トヨタ ハリアー(ガソリン車)試乗記・評価の目次
- 国内専用高級SUVとしての価値を磨いて登場した3代目新型ハリアー
- ボディサイズを小さくしながらの居住性・高級感のアップは高評価
- やや大き目のボディサイズのため、重めの車重。2.0Lエンジンでは、やや物足りない印象
- 新型トヨタ ハリアー価格、スペックなど
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■国内専用高級SUVとしての価値を磨いて登場した3代目新型ハリアー
トヨタハリアー が形の上では、10年振りとなるフルモデルチェンジを受けた。2代目ハリアーは、2003年にデビューした後、主要部分が日本でもレクサスRXに移行したので、そのままフェードアウトし、ヴァンガードが後継モデルになるはずだった。
ところが、ヴァンガードの人気が盛り上がらず、バリエーションを絞ったハリアーが根強く売れ続けたため、結果的に2代目ハリアーを10年も引っ張り続けることになったのが昨年までの状況。
10年近く経過して、さすがにもう続けられないということになったが、レクサス ブランドのRX をトヨタブランドのハリアーに衣替えするのも難しいため、改めてヴァンガードのプラットホームを使って国内専用モデルとしての新型3代目ハリアーが作られた。
そのため、このクルマはヴァンガードのフルモデルチェンジと言ったほうが正しいのかも知れないが、高級感を演出した内外装の仕様などは、ヴァンガードではなくハリアー血統といえるものだ。トヨタとしても、ヴァンガードのフルモデルチェンジでは売れないが、ハリアーなら単に売れるだけでなく、高級車として高めの価格で売れるため、当然のようにハリアーとしてフルモデルチェンジされた。
■ボディサイズを小さくしながらの居住性・高級感のアップは高評価
新型ハリアーは、プラットホームが変わったことでボディサイズやホイールベースが短縮されたことは、高く評価できるポイントだ。ほとんどのクルマが、モデルチェンジを重ねるごとにボディとエンジンとタイヤが大きくなっていく。今回の新型ハリアーは、前述のような事情があったとはいえ、ボディだけでなくエンジンの排気量も小さくなっているところも特徴のひとつ。
小さくなったといっても、ボディの全幅は1800mmを超えており、日本で使うには少々大きい。ハリアーは、初代モデルの段階からアメリカ市場で販売することを前提にしていたため、元々ボディが大きかった。2代目でさらに大きくなって日本のユーザーから取り回しなどに対する不満も多くなっていたので、今回のボディの縮小は当然といえば当然である。
ボディを小さくしながらも後席の居住空間を拡大したのは、パッケージングで頑張った部分である。後席の膝元空間は、47mmも拡大し余裕ある空間を作り出している。
外観デザインは、水平基調の基本プロポーションや強い前傾姿勢を持つクォーターピラーとサイド&リヤウインドーの交差部分など、これまでのハリアーのイメージが明確に継承している。また、薄型のLEDリヤコンビネーションランプが新鮮な印象を与えている。
インテリアは、いかにも高級SUV を思わせる仕上がりだ。デザイン、色使い、素材やソフトパッドの触感、メーターパネルなどなど、乗ったユーザーが満足感を味わえるインテリア空間だ。木目と金属を融合させたように見えるパネルは新感覚のものだし、シートやドアトリムにエンボス加工が施されているのは並みのSUVにはない仕様で高級感がある。
■やや大き目のボディサイズのため、重めの車重。2.0Lエンジンでは、やや物足りない印象
搭載エンジンは、従来の2.4Lから2.0Lにダウンサイジングされた(ハイブリッドについては別掲)。この3ZR-FAE型エンジンは、バルブマチックや可変バルブタイミング機構のVVT-i機構などの採用により、111kW/193N・mの動力性能を発生し、無段変速のCVTと組み合わされている。
動力性能は必要なレベルに達していて、FF車を街乗り中心に使うなら、これでも十分という気持ちにさせられる。ガソリン車では、売れ行きの9割がFFというのもうなづける話だ。
ただ、ハリアーは車両重量がちょっと重い。FF車でも最上級グレードは1600kgを超えるし、4WD車 は人間一人分くらい重くなってベースグレードでも1600kgを超えている。これで、高速道路の合流や追い越し時に力強い加速を得たいというようなシーンになると、ちょっと物足りない感じがあった。
パワーモードを選択して走れば不満は少なくなるが、そうすると燃費が悪くなるのでいつもスポーツモードで走るわけにはいかない。
今回のハリアーでは、4WDシステムが電子制御式に変わり、燃費を向上させたり、コーナリング時の新しい制御が加わったりしている。それだけに、ガソリン車の4WDという選択も十分にあり得るところなので、エンジンに物足りなさを感じたのはやや残念だ。
最近発売されたSUVでは、日産のエクストレイルがやはり2.0Lの自然吸気エンジンだけを搭載している。動力性能も似たりよったりの性能だが、エクストレイルはハリアーに比べるとざっと100kgくらい軽い。なので十分な走りという印象になるが、ハリアーでは物足りなさが残ってしまう。ボディサイズやクラスが違うクルマなので、止むを得ない面もあるのだが・・・。
2.0Lエンジンにしたことで、4WD車の一部を除きガソリン車もエコカー減税で免税扱いになったのは良い点である。エクストレイルは、75%減税だからハリアーが上回っている。
CVTは変速の滑らかさが上々のレベルにある上に、パワーモードで踏み込むとステップ制御が入ったり、G AIシフトと呼ぶ新しい制御が加えられたりしている。これも好印象だった。
最後にきっちり文句を言っておきたいのは、ナビのスイッチの表示が「現在地」「目的地」「情報」ではなく、「MAP」「DEST」「INFO」などとなっていることだ。新型ハリアーは、世界に冠たるトヨタ自動車が日本国内専用に開発したモデルである。それでありながら、この西洋人コンプレックスは何だ!! 日本人としての誇りはないのか!! と言いたい。
■新型トヨタ ハリアー価格、スペックなど
■新型トヨタ ハリアー(ガソリン車)価格
GRAND 2WD(FF) 2,720,000円
4WD 2,909,000円
ELEGANCE 2WD(FF) 2,800,000円
4WD 2,989,000円
PREMIUM 2WD(FF) 3,050,000円
4WD 3,239,000円
PREMIUM“Advanced Package” 2WD(FF) 3,600,000円
4WD 3,789,000円
定員[人]5人
代表グレード | トヨタ ハリアーPREMIUM“Advanced Package” 2WD |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,720×1,835×1,690mm |
車両重量[kg] | 1,610kg |
総排気量[cc] | 1.986cc |
エンジン最高出力[kw(ps)/rpm] | 111(151)/6,100rpm |
エンジン最大トルク[N・m(㎏-m)/rpm] | 193(19.7)/3,800rpm |
ミッション | CVT |
JC08燃料消費率[km/L] | 16.0km/L |
価格 | 3,600,000円 |
写真 | 編集部/トヨタ |
レポート | 松下 宏 |
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