基本コンセプトはそのままにエコ性能を大幅にアップ評価
日産 マーチは初代モデル以来、約10年サイクルでフルモデルチェンジを重ねてきたが、今回は8年とやや短めのサイクルでフルモデルチェンジを受けた。
今回のモデルも経済性が高くて親しみやすいクルマという基本コンセプトは継承されている。手頃なサイズで運転のしやすいクルマであることも変わらないと評価していい。
変わったのは生産工場だ。従来のマーチは追浜工場で生産されていたが、今回のマーチはタイで生産して日本に輸入されるようになった。単にタイで生産するだけでなく、インドや中国なども含め、日産の世界戦略車として世界中のどこでも生産できるように、クルマ作りの段階から工夫が加えられた。
タイで生産したことがネガティブな要素につながることがないよう、タイの最終ラインで日本向け専用の入念なチェックが行なわれるほか、日本に輸入された後も追浜工場のラインでチェックが重ねられる。
これまでに海外生産車の輸入はいくつも例があるが、量販車種の本格的な輸入は今回のマーチが始めてであるため、万が一にもタイ製であることに由来する不具合が発生しないよう、日産も相当に神経を使って取り組んだのが分かる。
外観デザインはごく普通のコンパクトカーになった印象だ。3代目マーチが女性を強く意識して可愛らしいデザインだったのに対し、可愛らしさの追求はさほどではなくなったが、シンプルでクリーンなデザインであり、部分的には従来のマーチのイメージも残している。
インテリアもコンパクトカーらしいシンプルな造形とされている。インパネ回りの樹脂パネルがいかにもプラスチックぽい感じになっているのは、タイ製であることに由来する部分かも知れない。
ボディサイズは全長がやや長く、全幅がわずかに広く、全高はやや低くなり、ホイールベースも延長された。ただ、基本的なパッケージングには変更がなく、室内の居住空間も特に広くなったという感じではない。
今回のモデルも経済性が高くて親しみやすいクルマという基本コンセプトは継承されている。手頃なサイズで運転のしやすいクルマであることも変わらないと評価していい。
変わったのは生産工場だ。従来のマーチは追浜工場で生産されていたが、今回のマーチはタイで生産して日本に輸入されるようになった。単にタイで生産するだけでなく、インドや中国なども含め、日産の世界戦略車として世界中のどこでも生産できるように、クルマ作りの段階から工夫が加えられた。
タイで生産したことがネガティブな要素につながることがないよう、タイの最終ラインで日本向け専用の入念なチェックが行なわれるほか、日本に輸入された後も追浜工場のラインでチェックが重ねられる。
これまでに海外生産車の輸入はいくつも例があるが、量販車種の本格的な輸入は今回のマーチが始めてであるため、万が一にもタイ製であることに由来する不具合が発生しないよう、日産も相当に神経を使って取り組んだのが分かる。
外観デザインはごく普通のコンパクトカーになった印象だ。3代目マーチが女性を強く意識して可愛らしいデザインだったのに対し、可愛らしさの追求はさほどではなくなったが、シンプルでクリーンなデザインであり、部分的には従来のマーチのイメージも残している。
インテリアもコンパクトカーらしいシンプルな造形とされている。インパネ回りの樹脂パネルがいかにもプラスチックぽい感じになっているのは、タイ製であることに由来する部分かも知れない。
ボディサイズは全長がやや長く、全幅がわずかに広く、全高はやや低くなり、ホイールベースも延長された。ただ、基本的なパッケージングには変更がなく、室内の居住空間も特に広くなったという感じではない。
シンプルながら親しみの持てるデザインを採用した。より丸みを帯びて可愛らしいフォルムは、男女を問わず広く受け入れられるだろう。
丸みのあるリヤコンビランプは、質感も高く視認性にも優れている。タイヤはロードノイズも低めに抑えられていおり、快適性も満足できるレベルだ。
エアコンを多用する夏場でもアイドリングストップの効果は感じられる
新しいマーチは、デザインだけでなく、プラットホームやパワートレーンなども一新され、まったく新しいクルマになった。新しいプラットホームはボディの軽量化につながり、従来のマーチに比べて軽くて燃費の良いクルマになっていると評価していい。
搭載エンジンはHR12DE型で、新開発の3気筒エンジンが搭載された。このエンジンは副変速機付きのエクストロニックCVTと組み合わされるほか、アイドリングストップ機構を装着した仕様がメインに設定され、これがガソリン車で最高レベルの燃費につながっている。
3気筒エンジンというと、一般的には振動や騒音の面で不利になりがち。ところが、そんなネガはまったく感じさせなかった。クランクシャフトの両端の部分にアンバランスマスを設定することで、エンジンが発生する縦方向の振動を横方向に転換することで、車内に感じる振動を低減する仕組みとのことだったが、これがとてもうまく効いているとみえて、3気筒エンジンにありがちな不快な振動や騒音は感じなかった。
これに代表されるように新型マーチはコンパクトカーの割には騒音・振動に優れていて、80km〜90km/h程度で走ったときに感じられたのはドアミラー付近からの風切り音。エンジン音は全く気にならないレベルだったし、安っぽいロードノイズも聞こえなかった。
騒音は道路状態や気象状態など、いろいろな要素によって変わるので、単純に評価すべき問題ではないが、とても良くできていたのは間違いない。市街地でもエンジン音はあまり気にならず、ロードノイズが多少気になる程度だった。
そしてエンジンがとても良く止まる。気温が30度を超える暑い夏の日に試乗したから、エアコンは常に効いている状態だったが、それでも信号で停止するたびに必ずといって良いくらいにエンジンが停止する。
停止時間は最大で3分くらいまで可能とのことで、今回の試乗中の信号待ちなどでの停止時間はせいぜい1分くらいだったから、エンジンが再始動するような動作をすることなく、クルマ側の事情で勝手にエンジンが始動することもなかった。
ブレーキペダルを緩めたとき、ステアリングを動かそうとしたときなど、再始動のキーとなる動作をしない限り、エンジンは停止したままだった。マーチは標準車が24.0km/lで、アイドリングストップ機構装着車が26.0km/lという燃費を実現しているが、この2km/l分が丸々アイドリングストップ機構によるものであることが納得できだ。
搭載エンジンはHR12DE型で、新開発の3気筒エンジンが搭載された。このエンジンは副変速機付きのエクストロニックCVTと組み合わされるほか、アイドリングストップ機構を装着した仕様がメインに設定され、これがガソリン車で最高レベルの燃費につながっている。
3気筒エンジンというと、一般的には振動や騒音の面で不利になりがち。ところが、そんなネガはまったく感じさせなかった。クランクシャフトの両端の部分にアンバランスマスを設定することで、エンジンが発生する縦方向の振動を横方向に転換することで、車内に感じる振動を低減する仕組みとのことだったが、これがとてもうまく効いているとみえて、3気筒エンジンにありがちな不快な振動や騒音は感じなかった。
これに代表されるように新型マーチはコンパクトカーの割には騒音・振動に優れていて、80km〜90km/h程度で走ったときに感じられたのはドアミラー付近からの風切り音。エンジン音は全く気にならないレベルだったし、安っぽいロードノイズも聞こえなかった。
騒音は道路状態や気象状態など、いろいろな要素によって変わるので、単純に評価すべき問題ではないが、とても良くできていたのは間違いない。市街地でもエンジン音はあまり気にならず、ロードノイズが多少気になる程度だった。
そしてエンジンがとても良く止まる。気温が30度を超える暑い夏の日に試乗したから、エアコンは常に効いている状態だったが、それでも信号で停止するたびに必ずといって良いくらいにエンジンが停止する。
停止時間は最大で3分くらいまで可能とのことで、今回の試乗中の信号待ちなどでの停止時間はせいぜい1分くらいだったから、エンジンが再始動するような動作をすることなく、クルマ側の事情で勝手にエンジンが始動することもなかった。
ブレーキペダルを緩めたとき、ステアリングを動かそうとしたときなど、再始動のキーとなる動作をしない限り、エンジンは停止したままだった。マーチは標準車が24.0km/lで、アイドリングストップ機構装着車が26.0km/lという燃費を実現しているが、この2km/l分が丸々アイドリングストップ機構によるものであることが納得できだ。
インテリアのデザインは、シンプルで実用性を重視したもの。運転機からの視界はよく、狭い道でも運転はしやすい。フロントシートはもちろん、リヤシートも十分なスペースが確保されている。コンパクトカーとしては、優れた居住性を備えている。
大きなスピードメーターの中心に、インフォメーションディスプレーを装備する。平均燃費や平均車速といった情報に加えて、アイドルストップ時間と節約できた燃料の量なども表示される。さらにエンジン始動直後やバックの際には、タイヤの切れている方向と量を表示して運転をサポートしてくれる。
ラゲッジスペースは、実用十分なスペースが確保されている。リヤシートは分割可倒式で、簡単に収納できる。ただし、少し段差ができてフラットにならないのは、やや残念な部分ではある。
新開発エンジンは動力性能も十分満足できる実力評価
新型マーチの動力性能は79ps(58kW)/10.8kg-m(106N・m)の実力で、これ自体は大したことがないが、走らせて不満を感じるかというとそうでもない。タウンモードから高速クルージングまでも過不足なくこなすだけの実力があると評価していい。すでにいくつかの車種に採用されておなじみの副変速機付きのCVTも上々のフィールだ。
足回りはかなり柔らかめの味付けで、コーナーではそれなりにロールする。スポーティカーの足回りではないのだから、これで良いとは思うが、個人的にはもう少し硬めの足回りが好みである。まあ主なターゲットとなる女性ユーザーのニーズを考えたら、この味付けが正解なのだろう。
最後に価格だが、決して安くない。100万円を切るベースグレードはアイドリングストップ機構も付かないし、装備も簡略化されていてレンタカー会社が買うだけといった感じのグレードだから除外する。普通のユーザーが12Xで120万円台、試乗した12Gに至っては、装備の充実化が図られているとはいえ1.2リッター車で150万円近い価格だ。これだけとせっかくタイで生産したメリットがユーザーに伝わってこないように思う。
日産は新型マーチがタイ製であることを積極的にはアピールしない方針のようだ。聞かれれば答えるが聞かれなければ自らは説明しないという姿勢でいる。これはタイ製であることの価格的なメリットを出せなかったためではないかと考えてしまう。
もうひとつ、安全装備の横滑り防止装置(日産名はVDC)は、2012年までの機会をとらえて装着していくとのこと。なるべく早い時期に全車標準装備化を進めて欲しい。
足回りはかなり柔らかめの味付けで、コーナーではそれなりにロールする。スポーティカーの足回りではないのだから、これで良いとは思うが、個人的にはもう少し硬めの足回りが好みである。まあ主なターゲットとなる女性ユーザーのニーズを考えたら、この味付けが正解なのだろう。
最後に価格だが、決して安くない。100万円を切るベースグレードはアイドリングストップ機構も付かないし、装備も簡略化されていてレンタカー会社が買うだけといった感じのグレードだから除外する。普通のユーザーが12Xで120万円台、試乗した12Gに至っては、装備の充実化が図られているとはいえ1.2リッター車で150万円近い価格だ。これだけとせっかくタイで生産したメリットがユーザーに伝わってこないように思う。
日産は新型マーチがタイ製であることを積極的にはアピールしない方針のようだ。聞かれれば答えるが聞かれなければ自らは説明しないという姿勢でいる。これはタイ製であることの価格的なメリットを出せなかったためではないかと考えてしまう。
もうひとつ、安全装備の横滑り防止装置(日産名はVDC)は、2012年までの機会をとらえて装着していくとのこと。なるべく早い時期に全車標準装備化を進めて欲しい。
新開発の1.2リッターエンジンは3気筒ながら、振動や騒音はあまり気になることはない。パワーやトルクの数値はそれほどでもないが、街中から高速道路まで、動力性能に関して不満を感じる場面はほとんどない。副変速機付きのCVTは、低速域の力強さと高速燃費の良さを両立し、滑らかな走りが味わえる。またアイドリングストップ機構は、キャンセルスイッチも備える。
足まわりのセッティングは、かなり柔らかめ。スポーツカーではないが、もう少し硬めでもいいように感じる人もいるかもしれない。
代表グレード | 日産 マーチ 12X |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 3780×1665×1515mm |
車両重量[kg] | 950kg |
総排気量[cc] | 1198cc |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 79ps(58kW)/6000rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 10.8kg-m(106N・m)/4400rpm |
ミッション | CVT |
10・15モード燃費[km/l] | 26.0km/l |
定員[人] | 5人 |
税込価格[万円] | 122.955万円 |
発売日 | 2010/7/13 |
レポート | 松下宏 |
写真 | オフィスマッシュルーム |
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(レポート:松下 宏)
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