【フォルクスワーゲン パサートCC 試乗記】スタイリッシュだけど実用性も文句なし[CORISM] [CORISM]
【VW】2008/12/21
■クーペのような個性的なデザインが最大の魅力と高評価
フォルクスワーゲンのフラッグシップモデルとしてパサートCCが登場した。CCというとプジョーが電動開閉式のパネルトップを持つクーペ・カブリオレの略として使っているが、フォルクスワーゲンではコンフォート・クーペの略として使ったとのこと。ボディタイプとしては4ドアセダンだが、クーペのようにスタイリッシュなクルマに仕上げられている。最近ではメルセデス・ベンツのCLSが同様のコンセプトを持ったクルマとして発売されているほか、古くは 1985年にトヨタがカリーナEDという全高を抑えたクーペ感覚の4ドア車を発売した歴史がある。
フォルクスワーゲンがパサートCCを発売したのは、日本に限らず欧米でもオーソドックスな4ドアセダンの販売比率が下がっていることが背景にある。日本のように極端にミニバンに振れてしまうような売れ方ではないが、セダンの市場が縮小傾向にあるのは同じだ。これに対してクーペなどはボリュームは少ないものの着実に伸びており、セダンが生き残るにはオーソドックスセダンではなく、特徴のあるセダンに仕上げなければならないということがあったようだ。
フォルクスワーゲンがパサートCCを発売したのは、日本に限らず欧米でもオーソドックスな4ドアセダンの販売比率が下がっていることが背景にある。日本のように極端にミニバンに振れてしまうような売れ方ではないが、セダンの市場が縮小傾向にあるのは同じだ。これに対してクーペなどはボリュームは少ないものの着実に伸びており、セダンが生き残るにはオーソドックスセダンではなく、特徴のあるセダンに仕上げなければならないということがあったようだ。
4ドアセダンでありながらルーフ高を低く設定することで、まるでクーペのようなスタイリッシュなフォルムを持つ。 CCというネーミングはコンフォート・クーペの意味だという。
■デザインだけでなくセダンらしい実用性も確保している
リヤビューもクーペ風。同じようなコンセプトのメルセデス・ベンツCLSほど後席の乗降性は悪くなく、セダンらしい実用性の高さも失われてはいない
外観は写真を見ても分かるようにセダンというよりはクーペそのものといった感じ。メルセデス・ベンツCLSほどには極端なクーペ志向ではないが、パサートCCも十分にクーペ風の印象である。この点では実直なクルマ作りで知られるフォルクスワーゲンらしくない感じも受けるところだが、それでもフォルクスワーゲンはフォルクスワーゲンで、CLSほどには乗降性が悪くはなく、後席のドアの開口部も大きく頭をぶつけることなく乗り降りすることができる。セダンとしての実用性はしっかり確保しながらスタイリッシュなクルマに仕上げられたのがパサートCCである。
ひと目でフォルクスワーゲン一族であるとわかるフロントグリルが印象的だ。大きなヘッドライトもスタイリッシュで、フラッグシップセダンにふさわしい風格を感じさせてくれる。
ヘッドライトと同じく涙目形状のリヤコンビランプ。ボディラインにとけ込んだ立体的な造形で、質感の高さも文句なしだ。
ドアミラーにはウインカーや夜間に足元を照らしてくれるライトが内蔵されている。デザインもスタイリッシュで好印象。
■室内空間はゆったり広々! 乗降性も問題なし
標準のセダンに比べ全長と全幅を拡大しながら、全高を65mmも低くしたパッケージングなので、乗り込むときにやや体をかがめる形になるが、それでも普通のセダンとそう変わらない乗降性が確保されている。
室内は4人乗りで後席に乗れるのも2人だけ。これはCLSと同じである。そのことによって結果的に後席の居住空間にも十分な余裕が生まれている。パサートCCには4WD車の設定もあるので、フロアトンネルの出っ張りがあるが、4人乗りならそれが邪魔にならない。後席に座っても頭上、足元ともに余裕の空間が広がっている。さらにホールド性の高いシートが用意されているので、後席に座っても楽しいドライビングを体験できると評価したい。
室内は4人乗りで後席に乗れるのも2人だけ。これはCLSと同じである。そのことによって結果的に後席の居住空間にも十分な余裕が生まれている。パサートCCには4WD車の設定もあるので、フロアトンネルの出っ張りがあるが、4人乗りならそれが邪魔にならない。後席に座っても頭上、足元ともに余裕の空間が広がっている。さらにホールド性の高いシートが用意されているので、後席に座っても楽しいドライビングを体験できると評価したい。
ベースのパサートと同じような雰囲気でまとめられているが、全幅が拡大されたこともあり、ゆったり感とスタイリッシュさは大幅にアップしている。
本革シートの質感は高く、豪華な雰囲気だ。見た目以上にサポート性はしっかりしており、長距離ドライブでも疲れにくいシートだ。
リヤシートは2人がけとなっている。足元や左右のゆとりはもちろん、頭上の空間にも余裕があり、全高が低くなったことのデメリットは感じられない。
■先進の安全装備と快適装備が満載される!
運転席回りの居住空間も十分なもの。本革パワーシートを始め、ウッドパネルやアルミパネルなどがグレードに応じて用意されていて、インテリア回りにも高い質感が表現されている。特にウッドパネルを採用したV6 4MOTINのクォリティが高評価である。
上級グレードのV6 4MOTINには充実した快適装備や最新の安全装備などがすべて標準で用意されている。快適装備はディナウディオのプレミアムサウンドシステムを始め、インテリアアンビエントランプ、後席シートヒーターなどが標準。安全装備はフロントモニタリングシステム、アダプティブクルーズコントロール、パークディスタンスコントロールなどが標準。クルーズコントロールは前車追従を時速0kmまで対応するので、状況に応じて停止するまで対応してくれる。国産車でも一部の上級車だけに採用されているもの。フォルクスワーゲンのフラッグシップにふさわしい充実した装備である。
上級グレードのV6 4MOTINには充実した快適装備や最新の安全装備などがすべて標準で用意されている。快適装備はディナウディオのプレミアムサウンドシステムを始め、インテリアアンビエントランプ、後席シートヒーターなどが標準。安全装備はフロントモニタリングシステム、アダプティブクルーズコントロール、パークディスタンスコントロールなどが標準。クルーズコントロールは前車追従を時速0kmまで対応するので、状況に応じて停止するまで対応してくれる。国産車でも一部の上級車だけに採用されているもの。フォルクスワーゲンのフラッグシップにふさわしい充実した装備である。
メーターは非常に見やすい。中央のインフォメーションディスプレーには平均燃費やクルーズコントロールなどの情報が表示される。
V6 4MOTIONに搭載される6速はMT並のダイレクト感とATらしい快適性を両立させたフォルクスワーゲン自慢のミッションだ。変速の滑らかさやスピードの速さは驚くほど。
ラゲッジスペースの広さは驚くほど。トランクスルー機構も備えているので、長尺物や大きなものでも積み込むことが可能だ。
■快適な乗り心地とスポーティな走りが楽しめるDCCを標準装備
アダプティブシャシーコントロールのDCCは、スイッチひとつでしなやかで快適な走りからスポーティな走りまでドライバーの望む走りを実現してくれる。
搭載エンジンは直列4気筒2リッターの直噴ターボとV型6気筒3.6リッターの直噴DOHCの2機種。4気筒エンジンは6速ATと組み合わされるFF車で、6気筒エンジンは6速DSGと組み合わされるAWD車(4MOTION)となる。
2リッターエンジンを搭載する2.0TSIでもスポーティさは十分。ゴルフなどにも搭載されている2リッターの直噴ターボは200ps(147kW)のパワーと28.6kg-m(280N・m)のトルクを発生し、パサートCCのボディを余裕で引っ張っていく。このエンジンの気持ち良さはすでに定評のあるところで、ややボディが大きいパサートCCに搭載してもその良さがスポイルされることはない。
アダプティブシャシーコントロールのDCCは、2.0TSIにも装備されていて、コンフォートとノーマル、スポーツを切り換えることで、ダンパーの減衰力や電動パワーステアリングの特性が変化し、快適な走りからスポーティな走りまで、ドライバーの意志に応じた走りを示す。特に好感が持てたのはコンフォートで、このモードでの乗り心地の良さはまさに高級車のもの。静粛性と合わせて大いに評価できる。
2リッターエンジンを搭載する2.0TSIでもスポーティさは十分。ゴルフなどにも搭載されている2リッターの直噴ターボは200ps(147kW)のパワーと28.6kg-m(280N・m)のトルクを発生し、パサートCCのボディを余裕で引っ張っていく。このエンジンの気持ち良さはすでに定評のあるところで、ややボディが大きいパサートCCに搭載してもその良さがスポイルされることはない。
アダプティブシャシーコントロールのDCCは、2.0TSIにも装備されていて、コンフォートとノーマル、スポーツを切り換えることで、ダンパーの減衰力や電動パワーステアリングの特性が変化し、快適な走りからスポーティな走りまで、ドライバーの意志に応じた走りを示す。特に好感が持てたのはコンフォートで、このモードでの乗り心地の良さはまさに高級車のもの。静粛性と合わせて大いに評価できる。
2.0TSI(写真上)は2リッター直4ターボ、V6 4MOTIONは3.6リッターのV6エンジンを搭載する。どちらも低回転域から十分なトルクを発生するので、街中から高速道路まで扱いやすい特性だ。
全車17インチのタイヤ&アルミホイールが標準装備だが、2.0TSI(写真上)とV6 4MOTIONではデザインが異なる。
釘などの異物が刺さっても、内部の特殊ポリマーが穴をふさいでくれる新開発のタイヤを採用している。
■パワフルで安定感のある走りを実現したV6 4MOTION
V型6気筒エンジンを搭載するV6 4MOTIONは、排気量の余裕を生かして299ps(220kW)/35.7kg-m(350N・m)のパワー&トルクを発生する。4WD車であることや装備の充実度が高いため、車両重量は2.0TSIに比べると約200kgも重くなるが、それ以上に高い動力性能を備えるため、走りのレベルは一段と高いものになる。4WDによる安定性の高さと合わせて、余裕の走りが感じられる。乗り心地や静粛性などは2.0TSIと変わらないはずだが、実際に走らせた印象ではそれ以上の心地好さが感じられた。
前述のDCCをスポーツにして走れば、箱根のワインディングなども気持ち良く走れるので、走りに関しても高級セダンの快適性とクーペのスポーティさを合わせ持ったクルマと評価していい。
前述のDCCをスポーツにして走れば、箱根のワインディングなども気持ち良く走れるので、走りに関しても高級セダンの快適性とクーペのスポーティさを合わせ持ったクルマと評価していい。
■●お勧めグレード
2.0TSIが500万円で、V6 4MOTINWが602万円という価格設定。実に100万円もの価格差があるのでどちらを買うかは予算が優先してしまうが、余裕があるならV6 4MOTINがお勧め。先進的な安全装備や充実した快適装備を備えることを考えると、実質的に買い得なのはV6 4MOTINのほうだ。
代表グレード | フォルクスワーゲン パサートCC V6 4MOTION |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4815×1855×1425mm |
車両重量[kg] | 1700kg |
総排気量[cc] | 3598cc |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 299ps(220kw)/6600rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 35.7kg-m(350N・ m)/2400〜5300rpm |
ミッション | 6速AT |
10・15モード燃焼[km/l] | 8.8km/l |
定員[人] | 4人 |
税込価格[万円] | 602.0万円 |
発売日 | 2008/11/25 |
レポート | 松下宏 |
写真 | 和田清志 |
(レポート:松下 宏)
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