ジャガーでいちばん大きく、そして高価なモデルにときめく
ジャガーに試乗する時は何故かいつもドキドキする。特に今回の試乗は新型 XJ「スーパースポーツ LWB」だ。ジャガーで一番大きく長く、そして高価なクルマなのだから、心が昂ぶらない(たかぶらない)はずがない。試乗する前から早くハンドルを握りたい気持ちを押し殺し、いつものように最初は後部座席に乗り込んだ。
リアシートに座ってまず足下がとても広いことに感心させられる。このLWBモデルは標準車よりホイールベースが12.5cm長い。たかが12.5cm差だが、その数値以上に広く感じる。スタイル重視の為に室内高は低め、しかしショーファー・ドリブン・リムジンとしての空間は十二分に確保されている。フロントシート左右のヘッドレストには8インチディスプレイが装備される。このクラスには絶対必要な装備だろう。またシートにはベンチレーションが装備され、これも高級車として装備されないのは考えられないアイテムだ。
ニュー・ジャガーは、前モデルより一段としなやかな乗り心地になった。さらに、このLWBは路面状況の伝え方はゆっくりであり、乗り心地はかなり良い。上質なレザーとウッドパネルのコンビネーションは英国車伝統の高級感が溢れている。ジャガーの室内に流れるこの英国の空気は、他社には真似したくても出来ない美点であると高評価だ。
ショートホイールベース版よりも、むしろこちらのほうがコーナリングを楽しめる!
たとえLWB(ロングホイールベース)であっても、ジャガー・オーナーなら週末は自分でハンドルを握るだろう。スタートボタンを押すとセンターコンソールから円形のドライブセレクターが上昇してくるのは、最新ジャガー独特の儀式だ。おもむろに「D」へセレクトし街中に乗り出す。
低回転から十二分のトルクがあり滑らかに走る。6速ATは変速ショックもない。パドルシフトが装備されているものの、クルマに任せておけば周囲の流れを簡単にリードしてしまうので、使う必要はほとんどないはずだ。
高速路に入り強くアクセルペダルを踏めば、5.0L V8スーパーチャージャーが唸り声を上げると同時にスポーツカーに変身する。510PSのパワーは身体をシートに強く押しつけ、強烈な加速が堪能できる。前245/40ZR20、後275/35ZR20の太くて大径、そして重いタイヤ履いているというのに、バネ下の重さを感じさせないのはやはりジャガーの美点のひとつと評価できる。
ハンドリングはLWBになってもアンダーは軽く、むしろリアのスタビリティは高まり、標準車より気持ち良く安心してコーナリングを楽しめる印象だ。ボディの大きさを気にしないなら、運転の楽しいLWBモデルはお勧めである。
メルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズとは少しカテゴリーが異なり、ポルシェ・パナメーラなどが直接のライバルなのだろう。真面目に運転し、忙しい人ならパナメーラがお勧めだ。しかし、時間も心も余裕のある人なら、ゆったりとした空間と時間が流れるジャガーXJで優雅にカーライフを楽しむのも粋というものだろう。
代表グレード | JAGUAR XJ SUPERSPORT LWB[FR] |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 5260x1900x1455mm |
車両重量[kg] | 1960kg |
総排気量[cc] | 4999cc |
最高出力[ps(kw)/rpm] | 510ps(375kW)/6000-6500rpm |
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] | 625N・m/2500-5500rpm |
トランスミッション | 電子制御6速AT |
10・15モード燃費[km/L] | 6.4km/L |
定員[人] | 5人 |
消費税込価格[万円] | 1755.0万円 |
発売日 | 2010/06/19 |
レポート | 丸山 和敏 |
写真 | CORISM編集部 |
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