個性的というよりもデザインはごく普通
幅広いユーザーに受け入れられるデザインとのことで、個性が薄れてしまったか。空力の改善には力が入れられ、先代の0.3から0.28へとアップしている
ヴィッツは今回のモデルが3代目。初代から2代目になるときにもボディサイズを拡大したが、今回のモデルでもさらにボディを大きくしてきた。ボディの拡大でラゲッジスペースは大きくなり、後席空間も膝回りが少し広くなるなどの改良が行われた。
ボディの拡大には最小回転半径が大きくなるなどのデメリットもあるので、今回のボディの拡大がどれだけ良かったのか判断が難しい部分がある。
外観デザインは普通になった。初代ヴィッツがボディの割に大きなヘッドライトを持つなど、独特の存在感を持つデザインを採用し、2代目モデルもちょっとアクの強い個性的なデザインを採用していたのに対し、今回のモデルはいかにも普通のデザインだ。
幅広いユーザーに受け入れられるデザインとのことだが、個性が薄れてしまったのはむしろ残念な感じ。デザインは万人受けを狙うより個性を主張したほうが、逆に多くの人から受け入れられることが多いのだが。
インテリアもヴィッツの特徴だったセンターメーターを運転席正面に移動させ、普通のクルマと同じようなデザインになった。ほかの車種との共通化などから、この配置に変わったようだ。
新型ヴィッツはデザインのほか、室内の広さとユーティリティー、低燃費、バランスの取れた走りなどを開発のテーマにしたという。これらをじっくり検証してみよう。
ボディの拡大には最小回転半径が大きくなるなどのデメリットもあるので、今回のボディの拡大がどれだけ良かったのか判断が難しい部分がある。
外観デザインは普通になった。初代ヴィッツがボディの割に大きなヘッドライトを持つなど、独特の存在感を持つデザインを採用し、2代目モデルもちょっとアクの強い個性的なデザインを採用していたのに対し、今回のモデルはいかにも普通のデザインだ。
幅広いユーザーに受け入れられるデザインとのことだが、個性が薄れてしまったのはむしろ残念な感じ。デザインは万人受けを狙うより個性を主張したほうが、逆に多くの人から受け入れられることが多いのだが。
インテリアもヴィッツの特徴だったセンターメーターを運転席正面に移動させ、普通のクルマと同じようなデザインになった。ほかの車種との共通化などから、この配置に変わったようだ。
新型ヴィッツはデザインのほか、室内の広さとユーティリティー、低燃費、バランスの取れた走りなどを開発のテーマにしたという。これらをじっくり検証してみよう。
2代目になるときにもボディサイズを拡大したが、今回の3代目でもさらにボディサイズがアップ。全長で100ミリ、ホイールベースも50ミリ拡大されている
ラゲッジが拡大しつつも使い勝手は後退?
ヴィッツの特徴だったセンターメーターは廃止。これに合わせ、正面にあった収納ボックスなどもなくなっている
ボディの拡大が主にラゲッジスペースの拡大に使われたのは先に述べた通り。このクラスではセンタータンクレイアウトを採用したフィットが圧倒的な広さの室内空間を持っていて、それに対抗するのは容易ではないが、何とか対抗すべくボディとホイールベースを拡大してラゲッジスペースの拡大につなげたようだ。
ホイールベースを伸ばした割にはシートの前後間隔は従来のままで、シート形状の工夫などによって膝回りの空間がやや拡大しただけ。室内空間の広さは従来と変わらない。というか、従来は上級モデルに後席のシートスライドが設定されていたのに、今回のモデルでは廃止されてしまったから、使い勝手の面ではやや後退している。
メーターがインパネのセンターから正面に移動したのに合わせて、正面にあった収納ボックスがなくなったり、エアコンの吹き出し口の近くにあったカップホルダーがなくなるなど、収納などでも後退が目立つ。
インパネとドアトリムの上部にはソフトパッドが採用されているが、これはUとRSなどの上級グレードのみの設定。Fやジュエラで普通の硬いインパネなので、上質さを言うならこのあたりは全車ソフトパッドで統一して欲しいところだ。
使い勝手やインテリア回りの質感などは、マーチに比べたら勝っているといえるが、ヴィッツが特に優れているというほどではない。
ホイールベースを伸ばした割にはシートの前後間隔は従来のままで、シート形状の工夫などによって膝回りの空間がやや拡大しただけ。室内空間の広さは従来と変わらない。というか、従来は上級モデルに後席のシートスライドが設定されていたのに、今回のモデルでは廃止されてしまったから、使い勝手の面ではやや後退している。
メーターがインパネのセンターから正面に移動したのに合わせて、正面にあった収納ボックスがなくなったり、エアコンの吹き出し口の近くにあったカップホルダーがなくなるなど、収納などでも後退が目立つ。
インパネとドアトリムの上部にはソフトパッドが採用されているが、これはUとRSなどの上級グレードのみの設定。Fやジュエラで普通の硬いインパネなので、上質さを言うならこのあたりは全車ソフトパッドで統一して欲しいところだ。
使い勝手やインテリア回りの質感などは、マーチに比べたら勝っているといえるが、ヴィッツが特に優れているというほどではない。
ボディとホイールベースの拡大は、主にラゲッジスペース拡大に向けられた
シートの前後間隔は従来のまま。シート形状の変更などで膝回りの空間は拡大している
フロントは新骨格シートを採用。太ももと背中に当たるパッド幅の拡大などで疲れにくさを追求している
横滑り防止装置のVSCはアイドリングストップ付きの1グレードに標準で、RSにはオプション設定だけというのはさみしい
安全装備も、従来のモデルで標準装備にしていたSRSサイド&カーテンエアバッグを、2007年7月の標準装備化宣言にもかかわらず約束破りのオプション設定に後退させているのを始め、後席中央の3点式シートベルトやヘッドレストレイントは設定すらなく、横滑り防止装置のVSCもアイドリングストップ機構装着車に標準で、RSにオプション設定しているだけだ。
SRSサイド&カーテンエアバッグが42,000円で、VSCが31,500円と、従来はそれぞれ63,000円だったのに比べて安くなったのは評価できる。標準装備なら全員が買うのに、オプションにしたら装着率が下がってしまう。
快適装備は紫外線を99%カットするスーパーUVカットガラスやスマートエントリー&スタートシステムなど、グレードによって充実した仕様が用意され、進化がはっきり見て取れると評価できる。
SRSサイド&カーテンエアバッグが42,000円で、VSCが31,500円と、従来はそれぞれ63,000円だったのに比べて安くなったのは評価できる。標準装備なら全員が買うのに、オプションにしたら装着率が下がってしまう。
快適装備は紫外線を99%カットするスーパーUVカットガラスやスマートエントリー&スタートシステムなど、グレードによって充実した仕様が用意され、進化がはっきり見て取れると評価できる。
アイドリングストップはあまり重要視せず
アイドリングストップとも組み合わされる新開発4気筒1.3Lユニット。3気筒1.0Lのほうは、燃費はアイドリングストップなしの1.3リッターの24km/Lよりも燃費は悪い23.0km/Lとなる
最初に試乗したのは1.3Uで、これがけっこう良かった。新エンジンに変わった1.3Lはヴィッツのボディに見合った実力があってそれなりに元気良く走るし、CVTとの組み合わせにもほとんど不満はない。コンパクトカーとして普通に良く走るクルマだ。
試乗では首都高の都心環状線なども走ってみたが、乗り心地は悪くなくて操縦安定性にも不満がなかった。足回りの仕上がりが良かったし、静粛性も満足できるレベルだったので、走らせた印象は全体に良くなった感じがあったと評価したい。
試乗では首都高の都心環状線なども走ってみたが、乗り心地は悪くなくて操縦安定性にも不満がなかった。足回りの仕上がりが良かったし、静粛性も満足できるレベルだったので、走らせた印象は全体に良くなった感じがあったと評価したい。
オートマチックは4WDを含めてCVTのみ。新エンジンの1.3LエンジンとCVTとの組み合わせにはほとんど不満はない
ただ、1.0Fに乗ると印象はがらりと変わった。エンジンがやや力不足になる分だけアクセルを踏み込みがちになり、その分だけ室内騒音も大きめになる。また踏み込みがちになることは、CVTの変速フィールを悪くすることにもつながるので、1.0Fの走りは全体にもうひとつの印象が強かった。
今回のヴィッツは全体としてはマーチを上回っていると思うが、3気筒エンジン同士で比較すると、マーチの1.2Lエンジンのほうがヴィッツの1.0Lエンジンよりも騒音や振動が抑えられている。この点では明らかにマーチに負けている。
今回のヴィッツは全体としてはマーチを上回っていると思うが、3気筒エンジン同士で比較すると、マーチの1.2Lエンジンのほうがヴィッツの1.0Lエンジンよりも騒音や振動が抑えられている。この点では明らかにマーチに負けている。
ヴィッツのスマートストップパッケージは1.3Fにだけ設定と、少しさびしい感じだ。トヨタらしくないことに需要を読み違えたという。
そのマーチなどがアイドリングストップ機構装着車を中心にしたバリエーション設定にしているのに対し、ヴィッツのスマートストップパッケージは1.3Fにだけ設定されている。ほかのメーカーがアイドリングストップ機構に力を入れているのに比べ、ヴィッツの設定はあまりにも腰が引けている印象だ。
トヨタらしくないことに、アイドリングストップ機構がこれほど普及するとは思わなかったそうで、需要を読み違えたという。早期に設定拡大を図ることになったようだ。
トヨタらしくないことに、アイドリングストップ機構がこれほど普及するとは思わなかったそうで、需要を読み違えたという。早期に設定拡大を図ることになったようだ。
アイドリング作動中に点灯。早く止まって容易に始動するのがトヨタのスマートストップの特徴だ
早く止まって容易に始動するのがトヨタのスマートストップの特徴で、市街地を試乗中にはほぼ確実にエンジンが停止した。夏場にエアコンのスイッチが入っているときには、エンジンをかけるような制御も入っているとのことなので、冬場の試乗だけでは判断できない部分もあるが、良く止まって始動もスムーズだった。コンパクトカーのアイドリングストップ機構としては良くできていると思う。ただ、再始動のスムーズさではセレナのほうが優れており、ヴィッツの良さはあくまでもコンパクトカーや軽自動車を相手にした場合のこと。停止してすぐに少しだけ車間を詰めるような動きをしたときにも停止するなどの良さもあるが、全体としてはまだ改良の余地があると思う。
グレードで実力に違いあり! 他とは違うRS
1.5Lエンジンを搭載したRSはヴィッツのラインナップの中でスポーティモデルの位置付け。搭載エンジンは1.5Uに搭載されるのと同じで、エンジンそのものが際立ってスポーティというわけではないが、1tそこそこのヴィッツにボディに対しては余裕十分で、相当に力強い走りが得られる。
CVTも7速シーケンシャルモード付きのアクティブCVTになり、パドルシフトも装着されるので、これらを組み合わせることでますますスポーティな走りが可能になる。
足回りは専用にチューンされたスポーツサスペンションに16インチタイヤが組み合わされ、かなり硬めの乗り味。ワインディングなどを走らせるときには良いが、市街地の路面の悪いところではゴツゴツした感じがあった。
RSはエンジンを回したときには排気音がそれなりに入ってくるものの、普通に走らせているときの室内はけっこう静かだった。これはUやRSはしっかり防音対策が施されているためだが、Fなどではそれが省かれていて、静粛性に違いがあるようだ。
今回のヴィッツはモデルチェンジによって進化した部分があるものの、全体としてはコストダウンに主眼が置かれ過ぎという印象が強かった。クルマを安くユーザーに提供するのは大切なことだが、まずは良いクルマを作ることを最優先し、その上でそのクルマをどう安く作るかを考えるような作り方はできないものか。
CVTも7速シーケンシャルモード付きのアクティブCVTになり、パドルシフトも装着されるので、これらを組み合わせることでますますスポーティな走りが可能になる。
足回りは専用にチューンされたスポーツサスペンションに16インチタイヤが組み合わされ、かなり硬めの乗り味。ワインディングなどを走らせるときには良いが、市街地の路面の悪いところではゴツゴツした感じがあった。
RSはエンジンを回したときには排気音がそれなりに入ってくるものの、普通に走らせているときの室内はけっこう静かだった。これはUやRSはしっかり防音対策が施されているためだが、Fなどではそれが省かれていて、静粛性に違いがあるようだ。
今回のヴィッツはモデルチェンジによって進化した部分があるものの、全体としてはコストダウンに主眼が置かれ過ぎという印象が強かった。クルマを安くユーザーに提供するのは大切なことだが、まずは良いクルマを作ることを最優先し、その上でそのクルマをどう安く作るかを考えるような作り方はできないものか。
搭載される1.5Lエンジンは1.5Uと同じだが、7速シーケンシャルモード付きのアクティブCVTに、パドルシフトも装着され、スポーティな走りが楽しめる
ホイールは16インチで、ダークシルバーメタリックのカラーリングでスポーティさを演出。足回りは専用チューンが施される
しっかり防音対策が施されているため、普通に走らせているときの室内はけっこう静かだった
代表グレード | トヨタ ヴィッツ 1.3F "SMART STOPパッケージ" [2WD] |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 3885×1695×1500mm |
車両重量[kg] | 1000kg |
総排気量[cc] | 1329cc |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 95ps(70kW)/6000rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 12.3kg-m(121N・m)/4000rpm |
トランスミッション | Super CVT-i |
10・15モード燃費[km/L] | 26.5km/L |
定員[人] | 5人 |
消費税込価格[万円] | 135.0万円 |
発売日 | 2010/12/22 |
レポート | 松下 宏 |
写真 | オフィスマッシュルーム |
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(レポート:松下 宏)
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