サーキットでこそ、その真の実力を発揮する新型WRX STI
スバル のWRX シリーズで、本命モデルともいえるのが新型WRX STI だ。今回の試乗では、富士スピードウェイ(FSW)の本コースを走らせただけなので、逆に良く分からない面も多かったが、走りのパフォーマンスは正にサーキットを走らせるのにふさわしいものであることが良く分かった。
新型スバル WRX STIの搭載エンジンは、EJ20型の水平対向4気筒2.0Lのインタークーラー付きターボ仕様だ。WRX S4 には、新世代の直噴ターボであるFA20型が搭載されたのに対し、STIは従来からのEJ20型を継承した。S4がパワーとともに燃費にも配慮したエンジンにであるのに対し、STIは完全に走りに徹したモデルであるからだ。もちろん、EJ20は歴史もあり信頼性も高い。
ちなみに、従来のモデルではAラインにEJ25型の水平対向4気筒エンジンが搭載されていたが、今回のモデルにはラインナップされていない。
EJ20型エンジンの動力性能は、227kW/422N・mの実力で、数値的にはFA20型とそれほど大きな違いではないし、また従来のモデルと同じ数値でもある。最高出力の発生回転数が、FA20の5,600回転に対して、EJ20は6,400回転となっていて高回転仕様となっていることが違う。
気持ちよく伸びていく加速感、圧倒的なコーナーリングスピード。これだけのパフォーマンスをもちながら、この価格はバーゲンプライス!?
新型スバルWRX STIのタイプSで、FSWのピットレーンを走り始めた瞬間から、S4との違いがびんびんと伝わってくる。本コースに入るところでアクセルを踏み込むと、文字通り背中を押されるような強烈な加速が盛り上がってくる。この加速が高回転域まで、気持ちよく続く。さすがは、WRX STIである。
加速の伸びもスムーズで、ガタ付きをなくすなどの改良を加えられた6速MTを操作していくと、これまで以上にスムーズに加速していく印象があった。FSWの長い直線では、リミッターが作動してメーター読みで190km/h程度までしか加速できなかったが、実際にはまだまだ加速していける感じがあった。280㎞/hまで刻まれたスピードメーターは、伊達ではないだろう。
加速の力強さと同時に挙動が安定しているのが大きな特徴だ。S4も同様に、ボディや各部の剛性を高めることなどによって、極めてしっかりかつ安定した走りが得られる。コーナーでのロールが少なく抑えられるので、その分だけアクセルを踏み込める。
また、コーナーでは切れ味の鋭いステアリングに加え、内側のタイヤにブレーキをかけるトルクベクタリングによって回頭性が高められているので、ハンドルを切り込んでいけば、それに合わせてぐいぐいとノーズを内側に向けていく感じがある。
FSWの本コースを汗だくになって走らせたが、サーキットで走らせても楽しいクルマである。これはブレンボ製のブレーキの安定した効き味によるところも大きい。
一般道では、WRX STIの持つ実力の一部しか発揮できないと思うが、一般道でもどんな走りになるのか、改めて試してみたいと思わせるクルマでもあった。
新型スバルWRX STIは、2台のタイプSに試乗した。本体価格が410万円を超えるクルマなので、簡単には手が届かないが、これだけの性能を持つクルマがこの価格で買えるのは、外国車などでは考えられないこと。考え方によっては、バーゲンプライスともいえるのだ。
少しばかり残念なのは、WRX STIにはアイサイトの装着車が設定されていないこと。早期に設定して欲しいものだ。
スバルWRX STI価格、燃費、スペックなど
■スバルWRX STI価格
・WRX STI 3,790,800円
・WRX STI Type S4,114,800円
代表グレード | スバルWRX STI Type S |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4595×1795×1475mm |
ホイールベース[mm] | 2650mm |
トレッド前/後[mm] | 1530/1540mm |
車両重量[kg] | 1490kg |
総排気量[cc] | 1994cc |
最高出力[ps(kW)/rpm] | 308ps(227kW)/6400rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 43.0kg-m(422N・m)/4400rpm |
トランスミッション | 6速MT |
定員[人] | 5人 |
消費税込価格[円] | 4,114,800円 |
発売日 | 2014/08/25 |
レポート | 編集部 |
写真 | 編集部 |
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