スバル インプレッサは、2011年11月にフルモデルチェンジし第4世代となった。このモデルから、5ドアハッチバックをスポーツと呼び、4ドアセダン をG4 と呼ぶようになっている。搭載されるエンジンは、自動車税的にやや中途半端な1.6Lと2.0Lが用意された。残念ながら、ぶつからないクルマで話題となり、高い装着率を誇る自動ブレーキ関連の安全装備「アイサイト」 は、1.6L車には装着不可。2.0Lの上級グレードにしか用意されていない。より高額車を売りたいというスバルの思惑が見え隠れする設定だが、もはや軽自動車 でもステレオカメラが装備された安全装備が用意されている時代。安全装備という視点から見れば、インプレッサは選びにくいモデルとなってきている。

　今回投入されたインプレッサスポーツ ハイブリッドは、すでに発売済みのXVハイブリッドに続く、ハイブリッド車第2弾ということになる。基本的にXVは、インプレッサスポーツのクロスオーバー車なので、多くの部分を共用する。そうしたこともあり、2013年6月にXVハイブリッドが発売された後、すぐにでもインプレッサスポーツに搭載され発売されると期待されていた。しかし、インプレッサスポーツ ハイブリッドの投入は遅れ、約2年後にようやく登場したことになる。

　遅れて登場ということもあり、インプレッサスポーツハイブリッドはXVハイブリッドに比べ、若干進化した。まず、ハイブリッドシステム用バッテリーのエネルギーマネジメントを見直し、高速領域における回生エネルギーの活用を実現。制御変更により回生頻度を向上させ、積極的にバッテリーを使うことで、燃費向上を図っている。

　また、ハイブリッド専用リニアトロニック（CVT）は、従来型に対し、フリクションを低減。トルクコンバーターの流体特性を変更することで、燃費を向上すると共に、よりダイレクト感のある走りを実現した。

　その結果、インプレッサスポーツハイブリッドの燃費は20.4㎞/Lとなった。デビュー当時のXVハイブリッドの燃費は20.0㎞/Lなので、わずかだが燃費が向上している。ただし、ハイブリッド化により20.4㎞/Lという燃費となっているが、エコカー減税は免税対象ではないのが残念なところだ。

　免税にならないとはいえ、インプレッサシリーズのガソリン車に関しては、メーカーオプションを装着するなどの一定条件がないと、エコカー減税の対象にはならないグレードがほとんどで、減税や燃費志向の顧客に対応できる唯一のグレードとも言える。

　ハイブリッド化に伴い、ボディサイズが若干変更されている。全幅+15㎜、全高+25㎜となり、ボディサイズは全長4420×全幅1755×全高1490mmとなった。全高が高くなると、重心高も高くなり、操縦安定性に影響が出るのが普通だ。しかし、ハイブリッド用の電池搭載位置の影響で、逆に重心高は－10mmとなり、より低重心化され、スポーティな走りが可能となっている。

　スバル インプレッサスポーツハイブリッドの価格は2,505,600円から。装備差を抜きに考えると、トヨタのプリウスSツーリングセレクションが2,592,000円。プリウス は、今年度中にフルモデルチェンジが予定されていることもあり、値引き額は大きい。そうなると、価格差はほぼ無い状態で、FFとなるが燃費は圧倒的にプリウスが勝る。

　また、全幅がやや狭く、1.5Lのハイブリッドとなるが同じAWDのホンダ グレイスの最上級グレードが約241万円と安く、燃費も大幅に勝る。また、ガソリン車のマツダ アクセラ20SツーリングSパッケージAWDの価格が約256万円。アクセラと比べるとやや安めの設定で燃費も上回る。アクセラセダン ハイブリッドの中間グレードどSの価格が約259万円。こちらは、FFのみだが燃費性能は圧倒的に上回る。

　スバル インプレッサスポーツハイブリッドの購入ポイントとなるんは、AWDとアイサイトだ。ライバル車の多くが、アイサイト レベルの安全装備が無い。2.0Lハイブリッドと、AWD の組み合わせも無い。そのため、インプレッサスポーツハイブリッドはAWDと2.0Lクラスの出力、そして高いレベルの安全装備が必要、さらに、少しでも燃費が良いモデルが欲しい顧客向けとなる。ハイブリッドという名は付いているものの、燃費性能はそれほど高くないので、燃費だけで選ぶモデルではない。

・インプレッサ SPORT HYBRID 2.0i EyeSight　2,505,600円
・インプレッサ SPORT HYBRID 2.0i-S EyeSight　2,635,200円