大幅値下げ? 買う側の立場になったエントリーモデルの装備充実
最近のプジョーの営業戦略は的を得ていると思う。今回発売されたプジョー207シリーズは、主にエントリーモデルの強化にある。エントリーモデルは、つまり廉価グレードといってもいい。各社、エントリーグレードは、完全に顧客を釣るためのエサ。ただ安いというだけで、実際には装備もイマイチで積極的に選べないグレード。安さで釣って、エントリーグレードより上のグレードを買わせようとする戦略だ。よく耳にする戦略的価格っていうのが、ほとんどソレ。
ところが、このプジョー207のエントリーモデルは、少々違う。エサ用になるエントリーモデルの装備を強化し、一部価格据え置きだ。つまり、もうエサ用ではなく、十分買っても満足できるグレードになった。この営業戦略は、まさに正道。高くていいクルマはたくさんあれど、安くていいクルマは少ない。これなら、エントリーグレードでも十分にお勧めできると評価できる。
5ドアハッチバックモデルのエントリーモデルとなる「Style」のエクステリアには、アルミ調のフロントグリル、フォグランプ、ボディカラー同色 クロームストリップ入りサイドモールを装備。インテリアでは、革巻きステアリングホイール、安全性では、ESPを搭載しながら、車両本体価格は現行モデルから据え置きとなる199万円。追加装備だけで、10万円以上の価値は十分にある。
同時に、ラインアップの見直しを行い、従来の「Premium」と「Cielo」を「Cielo」の1モデルに統一し、ハッチバックのラインアップを「Style」、「Cielo」、「GT」の3モデル展開とした。 新「Cielo」の室内は、ファブリックと人工皮革を組み合わせたシート素材及び、パノラミックガラスルーフを装備、車両本体価格で現行モデルより20万円安い229万円とした。
スポーティモデル「GT」は、ホイールデザインを変更、追加装備として革巻きスポーツステアリングホイールを設定し、価格は現行モデルより6万円安い260万円。
「SW」シリーズでは、新たにエントリーモデルとなる「Style」を追加、225万円という戦略的価格を設定。上級機種の「SW Premium」は、アルミ調のフロントグリル、ファブリックと人工皮革を組み合わせたシート素材を追加装備しながら、現行モデルより9万円安い245万円。
装備を充実させて価格も下げるという背景には、日本投入から4年以上が経過しテコ入れや、ユーロに対しての円高という要素もある。とはいえ、スピーディに価格改定や装備充実という戦略に出たプジョーの顧客志向の姿勢は十分に評価できる。販売台数が好調なプジョー躍進のカギはこんなところにも隠されていた。
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