トヨタ アクアは、2011年12月にデビューして以来、納車待ちが続くなど大ヒットとなったコンパクト・ハイブリッドカー。世界最高燃費ということもあり、まさに飛ぶように売れ納車待ち期間が話題になるほど。デビューから1年半が経過した現在でも、その勢いは衰えを見せず軽自動車 並の月販2万台以上をコンスタントに記録する人気車でもある。黙っていても売れていくクルマだけに、繁忙期にもお買い得車やら特別仕様 などは発売されず、今回の新グレードの設定もデビュー以来初となる。
　
今回のGブラックソフトレザーセレクションは、ブラックの合成皮革シート表皮などの採用に加え、スマートエントリー＆スタートシステム、盗難防止システム（エンジン・モーターイモビライザーシステム）、コンライト（ライト自動点灯・消灯システム/ランプオートカットシステム）をセットにしたスマートエントリーパッケージを標準設定した。どちらかと言うと、カジュアル系のイメージが強いアクアだけに、ブラック合皮のシートなどは、よりスポーティさや高級感が欲しいと望む顧客に向く。とくに、トヨタ系 のセダン からのダウンサイザーも十分に満足できる質感だろう。

また、Lグレードをを除く全車に、スーパーUVカットガラス(フロントドア)、助手席バニティミラー付サンバイザーを標準装備し、快適性を高めたほか、助手席オープントレイやドアスイッチベースのアクセントカラーを変更するなど、室内の質感を向上させている。

　トヨタ アクアGブラックソフトレザーセレクションの価格は、194万円とベースのGより8万円アップとなっている。スマートエントリーパッケージの価格が53,550円なので、26,450円分がブラックの合成皮革シート表皮分となる。そう考えると、価格アップ分の価値はあると判断できる。

　ただし、あらためてトヨタ アクアの価格の高さにも驚かされる。今時、上級グレードGでもイモビライザーがオプションなのだ。他車と比較すると、フィット ハイブリッド には標準設定。日産ノートも上級グレードには標準設定だったりする。発売当初からいわれていたが、アクアの場合、標準装備では物足りないので、パッケージオプションを追加していくと、想像以上に高価な価格帯になる。そのため、世界最高燃費といえど、フィット ハイブリッドやノート などとの価格差を低燃費によるガソリン代差で補填することは、ほぼできない状態。ハイブリッドに乗っているという満足感が優先されるクルマだ。

　そのため、2013年秋に発売されるという、新型ホンダ フィットハイブリッドは、燃費でアクアを超え、価格もアクアを下回るという。今回の新グレード追加や一部改良も、新型フィット ハイブリッドを意識したものといえるのだが、スーパーUVカットガラス(フロントドア)、助手席バニティミラー付サンバイザーを標準装備したとはいえ、しっかりと1万円価格をアップしているので一部改良でもお買い得感はない。

　トヨタも新型フィット ハイブリッドが登場することは分かっているので、アクアに対して何らかの対応策を今後も施すことが噂されていることから、アクアを買うのなら、新型フィット ハイブリッドが登場してから、というのが得策だ。現在、ほとんど値引きがないといわれているアクアだが、新型フィット ハイブリッドとの競合となれば、値引き額もアップするのは確実だろう。

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