猛追! メルセデス・ベンツには負けない! より、フレンドリーな自動車メーカーへ! フォルクスワーゲン、新ブランドコミュニケーション「ゴキゲン♪ワーゲン」開始!その訳は?

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【VW】2015/04/25

 

グローバルな視点をもつ庄司社長が、日本独自の戦略を選択した理由とは?

フォルクスワーゲン「ゴキゲン♪ワーゲン」

 フォルクスワーゲン グループ ジャパンは、日本市場でのフォルクスワーゲンのさらなる成長を目指し、日本独自の新しいブランドコミュニケーション活動をスタートする。

その新ブランドコミュニケーションのキャンペーンスローガンは「ゴキゲン♪ワーゲン」だ。

このスローガンから分かるように、まず社名が短縮されワーゲンとなった。グローバル化という流れを重視すると、単にワーゲンとなるとドイツ語でクルマという意味になり、どのメーカーのクルマか分からなくなる。

フォルクスワーゲン グループジャパンの社長である庄司 茂さんは、海外をビジネスの場として活躍してきたバリバリのグローバルな経営者だ。そのグローバル化のなんたるかを知っている庄司社長が、あえてグローバルで意味不明な「ゴキゲン♪ワーゲン」というスローガンを採用したのには訳けがあった。

フォルクスワーゲンは、1953年の第一号車日本上陸以来、約60年にわたり日本マーケットに根付いてきた。その歴史の中で、クルマ非関心層にはビートルやゴルフといった代表的な車種名で呼ばれるというよりも「ワーゲン」という名で総称されていた経緯がある。フォルクスワーゲンにとって悲しいことになるのだが、ワーゲンという総称でフォルクスワーゲンは日本で認知された。それが、日本マーケットの実態でもある。

単にワーゲンという名で認知されることは、必ずしもフォルクスワーゲンにとってうれしいことではなく、本来の社名や車種名の認知を得たいところだ。しかし、すでに60年かけて育ってしまったブランドイメージをそう簡単に変えることは難しい。

ならば、逆手にとってしまえ! と、いうのが今回の「ゴキゲン♪ワーゲン」ということになったのだろう。

元々、フォルクスワーゲンは小型車中心のラインアップ。「ゴキゲン♪ワーゲン」で、顧客とのフレンドリーな関係を保てるのであれば、グローバル視点の違和感なんて関係ない、という選択を庄司社長はした。日本国内を見れば、日本メーカーでさえグローバル化の名のもとに日本に合わないクルマを生産。結果的に売れなくなっていくというクルマがたくさんある。売れているクルマを見れば、軽自動車や5ナンバーミニバンなど、国内に特化したモデルばかりだ。グローバル化という言葉で一気通貫するのもよいが、国が違えばメーカーのイメージも異なって当然だ。そういう意味では、グローバルな価値観をもつはずの庄司社長は、かなりドメスティックな選択をしたことになる。この選択は、正解だと思う。

 

 

「ゴキゲン♪ワーゲン」テレビCM動画

価格&ブランド戦略と、ガンガン攻めるメルセデス・ベンツに対抗する手段が「ゴキゲン♪ワーゲン」

フォルクスワーゲン「ゴキゲン♪ワーゲン」

  もちろん、こうした戦略を取るにはもっと深い理由がある。フォルクスワーゲンは、2年連続で6万台以上を販売し、輸入車販売台数ナンバー1の座を守り続けている。しかし、昨今、メルセデス・ベンツの勢いが止まらない。AやBクラスといったコンパクトカーの投入や、マリオを使った国内専用CM、価格戦略などで販売台数を伸ばし、価格帯の安いフォルクスワーゲンが販売台数で負ける月も出始めている。この状態に、庄司社長はかなりの危機感を持っているはず。メルセデス・ベンツがプレミアムブランドからフレンドリーになり、日本の顧客に寄り添い始めている以上、それ以上にフォルクスワーゲンは顧客との距離感を狭めなくてはいずれ販売台数で負けることになる。

ブランドイメージだけでなく、まずは、メルセデス・ベンツCクラスやBMW3シリーズが属するDセグメントに、新型パサートでチャレンジ。Dセグメントのシェア争いに加わる表明をした。そして、現在250店舗ある販売店を2018年までに、83店舗増やし333店に増やす。ブランドイメージ、プロダクト、販売網と全方位で日本マーケットに挑む。まさに、フォルクスワーゲンの危機感が生んだ大プロジェクトともいえる。

輸入車は高価じゃない! そんな価格戦略「ゴキゲン♪ワーゲン プライス」に期待したい

フォルクスワーゲン「ゴキゲン♪ワーゲン」

 欧州と日本では、ガソリンの規格が違うので仕方ない部分もあるのだが、フォルクスワーゲンはとくにコンパクトカー中心なのに使用するガソリンがハイオク仕様となってしまっている。日本車で現在発売されているハイオク仕様は、一部のスポーツモデルに限られてきている状態。

燃費が良くても燃料費が高くつくので、日本マーケット敬遠されている。スバルは、そうした理由から1.6Lダウンサイジングターボエンジンを日本専用にレギュラーガソリン仕様としている。燃費は良いのだが、ハイオク仕様のためフォルクスワーゲンの個性が生かせない状況だ。

フォルクスワーゲンブランドを日本でよりフレンドリーな関係にしたいのなら、ドイツ本国もレギュラーガソリン仕様を日本向けに用意するなどの配慮もあっていいだろう。より、販売台数増を望むなら、プロダクトそのものも日本の環境に合わせたいところだ。また、ハイブリッドやPHV、クリーンディーゼルといった新しいパワーユニットも望まれている。

フォルクスワーゲンがいかに変わっていくのかということは、十分に理解できた記者会見ではあったが、価格戦略については、なにひとつ触れられていなかった。輸入車=高価というイメージもフォルクスワーゲンには壊してほしい。フレンドリーな価格で「ゴキゲン♪ワーゲン プライス」にも期待したい。

 

 

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(レポート:大岡 智彦

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