今回装備が充実されたメルセデス・ベンツSLKクラスは、3代目のモデルとして2011年にデビューした。初代メルセデス・ベンツSLKは、1997年にデビューし電動開閉式ハードトップ「バリオルーフ」を装備。500万円を切るメルセデス・ベンツのオープンモデルということもあり、爆発的なヒットを誇った。当時は、長い納車待ちとなり、並行輸入車も増え、中古車価格は新車価格を超えるものまで出たほどだ。

　しかし、2代目はしたたかに価格アップし、余裕で500万円をオーバーする価格帯が中心。経済環境もさらに悪化したこともあり、それほど話題にならないモデルとなった。

　そして3代目メルセデス・ベンツSLKは、密かに人気オープンモデルとしての地位を確保している。メルセデス・ベンツの調べによると、3代目メルセデス・ベンツSLKは、日本国内のオープンカー販売台数ナンバー1となっている。国内のオープンカーがほとんど消滅している状態とはいえ、意外な結果でもある。

　輸入車では、多くのオープンモデルが存在する中で、こういった販売台数という結果を残したのは、メルセデス・ベンツのマーケティングの成果でもある。デビュー当初は、2代目と同じく500万円台前半からの価格帯だったが、500万円台を切る特別仕様車の投入後、エントリーモデルの価格を引き下げ初代SLKの成功事例に習い500万円を切る設定としている。さらに、メルセデス・ベンツとして日本に21年振りとなるマニュアルトランスミッションモデルを導入。マニアックな層も含め、より幅広い顧客層に対応できるラインアップを用意した。こういった戦略が、日本で販売台数ナンバー1となった要因といえるだろう。

　そして、今回はエントリーグレードではなく、中間グレード以上のバリューを上げる戦略が取れれている。

　とくに、魅力的なグレードがメルセデス・ベンツSLK 200 Sports。このモデルには、スポーツサスペンション、新デザインの18インチ5ツインスポークアルミホイールなどが装備され、SLKのスポーティな魅力をさらに引き立てたグレードとなった。そして、これだけの装備アップで、価格は従来モデルより据置きの525万円となっていて、プロダクトのバリューだけでなく価格的バリューも強化した。

　そして、SLK 200＆SLK 350には、よりアグレッシブなスタイリングになるAMGスポーツパッケージを標準装備した。エクステリアには、AMGスタイリングパッケージや18インチAMG5スポークアルミホイールなどを採用。インテリアには、レッドステッチを施した専用デザインのスポーツシートとAMGスポーツステアリングなどを装備している。このモデルにも価格的バリューを高めるために、価格は「SLK 200」は590万円（従来モデル比＋10万円）、「SLK 350」は従来モデルより据置きの770万円としている。AMGスポーツパッケージのオプション価格は、35万円なので価格的バリューはお大幅にアップしている。

　また、オプション設定の見直しも行われた。SLK55AMGに設定されているAMGハンドリングパッケージ装備内容変更が変更された。専用チューニングが施されたAMGスポーツサスペンション、リミテッド・スリップ・デフなどSLK 55 AMGのドライビングパフォーマンスをさらに向上させる装備に加え、インテリアにAMGカーボンインテリアトリムなどを採用する「AMGハンドリングパッケージ」のホイール色をマットブラックペイントに変更した。このあたりは、まぁ、こんなものかという変更だ。オプション価格は従来モデルより据置きの98万円としている。

　販売台数的に多くを見込めないオープンモデルであるメルセデス・ベンツSLK。しかし、こういったモデルを放置せずに、プロダクトと価格両面の価値を上げる戦略で着実に販売台数を積み上げている結果、2013年のメルセデス・ベンツは販売が好調なのだろう。メルセデス・ベンツという魅力的なブランドが、徐々にフレンドリーな価格帯に近付いてきている。今までメルセデス・ベンツブランドは、無縁と思っていた顧客層が少し動き出してきたようだ。

■メルセデス・ベンツSLK価格
・SLK 200 MT　1.8L、直4 直噴ターボ　右　￥4,930,000
・SLK 200 Trend　1.8L、直4 直噴ターボ　右　￥4,980,000
・SLK 200 Sports　1.8L、直4 直噴ターボ　右　￥5,250,000
・SLK 200　1.8L、直4 直噴ターボ　右　￥5,900,000
・SLK 350　3.5L V6 直噴　左/右　￥7,700,000
・SLK 55 AMG　5.5L、V8 直噴　左　￥10,900,000