■国内生産比率が高いマツダなのに、日本での使い勝手を考慮しない大型化したボディをもつ新型アテンザ
対してマツダは、国内生産比率が他メーカーより高く、超円高の影響を受けて、連続の赤字決算。国内での販売台数が上がれば、為替に影響を受けないのだが、なぜか新型アテンザは国内での使い勝手を無視した全幅1,840mm。12月末に発売が予定されている新型トヨタ クラウンは当然、1,800mm以下で登場する。価格帯が違うクルマだが、セダン不振の国内マーケットで、この使い勝手の差が、どう評価されるか注目だ。
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■2012年12月末発表! スクープ!新型トヨタ クラウン新車情報
フルモデルチェンジで世界最高熱効率の直4 2.5L新開発ハイブリッドを搭載か? 激変する新型クラウン/クラウン ハイブリッド
11月20日に発売される新型マツダ アテンザのプロトタイプ車に試乗した。プロトタイプ車なのに一般道で試乗できたのは、マツダが東洋タイヤ箱根ターンバイクを貸し切りにして試乗会を開催したからだ。
試乗したのは合計4台で、セダンとワゴン、ガソリンは2.0Lと2.5Lの2機種を6速AT仕様で、また2.2Lの直噴ディーゼルターボは6速ATと6速MTで試乗したので、次期アテンザに設定されるボディとエンジンをカバーできる形での試乗となった。
最初にアテンザを見た瞬間、デカイなと思った。すでにCX-5が1800mmを超える全幅で発売されていたし、昨年の東京モーターショーに出品されたコンセプトカーも大きかったから覚悟はしていたが、やはり大きい。
世界的に見れば、C/Dセグメントのクルマはこれくらいの大きさであり、世界で、中でもアメリカと中国で勝負しようと考えているマツダとしては、この大きさが必要であることは十分に理解できる。でも、国内での販売を考えるとこの大きさが一定の制約になることは避けられないだろう。
ちなみに、セダンの3サイズは全長4860mm×全幅1840mm×全高1450mmで、ホイールベースは2830mmだ。日本車で似たようなサイズのクルマといえば、クラウンのロイヤルサルーンがそれぞれ4870mm×1795mm×1470mmで、2850mmである。
新型アテンザのボディサイズなんだが、ステーションワゴンを見たら、何となく違和感がある。一般にセダンとワゴンがある場合、セダンのボディやホイールベースを伸ばしてワゴンが作られにるのに、次期アテンザではステーションワゴンのほうが小さく見えたからだ。
聞くと、やはりワゴンのほうが小さいとのこと。あくまでもセダンをベースに開発されたクルマで、ワゴンは使い勝手や取り回しなど、いろいろな要素を加味してこのサイズにしたという。大きなアテンザセダンをベースにさらに大きいステーションワゴンを作ったのではさすがに大きくなりすぎると考えたようだ。
ちなみに現行アテンザは、セダンが全長4735mm×全幅1795mm×全高1440mmで、ホイールベース2725mmだから、次期アテンザがかなり大きくなったのが分かる。
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■大きなボディと大径タイヤだが、まずまずの使い勝手
大柄なボディだけに、外観デザインは伸び伸びした感じが良く表現されている。マツダのフラッグシップモデルらしい堂々としたプロイーションである。昨年の東京モーターショーに出品された雄大(たけり)を具現化したのが、この新型マツダ アテンザだ。
フロントグリルは、CX-5などと共通のイメージで、今の時代のマツダのアイデンティティーを継承する。大きな開口部のグリルをもつ。個人的には好みではないが、遠くから見てマツダ車であることが分かる存在感のあるデザインだ。また大きめのボディながら、全高は比較的低めに抑えられているので、躍動感のあるサイドビューが作られていると評価したい。
インテリアは、いかにもマツダ車らしいドライバーを優先したスポーティなイメージ。カーナビがインスト中央の高い位置に配置されて見やすいレイアウトになっている。
室内の広さは、圧倒的ともいえるほど。運転席回りには適度なタイト感があるものの、後席などは文字通りに圧倒的な広さがある。
タイヤは19インチが基本(2.0Lのガソリンだけが17インチ)とされていて、これも大きい。自動車業界には、フルモデルチェンジするたびにボディやエンジンやタイヤが大きくなっていくという呪縛に支配されているかのようだが、新型アテンザもまたその呪縛から逃れられていない。
ただ、ボディとタイヤが大きいのに、最小回転半径はセダンで5.6m、ワゴンでは5.5mとまずまず良好な数字に抑えられている。
■クリーンディーゼル420Nmの大トルクは、新型アテンザの大いなる魅力のひとつ
エンジンは、2.0Lのガソリンで十分という印象だった。パワー&トルクは114kW/196N・mで、これくらいの実力がリーズナブルであると思えたからだ。
もちろん、SKYACTIVのエンジンとATなので、吹き上がりやレスポンスの良さ、ダイレクト感のある変速フィールなど、いろいろな意味で満足できたし、アイドリングストップ機構によって燃費にも向上している。
これらのSKYACTIV技術は、シャシーやボディなども含めて新型アテンザ全車にフル採用されている。その中で特に好ましく思えたのはブレーキの踏み応えの良さ。剛性感があってしっかり効くブレーキのフィールが印象に残った。
ガソリンの2.5Lエンジンは、138kW/250N・mの実力。SKYACTIVの2.5Lはこれが初登場で、旧型アテンザの2.5Lに比べると動力性能が向上しているだけでなく、アクセルワークに素直に反応するSKYACTIVらしいレスポンスの良さは2.0Lと同じだ。
2.2Lのクリーンディーゼルは、すでにCX-5に搭載されているのと同じで、 直噴+インタークーラー付きターボ仕様によって129kW/420N・mの動力性能を発揮する。
やはり、このエンジンのトルクは大きな魅力だ。強大なトルクを低回転域から発生するので、とても気持ち良く走ることができると高評価だ。
発進直後の低速域では、ディーゼル特有のエンジン音が聞こえてくるので、車外にいる人にはもっと大きく感じられるだろう。でも、走り出してしまえばロードノイズなどのほか音も混じってくるのでディーゼルエンジンの音が気になることはなくなる。
■滑らかな走りと、進化した低燃費化技術
ディーゼル車には、6速MTを設定するという。北海道のユーザーなどに多少は受け入れられるかも知れないが、最近は若いユーザーがMT車を運転する免許を持っていない。販売は相当に限られることになるだろう。
アイドリングストップ機構のi-stopは、ガソリンとディーゼルの両方に設定されている。どちらも比較的良く止まるようになり、しかも再始動時の振動などもより気にならなくなっている。
ステアリングや足回りの自然なフィールは、最近のマツダ車のもの。かつてのマツダ車はすっと切ればぱっと曲がるステアリングや、硬めの味付けをしたサスペンションが特徴だったが、最近は自然で滑らかなな動きが重視されるようなっている。この味付けは好ましいものだ。
このほか、次期アテンザには最新の安全装備である全車速追突軽減ブレーキなどが装備されるほか、蓄電技術のi-ELOOPを採用して燃費につなげるなど、さまざまな新機構・新技術が採用されている。こうした点も含めてどのように評価されるか、注目したい。
■マツダ アテンザ価格 燃費 スペック等
<新型マツダ アテンザ販売予定価格>
■セダン
・20S SKYACTIV-G 2.0 SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 2,500,000円
・25SL Package SKYACTIV-G 2.5 SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 3,000,000円
・XD(クロスディー) SKYACTIV-D 2.2 SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 2,900,000円 SKYACTIV-MT(6MT) 3,026,000円
・XD L Package SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 3,400,000円
■ワゴン
・20S SKYACTIV-G 2.0 SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 2,500,000円
・25S L Package SKYACTIV-G 2.5 SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 3,000,000円
・XD(クロスディー) SKYACTIV-D 2.2 SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 2,900,000円SKYACTIV-MT(6MT) 3,026,000円
・XD L Package SKYACTIV-DRIVE(6EC-AT) 3,400,000円
代表グレード | マツダ アテンザ ワゴンXD |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,800×1,840×1,480mm |
ホイールベース[mm] | 2,750mm |
トレッド前/後[mm] | 1,595/1,585mm |
車両重量[kg] | 未定 |
総排気量[cc] | 2,188cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 129(175)/4,500 |
エンジン最大トルク[N・m(kg-m)/rpm] | 420(42.8)/2,000 |
ミッション | 6AT |
タイヤサイズ | 225/45R19 |
JC08モード燃費 | 未定 |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 2,900,000円 |
発売日 | 2012年11月20日 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | マツダ |
セダンであるハイブリッド車、トヨタ カムリと比べると若干安めの設定となっている。ただし、セダンは人気がなく、カムリでさえ販売台数も1〜2千台/月程度だ。ボディサイズに問題が無ければ、ワゴンはプリウスα Gグレードの5人乗りと同等な勝負が可能。走りのパフォーマンスには、我慢が強いられるプリウスαに対して、新型アテンザ ワゴンは、420Nmという圧倒的なトルクで余裕の走りが可能だ。
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