2代目BMW X6 を袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗。試乗したグレードは、X6 xDrive50i Mスポーツだ。

当初、SUV 系のモデルをサーキットでというのはやや違和感もあった。しかし、袖ヶ浦フォレストレースウェイを走らせた印象は、BMWがSACと呼ぶX6はサーキットでの試乗にふさわしい実力を備えたクルマであった。

BMWは世間一般がSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)と呼ぶ系統のモデルに対し、独自にSAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)という呼称を付けている。さらに一般的なSUVとは違ったクーペ 風の外観を持つモデルはSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)と呼んでいる。

SAVやSACにはSUVとは違うというこだわりがあるのだろうが、BMWだけが1社で独自の呼称を展開しても浸透させるのは難しい。一般のユーザーで、SAVやSACを明確に使い分けている人は少ないのではないか。

　BMW X6のボディはかなり大きい。BMWの上級車である6シリーズ系のモデルなのだから当然といえば当然だが、全長は5mに近く全幅は2mに近い。クーペのようなルーフラインをもっていることから、X5 などに比べれば、全高はやや低いものの、それでも1700mmもあっり大きな塊のようなクルマである。

シート高もやや高めの設定ながら、アシストグリップを使ってよじ登るような高さではなく、むしろ適度なシート高で自然な姿勢で乗り降りできるようなクルマだった。そして、乗り込んだ後は高めの着座位置とアイポイントによって、視界の開けた運転のしやすいクルマでもあった。

BMW X6のインテリアは、高級車らしいラグジュアリーな雰囲気にあふれている。シートはダコタレザーの本革シートが標準で、試乗車にはオプションでベンチレーションシートとコンフォートの仕様が備えられていた。液晶メーターは、きれいな表示で見やすいものだった。

BMW X6は後席に人を乗せる前提のクルマではないが、後席の居住空間もそれなりに確保されている。ルーフラインが下がっているが、着座位置も低めなので標準体型の大人が乗っても問題のない広さである。

　試乗車は、xDrive50iだったので、搭載エンジンはV型8気筒4.4LのDOHCターボ仕様で330kW/650N・mのパワー＆トルクを発生する。大柄なボディのSUVで、4WD 車ということもあり車両重量は2300kgに達しているが、この動力性能があればボディの重さは問題にならない。

低回転域から余裕のトルクを発生するのでスムーズに走り出し、アクセルを踏み込めば猛烈な加速が得られる。文字通り豪快な加速である。

Mスポーツの足回りには、アダプティブMサスペンションが標準で、ダイナミック・ドライブやダイナミック・パフォーマンス・コントロールも標準装備されていて、サーキットを走らせてもコーナーでのロールが良く抑えら、気持ちの良い走りが楽しめた。

大柄なボディなので小回りが効かないなど、デメリットとなる部分もあるものの、潤沢な購入資金があり、余裕ある走りを楽しみたい人には魅力的なクルマになりそうだ。日本ではX6の販売台数はあまり多くないが、世界的に見れば良く売れているクルマである。

今回の試乗車は1285万円の本体価格に、ナイトビジョンやサンルーフなどのオプションが約100万円分装着されていた。

■BMW X6価格
・X6 xDrive35i　8,980,000円
・X6 xDrive35i M Sport　9,750,000円
・X6 xDrive50i　11,850,000円
・X6 xDrive50i M Sport　12,850,000円

代表グレード	BMW X6 xDrive50i M Sport
ボディサイズ［mm］（全長×全幅×全高）	4,925×1,990×1,700mm
ホイールベース［mm］	2,935mm
トレッド前/後［mm］	1,655/1,670
車両重量［kg］	2,320kg
総排気量［cc］	4,394cc
エンジン最高出力［kw（ps）/rpm］	330〔450〕/5,500
エンジン最大トルク［N・m（kg-m）/rpm］	650〔66.3〕/2,000-4,500
ミッション	8速AT
タイヤサイズ	F:275/40R20　R:315/35R20
JC08モード燃費	8.6km/L
定員［人］	5人
税込価格［円］	12,850,000円
レポート	松下 宏
写真	編集部