安全装備の価格破壊を起こしたスマートアシスト。ウッカリ追突を防ぐ低速域衝突回避支援ブレーキ機能を試す!
大幅なマイナーチェンジを施し、クラス最高燃費である29.0km/Lを達成した新型ダイハツムーヴとムーヴ カスタム。クローズドの特設コースで、ムーヴのウリでもあるスマートアシストや運動性能などの試乗ができたのでレポートしよう。
まずは、一部グレードを除き5万円という低価格で装着できる衝突回避支援システムである「スマートアシストアシスト」をチェックする。以前のムーヴでは、横滑り防止装置(VSC)でさえ63,000円していた。スマートアシストは、横滑り防止装置の機能をベースとした延長線上にある機能なので、いかにダイハツが戦略的な価格を打って出たかが分かる。まさに、スマートアシストは、安全装備の価格破壊を起こしたといえる。
最初に試乗したのは、低速域衝突回避支援ブレーキ機能。約20km/hまで加速し、アクセルをオフ。ブレーキを踏まずに、ひたすら壁に向かう。止まると分かっていても、不安はつのる。感覚的には「もう、ヤバイって!」と感じるくらいに接近してから警報、その警報を無視したほぼ直後に緊急自動ブレーキがかかり、見事に衝突を回避した。
この機能の作動感覚などは、149万円という低価格でデビューしたフォルクスワーゲンup! のシティエマージェンシーブレーキとほぼ同じ。同じ、レーザーレーダーを使った方式だ。ムーヴの場合、グリル内にレーザーレーダーを搭載し約4〜30km/hでの走行中に前方を監視。相対速度が約20km/h以下の場合、衝突を回避し、約20〜30km/hの場合は被害軽減を支援する。
ただ、このシステムは、赤外線レーダーのみなので、すべてにおいて万能というワケではない。天候にも左右され、雨が強い場合は精度が落ちる。誤作動などのリスク回避のために、機能がオフになることもある。衝突する対象物は、基本的に車両。ただし、レーザーレーダーなので、カメラタイプとは違い人や二輪車などを認識していないが、場合により衝突回避支援ブレーキ機能が作動することもある。
<ムーヴの永遠のライバル? スズキ ワゴンR/ワゴンRスティングレー試乗評価>
■スズキ ワゴンR/ワゴンRスティングレー新車試乗記 スズキの危機感が高めたワゴンR史上、最高の完成度!
<デザインで差をつけろ! ムーヴの新ライバル ホンダN-ONE試乗評価記>
■ホンダN-ONE試乗評価 元F1エンジニア渾身の軽を超えた軽自動車!!
スマートアシスト 低速域衝突回避支援ブレーキ解説動画
社会貢献的意味合いも大きい、誤発進抑制制御
また、もうひとつの機能として注目されるのが、誤発進抑制制御だ。いわゆるアクセルとブレーキの踏み間違えだ。踏み間違え事故は、大きな死亡事故にもなっていて、テレビや新聞などで大々的に報じられることも多い。とくに、免許取りたてのビギナーから、高齢者まで幅広い顧客に乗られる軽自動車にとっては、悲惨な事故軽減という大きな役割を果たす装備だ。
この機能は、停車中もしくは約10km/h以下での走行中に、前方4m以内に障害物がある場合に作動する。踏み間違え時のように、必要以上にアクセルが踏み込まれたとシステムが判断すると、警告音などでドライバーに警告。エンジン出力を抑制し、発進をゆるやかにする。
試乗コースでは、コンビニやファミレスなどの駐車場にある車止めが用意されており、数メートル前方は壁で停止状態からのテスト。この状態で、アクセル全開。警告音が響く中、わずかなパワーで、クルマを前に進めようとするが、車止めを超えるような力はない。この状態は、約8秒間継続される。
多くの踏み違えユーザーは、自分が間違った操作をしたという認識がない場合が多いという。アクセルを踏みつけているのにもかかわらず「私はブレーキを踏んでいるのに、なんで止まらないの?」と、さらにアクセルを踏み続け重大事故になるという。
他の誤発進抑制制御も同じなのだが、ドライバーへは警告音とメーターの表示のみ。クルマには多くの警告音があるため、何の警告音か分からないケースが多い。警告音は時に、焦りを生み、的確な操作を妨げる可能性も考えられる。こういった緊急時には、正しい操作にスグに戻れるように、音声で「踏み間違えです。ペダルから足を離して下さい」などと、正しい操作を促す方向にも期待したい。音声ならば、間違った操作を信じて続けていても、自分が間違っていることに早く気が付くはずだ。超高齢社会に向けて、人に優しいクルマのあり方も必要に感じた。
ダイハツが開発したスマートアシストは、カメラとミリ波レーダーを使ったものに比べれば、確かに機能は限定的。しかし、わずか5万円という価格アップで装着できるようにしたこと、軽自動車というたくさんの販売台数を売るクルマに装着することによる事故発生の件数低減する可能性は高い。社会貢献度も大きいと評価できる。
顧客にとっても、わずか5万円の追加でウッカリ追突を軽減でき、踏み違えも防げ、横滑り防止装置による操縦安定性の確保ができるのならば、まさに、ムーヴにスマートアシストを装着しない理由が見当たらない。
スマートアシスト 誤発進抑制制御機能の解説動画
■新型ダイハツ ムーヴ新車情報・バイヤーズガイド 高い安全装備スマートアシスト搭載したムーヴ参戦で、ダイハツVSスズキVSホンダ三つ巴の軽自動車戦争へ
新型ダイハツ ムーブ/ムーブ カスタム 燃費 価格 スペックなど
<ダイハツ ムーブ/ムーブ カスタム価格>
・L 2WD 1,070,000円 4WD 1,191,000円
・L“SA”2WD 1,130,000円 4WD 1,251,000円
・X 2WD 1,200,000円 4WD 1,321,000円
・X“SA” 2WD 1,250,000円 4WD 1,371,000円
・カスタム X 2WD 1,300,000円 4WD 1,421,000円
・カスタムX“SA” 2WD 1,350,000円 4WD 1,471,000円
・カスタム X Limited2WD 1,420,000円 4WD 1,541,000円
・カスタム X Limited SA 2WD 1,470,000円 4WD 1,591,000円
・カスタム RS 2WD 1,430,000円 4WD 1,551,000円
代表グレード | ダイハツ ムーヴXリミテッドSA スペック |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 3,395×1,475×1,620mm |
ホイールベース[mm] | 2,455mm |
トレッド前/後[mm] | 1,305/1,295 |
車両重量[kg] | 820kg |
総排気量[cc] | 658cc |
エンジン最高出力[ps(kw)/rpm] | 52PS(38Kw)/6800rpm |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 60(6.1/5,200rpm |
ミッション | CVT |
タイヤサイズ | 155/65R14 |
JC08モード燃費 | 29.0km/L |
定員[人] | 4人 |
税込価格[円] | 1,470,000円 |
発売日 | 2012/12/20 |
レポート | 編集部 |
写真 | 編集部 |
【関連記事】
- 新型ダイハツ ムーヴ新車情報・バイヤーズガイド 高い安全装備スマートアシスト搭載したムーヴ参戦で、ダイハツVSスズキVSホンダ三つ巴の軽自動車戦争へ
- マイナーチェンジ前のダイハツ ムーヴ試乗記
- ダイハツ新車情報/購入ガイド一覧
- ダイハツ試乗評価一覧
- スズキ ワゴンR/ワゴンRスティングレー新車試乗評価 スズキの危機感が高めたワゴンR史上、最高の燃費と完成度! を評価する!!
- スズキ ワゴンR/ワゴンRスティングレー新車情報/購入ガイド エネチャージで発電エコカー!
- ホンダN-ONE(エヌワン)新車情報/購入ガイド 売れてます! 1ヶ月で2万5000台、その内訳を分析評価する!
- 新車情報・試乗評価CORISM
【オススメ記事】
- フォルクスワーゲン ポロ新車情報・購入ガイド ついに全長4m越えに! 3ナンバー化した6代目新型ポロは、1.0L直3ターボを搭載【ニュース・トピックス】
- 三菱エクリプスクロス試乗記・評価 さすが4WDの三菱! 豪快にリヤタイヤを振りだすような走りも楽しめる絶妙なS-AWCに脱帽!【レビュー】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.6】 日差リーフの実電費チェック! (一般道編)コツコツ電費を稼ぐe-Pedal【評論家ブログ : 日産リーフ】
- メルセデス・ベンツSクラス新車情報・購入ガイド 約20年振りの直6エンジンに、ISGを組みあわせた次世代エンジンを搭載!【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.5】 日差リーフの実電費チェック! (高速道路編)実電費アップは、こだわりの空力性能にあり!【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 三菱エクリプスクロス新車情報・購入ガイド スタイルに走り、装備とスキ無しの完成度を誇るコンパクトSUV。ガソリン車だけしかないことが、唯一の弱点?【ニュース・トピックス】
- 【日産リーフ 長期評価レポートvol.4】 30歳代クルマ好き女性、初めての電気自動車! その評価は?【評論家ブログ : 日産リーフ】
- 日産セレナe-POWER新車情報・購入ガイド ついに、シリーズハイブリッドシステムを搭載したセレナ! 5ナンバーミニバン、ハイブリッド車戦争へ加速!!【ニュース・トピックス】
- マツダCX-8試乗記・評価 際立つ運転のしやすさ! こだわりの「躍度」を雪上でチェック!【レビュー】
- 日産テラ(TERRA)新車情報・購入ガイド ナバラベースのSUV中国でデビュー! 日本への導入は?【ニュース・トピックス】
【関連記事】
- 三菱 デリカミニ vs ダイハツ タントファンクロス徹底比較評価! 失敗・後悔しないクルマ選び【対決】
- ダイハツ ビジョンコペン 脱軽自動車!? FRになり、さらに走る楽しさ倍増!? JAPAN MOBILITY SHOW 2023レポート【ダイハツ】
- ダイハツ タントファンクロス VS スズキ スペーシアギア 徹底比較・評価 失敗・後悔しないためのクルマ選び【対決】
- トヨタ、ダイハツ、スズキ商用軽バン電気自動車、新車情報・購入ガイド 2023年度内発売へ【スズキ】
- 踏み間違いを防げ! 新車&後付け急発進抑制機能を理解し体感できるイベント開催!【イベント・モーターショー】
- ダイハツ ムーヴキャンバス新旧比較【対決】
- ダイハツ タント新車情報・購入ガイド 新たにファンクロス登場!安全・安心、気遣い満載!!【ダイハツ】
- ダイハツ ムーヴキャンバス新車情報・購入ガイド ライバル車スマイルは必要なしと判断したターボ車がお勧め!【ダイハツ】
- トヨタ ライズ新旧比較 e‐SMARTハイブリッドの実力は?【対決】
- プジョー3008GT HYBRID4試乗記・評価 初PHEV(4WD)とネコ足のおいしいマリアージュ【プジョー】
【オススメ記事】
- ホンダWR-V試乗記・評価 大満足か後悔か? 成功か失敗か? 見極め重要なコンパクトSUV【ホンダ】
- 日産エクストレイル(T33型)vs トヨタ ハリアーハイブリッド(80系)徹底比較!【対決】
- 日産フェアレディZ新車情報・購入ガイド 2025年モデルが登場! 納期は? 転売ヤー対策は?【日産】
- BMW M2クーペ(G87)試乗記・評価 「サーキットで乗ってみたい!」クルマ好き女子が試乗!【BMW】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、栄えある10ベストカーが決定! 今年のナンバー1は、どのクルマに!?【イベント】
- 2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー、ノミネート車31台が決定!【イベント】
- マツダCX-80試乗記・評価 すべてに大人の余裕を感じた国内フラッグシップ3列SUV【マツダ】
- 三菱 アウトランダーPHEV新車情報・購入ガイド 大幅改良&値上げ。それでも、コスパ高し!!【三菱】
- スズキ フロンクス試乗記・評価 価格、燃費値を追加。欧州プレミアムコンパクトに近い上質感【スズキ】
- 日産セレナAUTECH SPORTS SPEC新車情報・購入ガイド 走りの質感を大幅向上した特別なモデル【日産】
CORISM公式アカウントをフォローし、最新記事をチェック!