICは従来モデルより引き下げ、ML63 AMGは価格据置きとした。
まぁ、実質値下げは、これだけ超円高が続いているのだから当然と言えば当然。また、日本マーケットの変化してきており、もうメルセデス・ベンツだから高価でも買う、という時代でもなくなってきている。輸入車偏重も終焉を迎えているようで、多くの顧客が価格なりの価値を自分の尺度で見定めるようになってきた。ブランド力だけでは、もう売れない時代なのだろう。
値下げはしたといっても、新型メルセデス・ベンツMLは、700万円以上もする高級車であることに違いはない。超円高やマーケットの変化で、メルセデス・ベンツという高級車の代名詞的存在も価格を下げている時代。良い物が安く手に入るのは、うれしいことだ。価格が国産車と同等ということはないにせよ、国産車もうかうかしていると徐々に顧客を奪われかねないだろう。
<新型メルセデス・ベンツML価格>
・ML 350 4MATIC BlueEFFICIENCY 3.5L、 V6 直噴 右 ¥7,500,000
・ML 350 BlueTEC 4MATIC 3.0L、V6 直噴ターボディーゼル 右 ¥7,900,000
・ML 63 AMG 5.5L、V8 直噴ツインターボ 右 ¥14,900,000
<新型メルセデス・ベンツML350 4MATIC BlueEFFICIENCYスペック>
■寸法・重量
全長 mm 4,810 全幅 mm 1,925 全高 mm 1,795
ホイールベース mm 2,915
トレッド前 mm 1,640
トレッド後 mm 1,655
最低地上高 mm 200
最小回転半径 m 5.5
車両重量 kg 2,120
乗車定員 名 5
■エンジン
型式 276
種類 DOHC V6
総排気量 cc 3,497
最高出力kw(ps)/rpm 225 (306ps)/6,500
最大トルクNm(kgm)/rpm 370 (37.7)/3,500~5,250
燃料およびタンク容量 ㍑ 無鉛プレミアムガソリン・93
燃料消費率km/L(JC08) 10.4
■ミッション 7速AT
■タイヤサイズ前:後 255/55R18:255/55R18
【関連記事】
- 【メルセデス・ベンツ Mクラス 試乗記】マイナーチェンジでMクラスがより高級志向に
- 【BMW X5 xDrive35d BluePerformance(クリーンディーゼル車)新車試乗記】 もう、ガソリン車には戻れない麻薬的大トルク
- 上品さよりアグレッシブな個性を高めたマイナーチェンジ【レクサスRX新車情報】
- 【アウディ Q5 試乗記】ライバルひしめくプレミアムSUV市場に殴り込み! 低燃費とダイナミックな走りを両立した
- 【マツダCX-5(ディーゼル車)試乗記】クセになる大トルク420Nm
- VWのPHVは、4ドアクーペとSUVのクロスオーバー【VWクロスクーペ】
- イケメン戦隊ヒーロー系は、豪華でタフで切れ味抜群!【レンジローバー イヴォーク/イヴォーククーペ試乗記】
- 【日産セレナ新車情報】 スクープ! 日産セレナにハイブリッドモデルが登場か? 新型日産セレナ ハイブリッド
- スクープ! 2012年登場の次期新型日産ノートは1.2L直噴エンジン+スーパーチャージャー搭載か?【日産INVITATION(インビテーション)】
【オススメ記事】
- フォルクスワーゲン ポロ新車情報・購入ガイド ついに全長4m越えに! 3ナンバー化した6代目新型ポロは、1.0L直3ターボを搭載【ニュース・トピックス】
- 三菱エクリプスクロス試乗記・評価 さすが4WDの三菱! 豪快にリヤタイヤを振りだすような走りも楽しめる絶妙なS-AWCに脱帽!【レビュー】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.6】 日差リーフの実電費チェック! (一般道編)コツコツ電費を稼ぐe-Pedal【評論家ブログ : 日産リーフ】
- メルセデス・ベンツSクラス新車情報・購入ガイド 約20年振りの直6エンジンに、ISGを組みあわせた次世代エンジンを搭載!【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.5】 日差リーフの実電費チェック! (高速道路編)実電費アップは、こだわりの空力性能にあり!【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 三菱エクリプスクロス新車情報・購入ガイド スタイルに走り、装備とスキ無しの完成度を誇るコンパクトSUV。ガソリン車だけしかないことが、唯一の弱点?【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.4】 30歳代クルマ好き女性、初めての電気自動車! その評価は?【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 日産セレナe-POWER新車情報・購入ガイド ついに、シリーズハイブリッドシステムを搭載したセレナ! 5ナンバーミニバン、ハイブリッド車戦争へ加速!!【ニュース・トピックス】
- マツダCX-8試乗記・評価 際立つ運転のしやすさ! こだわりの「躍度」を雪上でチェック!【レビュー】
- 日産テラ(TERRA)新車情報・購入ガイド ナバラベースのSUV中国でデビュー! 日本への導入は?【ニュース・トピックス】
【関連記事】
- 日産エクストレイル(T33型)vs トヨタ ハリアーハイブリッド(80系)徹底比較!【対決】
- ホンダZR-V vs 日産エクストレイルを徹底比較・評価! 失敗・後悔しない新車選び【対決】
- レクサスRX新旧比較 失敗・後悔しないためのクルマ選び【対決】
- トヨタ クラウンクロスオーバーvsトヨタ ハリアーハイブリッド徹底比較・評価 失敗・後悔しないためのクルマ選び【対決】
- 日産エクストレイルvsスバル フォレスター徹底比較・評価 失敗・後悔しないためのクルマ選び【対決】
- ロングドライブでの運転が楽しく疲れにくい、お勧め中古SUV5選! 後悔・失敗しないための中古車選び【生活・文化】
- スバル クロストレック VS トヨタ カローラクロス徹底比較・評価 失敗・後悔しないクルマ選び【対決】
- トヨタ ハリアーvsマツダCX-60 XD-ハイブリッド比較・評価 失敗・後悔しないためのクルマ選び【対決】
- 日産エクストレイル新旧比較・評価 失敗・後悔しないためのクルマ選び【対決】
- スズキ スペーシアギアvs中古車クロスビー 同価格帯比較・評価 失敗・後悔しないためのクルマ選び【対決】
【オススメ記事】
- ホンダWR-V試乗記・評価 大満足か後悔か? 成功か失敗か? 見極め重要なコンパクトSUV【ホンダ】
- 日産エクストレイル(T33型)vs トヨタ ハリアーハイブリッド(80系)徹底比較!【対決】
- 日産フェアレディZ新車情報・購入ガイド 2025年モデルが登場! 納期は? 転売ヤー対策は?【日産】
- BMW M2クーペ(G87)試乗記・評価 「サーキットで乗ってみたい!」クルマ好き女子が試乗!【BMW】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、栄えある10ベストカーが決定! 今年のナンバー1は、どのクルマに!?【イベント】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、ノミネート車31台が決定!【イベント】
- マツダCX-80試乗記・評価 すべてに大人の余裕を感じた国内フラッグシップ3列SUV【マツダ】
- 三菱 アウトランダーPHEV新車情報・購入ガイド 大幅改良&値上げ。それでも、コスパ高し!!【三菱】
- スズキ フロンクス試乗記・評価 価格、燃費値を追加。欧州プレミアムコンパクトに近い上質感【スズキ】
- 日産セレナAUTECH SPORTS SPEC新車情報・購入ガイド 走りの質感を大幅向上した特別なモデル【日産】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!