新型フォルクスワーゲン ゴルフ7新車試乗評価 アラ探しが困難なほどの完成度! さらに、もはや国産車をも超えたコストパフォーマンス! ライバル不在?
安全装備など、装備充実で価格維持。実質価格引き下げで、圧倒的なコストパフォーマンスを実現
新型フォルクスワーゲンゴルフ7 は、とても良いクルマだ。指摘すべき欠点はほとんど見つからないくらいで、いろいろな意味でとても良くできている。欠点を見つけられないのは、ちょっと悔しい気分である。
今回のフォルクスワーゲン ゴルフ7では、モジュラー・トランスバース・マトリックス(ドイツ語の頭文字はMQB)と呼ぶ新しい開発・生産手法を採用した。
ゴルフ7や他のいくつかのフォルクスワーゲン車、さらにアウディ やセアト、シュコダなどグループ各社のいろいろなクルマと、見えない部分で共通化できる部分は共通化し、個性化を図る部分ではブランドアイデンティティを強調する形でクルマ作りがなされている。
これは、開発の合理化につながってボディの軽量化が大きく進められるとともに、生産の合理化にもつながって確実にコストダウンが図られた。
コストダウンできた分をユーザーに還元するのがフォルクスワーゲンの姿勢で、今回のゴルフ7では新エンジンの搭載や安全装備や快適装備の充実化など、価格アップ要因がいくつもあったはずなのに、日本での販売価格は引き下げられている。大したものだと思う。
ゴルフ7も基本コンセプトは、従来と変わらない。手頃なサイズのハッチバック 車で、使い勝手の良さ、走りと燃費の良さ、などを特徴とする。さらに今回のモデルでは、安全装備を充実化したのが注目されるポイントだ。
また拡大したボディサイズ。全幅1,800mmは、国内で使い勝手を考えたらギリギリのサイズ
外観デザインは強いていえば、今回のゴルフで指摘すべき不満点といえるのかも知れない。ボディサイズの拡大に合わせてパッケージングが少し変わり、随所に現代的なデザインが採用されてアップデートされたとはいえ、見るからにゴルフでしかないつまらないデザインということもできるからだ。
逆にいえば、ゴルフ7が引き続きゴルフであり続けることを明確にした外観デザインであり、その意味で大いに評価すべきポイントと考えるべきなのかも知れない。
エクステリアに比べると、インテリアの変更感は明確だ。センターコンソール部分をやや運転席側に傾けたドライバーオリエンテッドのデザインが採用されているからだ。
これは、アウディやBMW など、ほかのメーカーでは早くから採用されているので、特に目新しいものではないが、機能性本意のデザインを採用してきたフォルクスワーゲンとしては、あるいはゴルフとして初の採用である。
ボディサイズが大きくなったのに合わせ、居住空間にゆとりが生まれ、リヤのラゲッジスペースも拡大されている。ボディは大きくなったが、フォルクスワーゲンの開発責任者であるレムケ氏は「ごくわずかに大きくなっただけ」と語っていた。とはいえ、1800mmという全幅は日本での使い勝手を考えるとこれが限界という大きさである。
ほとんど分からないほど振動がない気筒休止システム
フォルクスワーゲン ゴルフ7の走りは、新開発のTSI(直噴ターボ仕様)エンジンの搭載で、一段と気持ち良いものになった。1.4Lエンジンが発生する105kW/250N・mの動力性能は、軽量化されたゴルフ7のボディに対して十分な余裕があるもので、アクセルの踏み込みに応じて滑らかに吹き上がり、かつ持ち良く加速していく。
クルージングに入ると、エンジンの気筒が一部停止してメーターパネル内にそれが表示される。気筒休止&回復は、何の騒音も振動もなく行われるので、メーターパネルを見ていないと分からない。そもそもゴルフは遮音ガラスなどによって高い静粛性が確保されている。
スタート/ストップ(アイドリングストップ)機構は、クルマが停止すればすぐに止まるようなイメージ。積極的にエンジンを停止させる形で働く。再始動時の振動や騒音も良く抑えられて、静かな再始動になってきた。
1.2Lエンジンの発生する77kW/175N・mの動力性能は1.4Lとの差はそれなりにあるものの、走らせて不満を感じるかといえばそんなことはない。むしろタウンユースを中心にした日常的な走りを考えたら、これで十分といった感じの性能なのだ。
これまで、日本や中国で不具合が指摘されることが多かった7速DSGは、今回のゴルフ7で最も気になった点だ。でも、従来のモデルで感じられた低速域でのギクシャク感が、今回のモデルでは全くと言っていいくらいに解消されていて、とてもスムーズな変速を見せた。DSGの問題点はすべて解消されたというのが前出のレムケ氏の言である。
乗り心地や電動パワーステアリングの操舵感など、シャシー性能についても全く不満がない。ゴルフ7では1.2Lと1.4Lのパワーユニット別に、動力性能の違いによって足回りの仕様に違いが設けられているのだが、目隠しテストをされたら分からないくらいの違いしかない。どちらも優れた操縦安定性を発揮し、乗り心地も快適なのだ。
上級グレードのハイラインには、DCCと呼ぶ可変サスペンションも用意されている。しかもサスペンションだけでなく、エンジンやトランスミッション、ステアリングなども好みに応じて味付けを変えられるから、好みやその日の気分に合わせた走りができる。
極めて高い安全装備
フォルクスワーゲン ゴルフ7では、各種装備の充実も大きなポイントだ。特に全車速対応型のアダプティブクルーズコントロールや追突回避・軽減ブレーキなど、最新の安全装備が用意されているのが注目される。それもゴルフ独自の安全装備が用意されていて、アクティブセーフティ、パッシブセーフティとも極めて高いレベルにある。
快適装備では、カーナビの日本仕様が間に合わず、秋から冬にかけての時期にならないと最新仕様の純正ナビが搭載されないのがやや残念だが、最上級グレードのハイラインなら、それ以外の快適装備は基本的に標準で用意されている。
フォルクスワーゲン ゴルフの価格は、ベースグレードのトレンドラインが249万円、コンフォートラインが269万円、ハイラインが299万円の設定だ。グレードによって一部の安全装備がオプション設定になるものがあるが、欲しいなら装着できる仕組みになっている。
当面は、発売当初とあってハイラインが良く売れるのだろうし、今の時点ではこれがお勧めグレードだが、長期的にはコンフォートラインやトレンドラインの比率が高まっていくだろう。
新型フォルクスワーゲン ゴルフ7価格、燃費、スペック等
・ゴルフ7 トレンドライン:2,490,000円
・ゴルフ7 コンフォートライン:2,690,000円
・ゴルフ7 ハイライン:2,990,000円
代表グレード | フォルクスワーゲン ゴルフ7 TSI ハイライン |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,265x1,800x1,460mm |
ホイールベース[mm] | 2,635mm |
トレッド前/後[mm] | 1,535/1,510mm |
車両重量[kg] | 1,320kg |
総排気量[cc] | 1,394cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 140〔103〕/4,500-6,000rpm |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 250〔25.5〕/1,500-3,500rpm |
ミッション | 7速DSG |
タイヤサイズ | 225/45R17 |
燃費 | JC08モード 19.9km/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 2,990,000円 |
燃料 | 無鉛プレミアムガソリン |
レポート | 松下 宏 |
写真 | 編集部 |
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