ついに発表! 価格は205万円から! 経済性でハイブリッド車並のSKYACTIVディーゼルエンジン【マツダ CX-5プロトタイプ試乗評価】
期待のクリーンディーゼル搭載したマツダCX-5発表! 最新試乗記はこちら!
★日本仕様のCX-5のガソリンエンジンは、圧縮14ではなく13。その理由は、ガソリンにあった。その違いは?
■デカイのに軽快! まずは、ガソリン車を試す【マツダCX-5試乗記】
期待のSKYACTIVディーゼルを搭載したマツダCX-5、2月16日発売決定! 価格は205万円〜か?
マツダ は、新型CX-5 を2月16日に発売する。この新型マツダCX-5で注目されるのは、SKYACTIV-Dと呼ばれるディーゼル エンジン搭載車だ。高価なNOx後処理装置を使用せず、ポスト新長期規制に適合できる世界初の乗用車用ディーゼルエンジンだ。
さらに、日本市場で初めてディーゼルエンジンとアイドリングストップシステムの組み合わせた。燃費は2WD/FF車で10・15モード燃費で20km/L、JC08モードで18.6km/Lになる模様だ。
ガソリンエンジンの燃費も2WD/FF車で10・15モードで17.6km/L、JC08モードで16.0km/Lとなる予定。
気になる価格は、ガソリン車FFが205万円程度〜と、かなりリーズナブル。4WD車の量販グレードで240万円前後と言われている。
また、ディーゼル車も280万円(4WD)前後となるらしい。この価格は、トヨタ プリウスα 5人乗りモデルとほぼ同じ価格帯になる。単純な燃費はプリウスαが圧倒するが、ディーゼルに使う軽油の価格はガソリンより、かなり安いので燃料費という視点で見れば、ハイブリッド 車と同等に近くなるだろう。
また、ディーゼルは420Nmという大トルクを発揮する。このトルクは、4.2Lのガソリン車程度。この大トルクを楽しみながら、燃料費はエコノミー。こういった楽しさもあるのが新型マツダCX-5の特徴だと評価したい。
ついにディーゼルエンジン国内販売決定! 10・15モード燃費20km/Lの低燃費を実現したマツダ CX-5
マツダは、2012年春に発売する新型クロスオーバーSUV 「マツダ CX-5」から、日本市場にクリーンディーゼル車を順次投入すると発表した。マツダCX-5に搭載される新世代2.2Lクリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2(スカイアクティブ ディー 2.2)」は、従来のクリーンディーゼル車の普及阻害要因であった高価なNOx後処理装置を使用せず、ポスト新長期規制に適合できる世界初の乗用車用エンジン。さらに、日本市場で初めてクリーンディーゼルエンジンとアイドリングストップシステムの組み合わせを実現し、4.0L V6ガソリンエンジン車をしのぐ最大トルク420Nmと、すべてのSUVの中でトップの低燃費18.6km/L(JC08モード/2WD/AT車)、10・15モード燃費では20km/Lを両立する予定。
この低燃費は、実燃費でどの程度走るかによるのだが、レギュラーガソリンが軽油より20〜30円/L高価なので、ハイブリッド車スペース系のプリウスαと燃料費を比較すると経済性では、さほど差が出なくなってくるのだ。そうなると、4L以上のトルクを発揮するマツダCX-5の方が、よりゆとりのある走りができることなどを考えると、マツダCX-5の商品価値はうなぎ登りになることも予想できる。経済性や環境性能が、ほぼ同じと考えるのなら、ディーゼルエンジン車もクルマを選ぶ楽しさの幅を一段と広げてくれるはずだ。あとは、300万円を超える高価なクルマでは意味が無いので、マツダCX-5の価格が、どれくらい安くなるのかにも注目が集まる。
<10月26日時点のマツダCX-5スペック>
・全長 x 全幅 x 全高 4,540 x 1,840 x 1,705mm
・ホイールベース 2,700mm
・ディーゼルエンジン SKYACTIV-D 2.2
・排気量2,184cc
・最大トルク 420N・m/2,000rpm
・最高出力 129kW/4,500rpm
・車両重量 1,510kg
・燃費(JC08モード[10・15モード]) 18.6km/L[20.0km/L]
・ミッション SKYACTIV-DRIVE(6速オートマチック)
・ステアリング 電動パワーステアリング(コラム式)
・サスペンション (前)マクファーソンストラット式/(後)マルチリンク式
・ブレーキ (前)ベンチレーテッドディスク/(後)ディスク
・タイヤ 225/65R17
■ガソリエンジン SKYACTIV-G 2.0
・排気量 1,997cc
・最大トルク 196N・m/4,000rpm
・最高出力 114kW/6,000rpm
・車両重量 1,440kg
・燃費(JC08モード[10・15モード]) 16.0km/L[17.6km/L]
2.4L車並のパフォーマンスをもつ2Lエンジンを搭載したマツダCX-5
マツダのSKYACTIV技術は、ガソリン&ディーゼルエンジン、ミッション、ボディなどに大きく分けられる。今回試乗した新型マツダ CX-5は、そんなSKYACTIV技術のすべてが注ぎ込まれた渾身の1台。そのプロトタイプ車に、試乗することができた。
まず最初に試乗したのは、圧縮比14.0という高圧縮を実現したSKYACTIVガソリンエンジンを搭載したCX-5のAT車だ。全長4,540mm×全幅1,840mm×全高1,670mmという大きなボディだけに、2Lエンジンでは少々非力気味かと予想していた。ところが、走り出しからクルマが軽い。アクセルの開度に、リニアに反応する。走り出しの瞬間は、ATのトルコンを多少滑らせて、ギクシャク感を無くしスムースに走り出せるようにするのが普通。そのため、エンジンの回転が上がっている割には加速しない感じがする。このトルコンの滑りを可能な限り減らし、ダイレクト感と低燃費を両立するのがSKYACTIVドライブ(AT)だ。この技術により、まるでMT車のように、右足の動きに忠実にクルマが反応する。そのため、クルマが軽く感じるのかもしれないと評価していい。
アクセルをさらに開けていくと、その速さに驚いた。先に発表されている2Lエンジンのアクセラより、確実に速い。150馬力&190Nm台が標準の2Lエンジンを圧倒する。2.5Lエンジン車までとはいかないものの2.4L級だ。クルマを降りてスペックを確認すると、なんと165馬力&210Nmというのだから、まさに2.4L級。さらに、このパフォーマンスで低燃費も両立しているというのだから驚きだ。燃費はヨーロッパの測定値で、100km走行時に6Lというので約16.7km/Lということになる。
ハンドリングも楽しい。「意のままに操る」感覚に徹底的にこだわり抜いたというだけあり、操作系はすべてが自然。とくに、良かったのがステアリングからのフィードバック。試乗コースが雨のサーキットということもあり、とてもよく滑った。普通、こういう時はタイヤのグリップに神経を尖らせて走る。ツルっと行って、クルリと回りドカンとぶつからないように気を配る。ストレートからの1コーナー、高速からブレーキングしつつステアリングを切る操作をすると、フロントタイヤのグリップが無くなる感じが、しっかりとステアリングを通して手に伝わってくる。少しだけステアリングを戻したり、さらに切り足してみたりしたが、変に重かったり軽かったりといった電動パワステのアシストにも違和感は感じなかった。
サスペンションは、しっかりとストローク量のあるタイプ。小さい舵角でもキュッキュと向きを変え、固めのサスでスポーティな演出が得意だったマツダ車だが、CX-5はサスペンションのストロークを十分に使い、必要以上の機敏さを抑えしっかりと路面をつかむ。タイヤが多少滑っても、よりコントロールしやすくなっていたためか雨でも安心して走れた。
スポーティな高回転まで回るディーゼルターボエンジンを搭載したマツダCX-5
次は、2.2Lの2ステージターボ、ディーゼルエンジンを搭載したCX-5に乗る。このディーゼルエンジンに対しては、乗る前から期待値が高かった。メルセデス・ベンツ は、尿素などを使いNOx低減させているが、このCX-7は、そういった後処理なしにユーロ6や日本のポスト新長期規制に対応。後処理無しのメリットは、高価な部品が少ないためコストも下げられる。
低圧縮比14.0という数値達成は、後処理無しのディーゼルエンジンを作り出したダケでなく、スポーティなエンジンフィールまで手に入れている。低圧縮効果で、ピストンやコンロッドなどが軽量化できた。そのため、今までのような重くレスポンスの悪いディーゼルエンジンのフィーリングが格段によくなり、ガソリンエンジン並とはいかないものの、高回転まで気持ちよく回る。スペック上では、4500回転で175馬力、2000回転で420Nmのパワーとトルクを発揮するが、実際CX-5に装着されているタコメーターは5000回転以上からレッドゾーンとなっている。
日産 エクストレイル の2Lディーゼルエンジンと比較すると、2.2Lと排気量が大きいこともあり、全体的に余裕を感じる。ターボラグもあまり感じさせず、レスポンスも良いのでスポーティだ。ガラガラというディーゼル特有のエンジン音も徹底的に抑えられていて、車内においてはあまり気にならない。
走行中も同様。ただ、エクストレイルもそうなのだが、車内より車外の音が多少気になる。早朝や深夜でエンジンをかけていると、自分(車内)は静かでもまわりは・・・。ということになるので、注意が必要だ。エクストレイルと大きく違うのは、アイドリングストップ機能が付いていること。欧州車を含め、ディーゼルエンジンのAT車にアイドリングストップ装着車は、マツダCX-5が初となる可能性が高い。
燃費20km/Lオーバーは確実? ハイブリッド車並の経済性を可能にするディーゼルエンジン
このマツダCX-5に搭載されるディーゼルエンジンは、今のところ国内への導入は未定ということだが、ポスト新長期規制もパスできる性能ということなので、導入の確率はかなり高い。
気になる燃費は、欧州モード100km走行で4.5L。約22.2km/Lという燃費。実燃費でザックリ70%程度で計算すると、約15.5Km/Lとなる。実はこの燃費、ハイブリッド車とどちらが燃料費が得になるか重要なライン。ハイブリッド車のプリウスαの実燃費を20km/Lとする。それぞれ1万キロ走るとすると、プリウスαが500Lで7万円(ガソリン代140円/L)。対するCX-5は645Lを使う。軽油はおおよそレギュラーガソリンより20〜30円安い。となると、軽油が115円/Lとすると74,175円。燃料費の差は、同等レベル。実燃費や燃料費が多少ばらつきがあるものの、ハイブリッド車とほぼ同等な経済性となる可能性が高い。
また、郊外または高速道路で一定速度の走行中心なら、ディーゼルエンジンは燃費を伸ばすのでハイブリッド車より有利だ。また、ハイブリッド車は都市部のように60km/h以下で、EV走行できる距離が多ければ、実燃費はアップするのでディーゼルより有利。使う環境によっては、単純比較はできないが燃料費を比較するとディーゼルエンジンが、かなりハイブリッド車並になってきたのは事実と高評価だ。
300万円をどれだけ下回れるかが、CX-5ディーゼルエンジンの売れ行きを左右する?
燃料費の経済性では、ハイブリッド車と同等レベルになるであろうCX-5のディーゼルエンジン。更なる問題は、車両価格だ。日産エクストレイルの価格は約314万円と高価だ。人気グレードの20Xtが約255万円なので、60万円弱高いということになる。さすがに、これだけ違うとディーゼルに興味があっても予算的に選ぶのは難しい。
スペース系ハイブリッド車のプリウスαSツーリングセレクションが280万円。単純にライバル関係という車種ではないが、この280万円という価格がCX-5のディーゼルエンジンが売れるか売れないかという分かれ目になるのではと推測できる。また、エクストレイル20Xtが約255万円なので、価格差は25万円。これなら、と思う人も多いのではないだろうか。
どちらにしても、このディーゼルエンジンを搭載したマツダCX-5の売れ行きは、業界注目になることは確実。ディーゼルエンジンのイメージが悪い日本において、価格を下げれば売れるのか? というのが、ある意味本音だろう。多くのディーゼルエンジン車のラインアップをもつ輸入車がディーゼルエンジン車を入れない理由は、そこに尽きる。
ディーゼルか? ガソリンか? 悩ましい選択のマツダCX-5
CX-5のディーゼルとガソリンを乗り比べて感じたのは、それぞれまったく個性が違うということだった。ディーゼルは、重厚感のあるロングクルージングを楽しむタイプ。対してガソリンは、軽快感のある走りを楽しめるタイプなのだ。価格が分からない状態では、なんとも言えないが、実際に買うときには、乗り比べてみることをおすすめする。
日本においてSUVのマーケットは小さく、マツダCX-5が1万台も売れることはないだろう。今、SUVというジャンルのクルマは、大きくて重く燃費も悪く不経済という印象が強いようだ。ディーゼルエンジンの追加により、SUVが低燃費でエコノミーという解釈がなされるのなら、きっとマーケットも活気が出るのではないだろうか? マツダCX-5が、これなら買ってみても・・・、という興味をどれだけ与えることができるのか発売が楽しみ。発売時期は、2012年初頭が有力。
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