イケメン戦隊ヒーロー系は、豪華でタフで切れ味抜群!【レンジローバー イヴォーク/イヴォーククーペ試乗評価】
イケメン戦隊ヒーロー系は、豪華でタフで切れ味抜群!【レンジローバー イヴォーク/イヴォーククーペ試乗評価】の目次
圧倒的デザイン力は、キッチリ四隅においたタイヤの配置にある?
かなりのイケメンである。ちょっとタフな戦隊ヒーローものの俳優が乗っていそうな雰囲気もある。もはや、この存在感にかなうモノ無しだ。圧倒的なデザイン力というのは、こういうことを言うのだろうと、レンジローバー イヴォーク/イヴォーククーペを眺めながら、そう思った。
面白いもので、僕自身はドラマチックでエモーショナルと思っていても、これだけ個性的だと必ずアンチもいる。同業者とレンジローバー イヴォーク/イヴォーククーペのデザインについて意見交換すると、ほぼ8割くらいの確率で大絶賛だ。ところが、約2割くらいの人がなんと「カッコ悪い」と言い切るのだ。その瞬間「エエっ?」と思うのだが、こればかりは好き嫌いだからしょうがない。全般的に、60歳を超える人にはあまり好印象ではないような気がした。
そんなレンジローバー イヴォーク/イヴォーククーペのデザインのまさに土台となっているのが、四隅に配置されたタイヤの位置だと思う。前後のオーバーハングが少なく、安定したフォルムを生み出している。この土台の上に、ダイナミックなフェンダーやすべてのピラーをブラックアウトし、まるで浮いているように見えるフローティングルーフ、つり目でシャープな印象のヘッドライトが組み合わされている。さらに、クーペのダイナミックグレードに装備される20インチというあまりに大きいホイールが、これほど見事に収まっているのも珍しい。
レンジローバーは、イヴォークを史上最もコンパクトなモデルとアピールする。しかし、全長4355mmはともかく、全幅1900mmというサイズは、日本の一般道を走る上で、とても気を使う。ちょっとした路地などでは、対向車とのスレ違いも緊張する瞬間になる。ただし、最小回転半径が5.5mなので、全幅サイズの割には意外と小回りが効く。全高はスタイリッシュなボディをもつクーペで1730mmとなり1760mmの5ドアより30mm低くなっている。
インテリアも絶品。水平基調のダッシュボードに太く垂直に交わるコンソールが、SUVらしい力強さを演出する。オススメは、アイボリー系のシートカラー。実際に買うことを考えると、どうしても汚れが気になってくるかもしれないが、開放感や高級さはピカイチ。クルマの中にいることが、とても贅沢な時間に感じられるだろう。
ダイナミックなデザインとワイルドなSUVという車種でありながら、ドアを開けると高級ホテルのソファーのようなインテリアが出現するようなイメージをもつイヴォーク。そんなギャップも魅力的だと評価したい。
安易にFF車を設定しない本格派ブランド「レンジローバー」の心意気
もはや、このデザインとインテリアだけで顧客のハートを鷲掴み状態で、エンジンやらオフロード性能なんてどうでもよい気持ちになってしまう。とりあえず、エンジンは世の中のトレンド通りダウンサイジング化された新開発4気筒2Lのsi4エンジンが搭載される。直噴ターボ化されたもので、240馬力&340Nmというパワーとトルクを発揮。トルクベースなら、3.5L車並となる。ミッションは、最新の6速AT。ダイヤル型のセレクトスイッチを持っていて、品のあるインテリアに貢献してると評価していい。
もはやアメリカマーケットでは、カタチだけがSUVでハード部分はFFという4WD不要論があり、日本マーケットでもそういった現象が起きている。オフロードなんて走らないし、そもそも今時オフロードなんて探し行かなきゃならないほどでしょ。そうなれば、雰囲気だけ味わえる安いFF車で十分。まぁ、確かに、その通りかもしれない。しかし、イヴォークでは、そんな流れに反して4WDのみの設定。それも、レンジローバー譲りのテレイン・レスポンスやヒル・ディセント・システムなど本格的なシステムを搭載している。
ダイナミックなスタイルでスタイル優先かと思いきや、最低地上高は210mm、アプローチアングルは25度(ダイナミックは19度)と、オフロードでの仕様を十分に考えたスペックが与えられており「カッコだけのSUV」ではない。
ボディは、ランドローバーに使用されているLR-MSをベースとしながら、90%以上をものパーツを新設計されている。
スポーティのようなクイックなハンドリグなのに、乗り心地は良好!
さて、試乗する。最初に乗ったのは20インチホイール(245/45R20)を履いたイヴォーク クーペのダイナミック。走り始めて、ステアリングを少し切っただけで、イヴォークのハンドリングに驚いた。ステアリングをスイっと切ると、クルマがクイッと即座に反応する。まるで、スポーツカーのような、かなりクイックなハンドリングになっている。
SUVに、ここまでクイックなハンドリングが必要なのか? そう思いながら、峠道を走ると大きなボディで着座位置が高いクルマなのに、スイスイとコーナーを駆け抜けてゆくので、それなりに楽しい。クーペの車重でも、1730kgと決して軽くはないのに軽快なのだ。初期の操舵に対するレスポンスは、BMWのX3と比較してもより機敏な印象だ。同じレンジローバーというブランド名を冠していても、ハンドリングなどの性格はまったく違っている。ちょっと硬質な乗り味とシャープなハンドリングは、ドイツ車のイメージに近い。
さらに、この車両には、マグネライドと呼ばれる減衰力を連続可変する機能が付いたダンパーが装着されている。アダプティブ・ダイナミクス・システムにより、少なくとも1秒間に1000回という速さで、車両の動きをモニターに制御を行うというもの。こういったシステムにより、20インチという超大径ホイールを履いていても、乗り心地を損なわずにスポーティな走りもこなすというマルチなフットワークを実現している。たた、個人的には、クルマの動きが機敏過ぎて、フツーに流しているだけでも疲れてしまった。
まぁ、そこまでハードな走りもしないし、クイックなハンドリングも必要ないというのなら、17インチ装着のピュアグレードを選ぶといい。ハンドリングの機敏さは、20インチ(ダイナミック)19インチ(プレステージ)と順に穏やかになってきており、17インチのピュアが一番落ち着いている。価格も450万円〜とお買い得感もある。
エンジンのフィーリングも4気筒の割には上質だった。もっとグォーーっとか、ガァーーとかエンジンが主張してくるのかと思っていたが、存在感は控えめ。パワー&トルクも十分。トルクも340Nmもあるので、アクセルにチョンと足を乗せているだけで自在にスピードコントロールができ高速クルージングも疲れない。
しかし、JC08モード燃費9.0km/Lというのだけが気になる。2Lの過給器付きモデルの中では、ハイパワー系であり燃費が悪化する傾向にあるのは分かるが、今時は二桁台には載せたいところだろう。アイドリングストップ機能などが装着されれば、それだけで10%くらいは燃費向上が期待できるので、早急な装着を望みたい。ミッションの変速比も6速で0.686と低い設定ではないので、一定速度で走れば高燃費が期待できそうだ。
オプションで高価になる傾向。ブランドだけでは、もう売れない時代。売り方にも、もうひと工夫欲しい!
レンジローバー イヴォークの選び方だが、やはり5ドアが基本となる。クーペは、もうイヴォークに惚れ込んでいる人向けで、多少の我慢も苦にならないひと向けだろう。5ドアのピュアで450万円という価格も魅力的に見えるが、ナビなどはオプションとなっている。ナビやキセノンヘッドライトなどがセットになったピュアテクノロジーパックの価格が37万円だ。しかも、ナビはDVDでHDDではないのがポイント。
さらに、後席中央のヘッドレストは1万円となっていて、安全装備に問題がある一部の廉価版軽自動車のようだ。これらを装着すると488万円となる。さらに、なんとキーレスエントリーもオプションで10万円。輸入車として、ある程度納得いくオプション装備を選択すると、イヴォークピュアの価格は498万円になる。約10%ほどの価格上昇だ。こうなると、買い得感があるのかとなると、微妙なところ。
価格イメージでは、同じSUVで2Lエンジンを搭載するBMWのX1とX3の中間といえる。ただし、BMWはエコカー減税&補助金対象車なので、そこまで含めるとX3より少し安い程度となるだろう。
レンジローバー イヴォークは、とても魅力的なクルマで自動車好きだけでなく多くのファンを生み出すことができる魅力的な1台。国産ユーザーも十分にターゲットになるだろう。それだけに、エコカー減税対応や、低金利ローン、メンテナンスパックなどを組み合わせて、買いやすさの提案が欲しい。多くのドイツ系インポーターは、すでに買いやすさの提案をドンドンアピール中だ。その理由は、もう、ブランドだけで売れる時代ではないからだ。
<レンジローバー イヴォーク価格>
◯RANGE ROVER EVOQUE 5ドア
・ピュア(Pure) ¥4,500,000
・プレステージ(Prestige) ¥5,780,000
◯RANGE ROVER EVOQUE COUPE
・ピュア(Pure) ¥4,700,000
・ダイナミック(Dynamic) ¥5,980,000
代表グレード | レンジローバー イヴォークPure(5ドア) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,355×1,900×1,635mm |
ホイールベース[mm] | 2,660mm |
トレッド前/後[mm] | 1,625/1,630 |
車両重量[kg] | 1,760kg |
総排気量[cc] | 1998cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 240PS(177Kw)/5500rpm |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 340(34.7)/1,750rpm |
ミッション | 6速AT |
タイヤサイズ | 225/65R17 |
JC08モード燃費 | 9.0km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 4,500,000円 |
発売日 | 2012/3/3 |
レポート | 大岡智彦 |
写真 | 編集部 |
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