自動駐車、自動充電、さらに呼べば来るクルマ?
数々のモーターショーで登場してきた日産のPIVOシリーズは、今までコンセプトカー色が強かった。だが、このPIVO3になり、イッキに近未来を具現化させるモデルへと進化した。
そのひとつが、自動運転。場所が限定されるというのがポイントだ。GPSや各種センサーによって、高度な自動運転というよりは、限りなくゴルフ場の電動カートをイメージすると分かりやすい。これらのカートは、路面に埋め込められた進路情報を元に、その進路をなぞって走る。このPIVO3の限られた場所での自動運転というのは、そういう場所をさすのだ。そうは言っても、携帯電話などで呼び出せば自動で指定の場所まで自動運転したり、自動で充電するというのは画期的。日産が提案するスマートシティと呼ばれる街との連携で、クルマ自由に乗り捨てできるたり、乗り捨てた場所とは違う場所に呼び出したりすることができるようになるという。端的に言えば、重い荷物を持って駐車場に出入りすることや、充電場所を探す必要がなくなるということだ。
インホイールモーターが可能にした回転最小半径2メートル
PIVO3の全長2800mm×全幅1650mm×全高1520mmと、全幅や全高はコンパクトカー並みだが、全長はかなり短くなっている。スーパーコンパクトな4人乗りトヨタiQでさえ2985mmだ。対して、PIVO3は1+2の3人乗り。完全にシティコミューターとしの役割に特化している。
このPIVO3には、同じ電気自動車でも日産リーフとは違うインホイールモーターを採用。4つのホイールの中に小型モーターを組み込んだものだ。インホイールモーターにするメリットは、スペースの効率性。リーフのボンネットから、モーターを外し、そのあまったスペースをいかようにも使えるのがメリットだ。
ボディ構造もまったく違ってくる。そのため、今までスペース上の制約があったタイヤの切れ角を大幅に増すことができる。これにより、PIVO3の最小回転半径は2mという驚きのパフォーマンスを実現している。ちなみに、軽自動車のスズキ アルトが4.2m。その半分以下という小回り性能をもつ。
インホイールモーターは、理論上優れた技術となっているが、市販化には大きなハードルがまだまだ存在する。例えば、ホイールの中にモーターがあるのだから防水・防塵する密閉性。しかし、熱を発生するので放熱性も必要。さらに、リーフなら1個のモーターでいいのだが、PIVO3の場合4つモーターが必要なので、コストも増える。また、モーターを動くホイールの中に入れるため、バネ下重量の増加でボディ補強やサスペンションの構造の見直しも必要とされてきた。だが、日産の開発者によると技術の進歩とコストダウンのスピードも加速度を増してきたという。
インホイールモーターは、クルマの概念を変える技術で、今までの車の設計とはまったく違うことにもなるし、生産設備も今までと同様なものを流用して使うことが難しい。まだまだ、たくさんのハードルはあるものの、着実に実用化に向けて進んでいるようだ。
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