【マツダ 次世代エンジン試乗評価 その2 ディーゼル編】ガソリン以上の出来のよさ。日本導入もかなり濃厚

はてなブックマークに追加 Googleブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録
【マツダ】2010/11/21

 

世界屈指の新世代ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D」は尿素などの後処理なしでクリーン化を実現

マツダ 新世代エンジン SKYACTIV-D

ガソリンと同じで、圧縮比は14.0。ディーゼルとしては逆に低圧縮になる。後処理を付加しないということはコストも軽減できるということだ
 ガソリンエンジンのSKYACTIV-Gにも増して良かったのがディーゼルエンジンのSKYACTIV-D。というか、性能の高さが分かりやすいのがSKYACTIV-Dだった。
世界一の低圧縮比14.0(ガソリンと同じ数値だがこちらは世界一低い圧縮比だ)を実現するとともに、尿素やNOx吸着触媒などの高価な後処理をすることなく日米欧の厳しい排気ガス規制をクリアする高い環境性能を実現したという。
実際に走らせた印象はさらに良かったと評価したい。まずはエンジンが良く回る。並みのディーゼルエンジンだとレッドゾーンが4500回転あたりから始まって、実際に回る回転数もそれくらいにとどまる。ところがSKYACTIV-Dはレッドゾーンが5200回転とディーゼルエンジンとしてはかなり高く、発進加速などで踏み込んだときは瞬間的にはレッドゾーンに入って5700回転くらいまで回る。
無理して回しても良くないのでそんな運転の仕方は勧められないが、ディーゼルエンジンとしての素性の良さが分かるというものだ。しかも吹き上がっていくスピードも早い。ガソリンエンジンと同じとまではいわないが、ストレスなく吹き上がっていく。

伸びる高回転。でも、騒音や振動は低レベル

 2ステージターボの採用などにより、低速から高速までリニアなレスポンスを示すエンジンに仕上がっている点も見逃せない。環境性能に優れたディーゼルは、ともすれば低速トルクがスポイルされがちだが、SKYACTIV-Dの低速トルクはマツダがヨーロッパで販売している現行のディーゼルエンジンより格段に優れていると評価したい。
高速域での伸びも上々で、三次のテストコースの直線ではメーター読みで220km/h超まで引っ張ることができた。直線が長ければさらに高い速度域まで到達できるだけの実力を持つエンジンだ。
振動や騒音に関しても満足できるレベルにあった。試乗したのがプロトタイプ以前の段階の技術検証車だったので、静粛性についての評価をすべき段階にはないが、走行中の室内での振動や騒音はディーゼルであることが分からないレベルだし、アイドリング時の車外騒音もガソリン車に比べたらちょっとうるさい程度にとどまっていた。
ヨーロッパで高く評価される一方で、日本ではもうひとつ人気が盛り上がらないディーゼルエンジンは、日産がエクストレイルに、三菱がパジェロに搭載するだけにとどまっていて、トヨタやホンダは国内への導入を事実上諦めたような状態にある。
でも、マツダのSKYACTIV-Dのようなデキの良いディーゼルエンジンであれば、国内市場でも改めて評価されるのではないか。現時点においてすでにそんな期待を抱かせるような仕上がりだった。
< 前のページ [1] [2] 次のページ >

【マツダ 次世代エンジン『SKYACTIV-G』試乗記一覧】
①ガソリン編:スカイアクティブ市販化目前、ハイブリッド不要の驚愕燃費
■②ディーゼル編:ガソリン以上の出来のよさ。日本導入もかなり濃厚

マツダ 次世代エンジン SKYACTIV 走りイメージ

【関連記事】

(レポート:松下 宏

【オススメ記事】

【関連記事】

【オススメ記事】