トヨタ は、スポーツコンバージョン車を手がけるGAZOO Racingが開発したスポーツセダン 「マークX GRMN」 を2015年3月１日から注文を受け付け、6月上旬に全国のトヨペット店を通じて100台限定で発売する。

　ベースとなるトヨタ マークXは2009年にデビューした。すでに、デビューから7年目に入ったモデル。エンジンは3.5Lと2.5Lが用意され、FRながら価格も非常にお買い得なモデルでもある。ただし、セダンの人気がない日本マーケットでは販売台数そのものは少ない状態だ。その理由ともなるのが、クルマの設計が古く、アイドリングストップ機能も付かないエンジンは燃費もエコカー減税対象ともならないなどだ。

　それでも、マークX G'sを投入したり、2013年2月には、カーボンルーフを採用した特別仕様車 250G“Ｓパッケージ・G's CARBON ROOF Ver.”ならびに、350S“G's CARBON ROOF Ver.”を100台限定として設定し発売している。マークX G'sは人気グレードとなり成長。トヨタは数少なくなったFRレイアウトをもつマークXをスポーツセダンとして位置付けたい狙いもある。

　今回投入されたマークX GRMNは、マークX 350Sをベースとした。驚きなのは、6速ATを6速MTへ換装してきた。限定台数が100台ということもあり、思い切った選択だ。足踏み式のパーキングブレーキは、手引きタイプとなった。

　搭載されるエンジンは3.5L V6で321ps＆380Nmを誇る。ベースエンジンが318psなので3psのアップで、トルクは同じだ。これだけ特殊なクルマであるのなら、もう少し高回転型でパワフルにするなどが望まれるところだが、今回はエンジンンの大幅チューニングは見送られた。その代り、MTとの組み合わせに際して、出力制御特性などのチューニングを実施。低回転から扱いやすいトルクはそのままに、アクセル操作に対するレスポンスの良さを引き出したという。

　エンジンのスペックは控えめだが、細部に渡りこだわりのチューニングが施されている。ルーフパネルはカーボン製に変更された。重心位置の高い部分の軽量化は、クルマの運動性能に大きく左右する部分。カーボンを使うことで、ベースのスチール製に比べ約10kgの軽量化が実現できた。

　重心を下げ軽量化されたボディは、随所に補強が施されている。エプロン三角ブレース、パーテーションブレースなどのボディ補強に加えドアスタビライザー、フロント・リヤガラスの高剛性接着など、細部にわたりボディ剛性を強化している。車高は15mmダウンされ、GRMN専用チューニングのサスペンションが装備されている。

　当然、ブレーキも強化されている。ホイールは、軽量のBBS19インチを装備。その隙間から見えるのは、専用の対向4ポッドのブレーキキャリパーが姿を見せる。

　そして、トヨタ マークX GRMNの価格は540万円。350S G'sの価格が432万円なので、108万円高ということになる。セダンのFRでMTとなると、選択肢がほとんどない。BMW3シリーズ のMスポーツが6MTで511万円といったところ。MT派の中でも、かなりスパルタンなモデルとなるだけに、注目の1台といえるだろう。

■トヨタ マークX　GRMNスペック
ベース車両 マークX 350S
ボディカラー ホワイトパールクリスタルシャイン（オプション）
ブラック
全長（mm）/全幅（mm）/全高（mm） 4,810/1,795/1,420
ホイールベース（mm） 2,850
車両重量（kg） 1,550
乗車定員（人） ５
駆動方式 2WD(FR)
エンジン 2GR-FSE
排気量（L） 3,456
最高出力（kW[PS]/rpm） 236[321]/6,400
最大トルク（N・m[kgf・m]/rpm） 380[38.7]/4,800
トランスミッション ６速マニュアル
サスペンション GRMN専用チューニング
フロントブレーキ ベンチレーテッドディスク
（対向４ポットキャリパー・軽量２ピースローター装着）
タイヤ フロント235/40R19　　リヤ255/35R19
ホイール フロント19-8.0J+40　　リヤ19-9.0J+50