日産は最上級ミニバンとなる日産エルグランド をマイナーチェンジし発売を開始した。

　日産エルグランドは、2010年8月にフルモデルチェンジし3代目となった。この3台目エルグランドから、FFの乗用車系プラットフォームに変更された。この乗用車系のプラットフォームを採用することで、低床化し全高を下げながら、広大な室内スペースを確保。重心が大幅に下がったことで、乗り心地や操縦安定性が大幅に引き上げられた。また、リヤサスはマルチリンク式を採用。ライバル車が安価なトーションビーム式を採用していることからも、より上質な走りを求めた仕様となっている。

　日産エルグランド開発チームも最初から懸念していたことがあった。このクラスは、大きく見えて上方からどれだけ見下ろすことができるか、ということが重要視される。乗降性や走りの質を高めるために低床化し全高を下げクルマとしての性能を高めたことがたことが、マーケットニーズと反するからだ。その懸念は、現実のものとなる。月販販売台数は、2千台前後を推移。直近では1千台を割る月も多くなってきたのだ。3～5千台規模をコンスタントに販売するトヨタのヴェルファイアと大きな差がついてしまった。

　そんな日産エルグランドだが、モデル途中で「MOD（移動物検知）」機能を搭載した「アラウンドビューモニター」や「踏み間違い衝突防止アシスト（駐車枠検知機能付）」を積極的に採用。安全装備の装着が遅れるトヨタとの差別化を狙って地道に進化している。ただし、残念なのは一部のグレードのみの設定となっている。

　今回のマイナーチェンジでは、「250XG」を除く全グレードで、ヘッドライト、フロントグリル、フロントバンパーのデザインを一新。フロントグリルは、押し出し感や力強さをアピールするために大型化。クロームメッキで囲むことで高級感も高めている。さらに、シグネチャーLEDポジションランプ装備し、精悍さのある力強いヘッドランプと組み合わせることにより、存在感と高級感兼ね備えたフロントフェイスとした。

　ヘッドライトは、クラス初のLEDを採用。視認性の向上は当然として、夜でもひと目でエルグランドと分かる個性を主張する。さらに、リヤコンビランプは新デザインのクリアコンビランプとなった。

　高級感の増したエクステリアと同様に、インテリアもグレードアップした。上級グレードの「ハイウェイスター プレミアム」には、カラードクロームを配した深みのある専用グラデーションブラックメープルフィニッシャーを採用。さらに、手の込んだアンバーアクセントスペシャルステッチを施したダイヤ型キルティングのブラックメタリックレザー（本革）と組み合わせ、特別感と高級感を演出する「グランドブラックインテリア」として新設定した。

　マイナーチェンジされたエルグランドには、新グレードも追加されている。新規追加されたグレードは、「250ハイウェイスター プレミアム」。2.5L車でも上級インテリア選択が可能となった。排気量が大きいほど高級という、古い価値ではなく、環境や燃費意識の高い顧客であっても高級なインテリアは欲しいものだ。そんなニーズに対応した新グレードといえる。

　量販グレードの「ハイウェイスター」に設定されている「ブラック/ダークベイブラウンインテリア」は、室内をよりダイナミックに演出するグラデーションブラウンエボニーフィニッシャーと質感を向上させたシート地を採用。メーターまわりでは、大型化により視認性を向上させた新デザインの2眼メーターの中央に、アドバンスドドライブアシストディスプレイ（5インチカラーディスプレイ）を装備した。

　室内空間は、3列目シートに前方向240mmのスライド機能を追加。3列目シートに人が座っていても後部ラゲッジ長を拡大することを可能になり使い勝手が向上。この機能により、ゴルフバッグ6個が積載できるほか、A型ベビーカー、段ボール箱やビールケースなど、様々な荷物を大量に積載できるようになった。

　走行関連の機能では、全車にクルーズコントロールを標準装備。よりイージードライブが可能となっている。

　様々な進化をした日産エルグランドのマイナーチェンジ。色々な部分で使いやすさや高級感もアップしたが、当然、価格もアップしている。また、急速に装着が進む安全装備では、セレナにもほぼ標準装備となったエマージェンシーブレーキがエルグランドには未装備。300万円を超える高級車なのだから、早急な装着が望まれる部分でもある。また、インテリジェントブレーキアシストといった安全装備も装備できるのは3.5Lのみとなっていることからも、装着車の拡大も望まれるだろう。

　日差エルグランドの選び方は、少々難しい。最新の安全装備やアイドリングストップも装備されておらず、燃費もそれほど期待できない。このあたりは、トヨタのヴェルファイアやアルファード も同様。逆に、日産ならセレナ 、トヨタならノア＆ヴォクシー の進化のスピードが早くおすすめは5ナンバーミニバンになってしまうほどだ。

　安全装備や燃費が気にならず、豪華さや広さを望むならエルグランドということになる。そういった嗜好なら、やはり2列目がキャプテンシートとなりオットマンまで装備される7人乗りがいいだろう。この豪華さは格別だ。

　排気量の選択は、予算を無視すれば3.5Lを選ぶといい。基本的に燃費は2.5Lが10.8㎞/Lに対して、3.5Lは9.4㎞/Lとそれほど大きな違いがない。2トン超の重量級ボディなので、当然、余裕のある走りができる。

■3.5L 2WD
350ハイウェイスター プレミアム 7人乗り 5,189,100円
350ハイウェイスター 7人乗り 4,011,000円
350ハイウェイスター 8人乗り 4,011,000円
■3.5L 4WD
350ハイウェイスター プレミアム 7人乗り 5,472,600円
350ハイウェイスター 7人乗り 4,294,500円
350ハイウェイスター 8人乗り 4,294,500円

■2.5L 2WD
250ハイウェイスター プレミアム 7人乗り 3,885,000円
250ハイウェイスター 7人乗り 3,496,500円
250ハイウェイスター 8人乗り 3,496,500円
250XG 8人乗り 3,123,750円
■2.5L 4WD
250ハイウェイスター プレミアム 7人乗り 4,168,500円
250ハイウェイスター 7人乗り 3,780,000円
250ハイウェイスター 8人乗り 3,780,000円
250XG 8人乗り 3,407,250円