EVだけじゃない!日産の低燃費・エコ技術「PURE DRIVE(ピュアドライブ)」シリーズ発表〜アイドリングストップ・ハイブリッド・クリーンディーゼル・直噴ターボ〜
"ゼロエミッション"電気自動車「リーフ」との2本柱で、更なるCO2削減を目指す
日産の環境技術といえば、今年12月に市販が予定される究極のエコカー、電気自動車(EV)「リーフ」のゼロエミッション技術が真っ先に思い浮かぶが、今回発表されたのはガソリン・ディーゼルエンジンやトランスミッションのさらなる効率を高める技術だ。1.新型「マーチ」3気筒1.2リッターエンジン+CVT+アイドリングストップ(7月中発売予定)、2.「エクストレイル」クリーンディーゼル用AT(7月発売予定)、3.「フーガ」ハイブリッドシステム(今秋発売予定)、4.「ジューク」1.5リッターエンジン(6月発売)、5.「ジューク」1.6リッター直噴ターボエンジン(今秋発売予定)の5つが発表された。
いずれも、次世代環境技術を盛り込むことで各クラスでトップレベルの低燃費を誇る。日産ではこれらの技術を搭載した"エンジン進化型エコカー"を「PURE DRIVE(ピュアドライブ)」と総称。「ゼロエミッション」リーフとの2本柱により、さらなるCO2削減に取り組む。
【「PURE DRIVE」その1】新型マーチ「新開発パワートレイン」
7月に発売予定の新型「マーチ」には、新開発されたパワートレインが搭載され、クラストップの低燃費26.0km/L(10・15モード燃費)をマークする。そのパワーとレインは、3気筒 1.2リッター「HR12DE」エンジン、新型エクストロニックCVT、停止時にエンジンを停めるアイドリングストップシステムから構成される。HR12DEエンジンは従来の同排気量4気筒エンジンに比べ約20%の摩擦抵抗低減を実現。さらに4気筒並みの音振性能も兼ね備えた。新型エクストロニックCVTは副変速機を採用し軽量・小型化。約30%摩擦抵抗を低減させた。アイドリングストップシステムはエンジン停止時のクランクシャフト位置を正確に計測。エンジン再始動時間を短縮させることで、日常の運転でもわずらわしさを感じさせることなく作動する仕組みとした。さらに、勾配6%程度以下の坂道において副変速機の内部ロック機構を用いて、クルマを下げることなくエンジンを再スタート出来る機構も加えた。
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【「PURE DRIVE」その2】エクストレイル「クリーンディーゼル」+「AT」
既にエクストレイルのクリーンディーゼル車はMT(マニュアルトランスミッション)仕様車が発売中で、エコカー減税により100%免税の対象車として人気を集めているが、待望のAT仕様車が7月より発売される予定が明らかにされた。
エクストレイルのクリーンディーゼル「M9R」エンジンは、アライアンスを組むルノーとの共同開発。世界で最も厳しいとされるポスト新長期排出ガス規制に対応したエクストレイル向けは、国内の横浜工場で生産される。
日本仕様のM9RクリーンディーゼルエンジンAT仕様は、より高精度なエンジン統合制御に加え、世界初の「高分散型リーンNOxトラップ触媒」採用などにより、世界で最も厳しいと言われる日本の「ポスト新長期」排出ガス規制に適合させた。現行型のMT車もリーンNOxトラップ触媒は搭載されているが、白金などの貴金属粒子を約40%微粒子化し効果的に配置することで、触媒の効率ロスを大幅に抑えた。これにより、安定した排出ガス浄化に加え、レアメタル使用量の低減も実現出来た。間もなく市場に投入される見込みだ。
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【「PURE DRIVE」その3】フーガ「ハイブリッドシステム」
昨年の東京モーターショーにて発表された「フーガ」ハイブリッドについて、詳細が明らかにされた。日産のハイブリッドシステムは、エンジンとモーターを並列に配置する、いわゆる「パラレル式」だが、エンジンとモーター、駆動輪のそれぞれの間に電子制御クラッチを配置する「1モーター2クラッチ」が特長として挙げられる。モーター走行時や減速時にはエンジン抵抗とシステムを完全に切り離せることができ、エネルギー効率が極めて高い。いっぽうクラッチ接続時にはモーターとエンジン、タイヤが直接つながるため、ダイレクト感あるレスポンスの良い走りも楽しめるという。その2クラッチのシステム制御を緻密にすることで効率よくモーターを使用し、エンジン停止頻度も高まった。
なお搭載されるV6 3.5リッターエンジン自体も、熱効率を改善したアトキンソンサイクル化されている。そのため、他のフーガに搭載されるVVEL(バルブ作動角・リフト量連続可変システム:同等の効果を得られるとされる)はハイブリッドには搭載されない。
正確な数値についてはまだ国土交通省での認証前で公表できないとのことだが、コンパクトカー並みの燃費を誇るという。ライバルの「トヨタ クラウン ハイブリッド」が15.8km/L(10・15モード燃費)をマークするが、これを大幅に上回る数値が期待出来そうだ。
モーター駆動用電池は、リチウムイオンバッテリー(ハイブリッド車専用)を1.3kWh搭載する。トヨタをはじめ、他社のハイブリッド車の多くが使うニッケル水素バッテリーに対し、極めて高効率なのが特長となっている。もちろんEV(電気自動車)「リーフ」と同構造のラミネート型リチウムイオンバッテリーで、日産とNECの合弁会社、オートモーティブ・エナジー・サプライ社供給によるものだ。
日産では、フーガのハイブリッドシステムは、トヨタが採用する2モーター式ハイブリッドに比べシンプルかつ小型軽量で、リチウムイオンバッテリーの採用により効率も高めており、結果低燃費を実現出来たと説明する。このフーガハイブリッドのデビューは今秋を予定している。
【「PURE DRIVE」その4】新開発1.5リッターエンジン
6月に発売され、既に1万台を超える受注を集め話題のコンパクトSUV「ジューク」に搭載されたのが新開発1.5リッター「HR15DE」エンジンだ。型式こそ従来の「ノート」や「ティーダ」などに積まれるエンジンと同名だが、量産エンジン初のデュアルインジェクターを採用。可変バルブタイミング機構(CVTC)と組み合わせることで、熱効率の向上や吸気抵抗の低減を実現させた。さらに燃費も約4%向上し、燃焼効率の向上により排出ガスのHC(炭化水素)も抑制されることで排ガス浄化のための貴金属使用量も低減させるなど良いことずくめだ。
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【「PURE DRIVE」その5】1.6リッター直噴ターボエンジン
欧州では小排気量エンジンに過給機を組み合わせるダウンサイジングがトレンドの最先端となっているが、日産でも同様のコンセプトを持つエンジンがこの秋にデビューする。新開発の「MR16DDT」エンジンは、1.6リッターガソリン直噴エンジンにターボを組み合わせた。また吸排気可変バルブタイミング機構(CVTC)や水素フリーDLCコーティング、フリクションを低減させた新型バルブスプリングなどの採用により高効率化を図り、2.5リッター車相当の出力で低回転から高回転まで優れた加速性能を発揮しながら燃費性能を兼ね備えるという。この新型直噴ターボエンジンは、今秋に「ジューク」へ追加搭載される予定だ。
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