新型マツダ デミオ プロトタイプ試乗比較評価 クリーンディーゼルのライバルはハイブリッド車! 選択は価格が発表されてから!?
スカイアクティブは、止めました? 圧縮比14.0から12.0へ。燃費を維持しながら、パワーアップした注目の1.3Lガソリンエンジン!
そんなディーゼル のデミオ と正反対ともいえるのが、1.3Lガソリンのデミオだった。燃費に振り過ぎた感があった先代デミオのエンジンの圧縮比を14.0から12.0へ下げた。12.0でも高めの圧縮比だが、それによりパンチのあるエンジンとなった。パワーは先代の84psから92psへ、トルクは112Nmから121Nmへとそれぞれアップしている。
ガソリン車は、とにかく回して楽しいクルマに仕上がっていた。先代よりも高回転でひと伸びあり、パンチも効いている。ディーゼルの大トルクも捨てがたいが、この気持ちよさも侮れない。ガソリン車には、6MTではなく5MTが用意されている。5MTの操る楽しさも良いし、6ATのスムースさも捨てがたい。
先代デミオのエンジンよりもパワーアップさせながらも、燃費値は同等程度にしたというのだから、この1.3Lエンジンもなかなかレベルの高いものになっている。
今回の新型デミオで高く評価したいのは、ガソリン&ディーゼル共に4WD の設定があること。先代デミオも、ほんの一部しか4WDの設定はなく、アクセラ もディーゼルモデルには4WDの設定モデルがない。積雪地域の郊外に住んでいるような顧客には、ディーゼルが向いているので、新型デミオのディーゼルに4WDがあるのは、とても良いことだ。当然、エコカー減税のメリットも受けられる。
重厚なディーゼル車。軽快なガソリン車。ハンドリング性能も大きくキャラ分けされた!
ガソリンとディーゼルという大きく性格の異なるパワーユニットを搭載した新型マツダ デミオ。このパワーユニットの違いが、ハンドリング性能にも明確なキャラクター分けがされていた。
コンパクトカー らしい軽快感ということなら、ガソリン車のデミオ。クイクイとよく曲がる。フロントの重さを感じさせないハンドリング性能をもつ。最近のマツダ車は、ある程度クルマがロールさせながら走る。新型デミオも同様。上手いのは、ロールしているのにロールしていないように感じさせるセッティング。サスペンションストロークを十分に使いながら、安定してカーブを抜けていく。多少タイヤが滑ってもコントロールしやすい。
対して、ディーゼルエンジンを搭載したデミオのハンドリングは重厚。ガソリン車に比べ、約100㎏車重がプラスされているということもあり、フロントはやや重い印象。250Nmもトルクがあるので、ガソリン車と比べると、ラフにアクセルを踏むとフロントが外に逃げていく違いがすぐに分かる。
下り坂でパワー不足を補いながら、ガンガン攻めたいというのならガソリン車が楽しい。また、登り坂をの中・高速コーナーをハイスピードで駆け抜けて行くのならディーゼル車が楽しいだろう。どのパワーユニットも好感が持てたのは、直進安定性。フラフラすることなく、コンパクトカーなのにズドーンと真っ直ぐよく走る。ホイールベースが伸びたことにもよるが、こういったパフォーマンスも先代モデルより大幅に進化している点だ。随分、乗りやすいクルマになった。
ただ、少々気になったのは、右カーブで高い旋回Gが発生したとき。体格やドライビングポジションによって若干感じ方が違うとは思うが、右カーブで車体が左側に大きく傾いたとき、左足の膝がセンターコンソールに当たり少々痛かった。開発スタッフに話したところ、すでに対策をしたものの「まだ当たりますか・・・」とのことだった。
新型デミオのディーゼル車の価格は、165万円を切るか? ガソリン車の購入は、ディーゼル車が出てから半年以降からが買い時?
さて、新型マツダ デミオの選び方。ガソリン車のメイングレードの価格は、このクラスの相場である130〜140万円の間と予想できる。ガソリン車の場合、ライバル車と比べ大きな差が無いので、新型デミオのデザインや走行性能で選べばいい。ライバルと大きく違うのは、6ATが使われていること。CVTとは違うダイレクト感あるフィーリングは、フィット やヴィッツ では味わえないものだ。また、今回は4WDも用意されているので、積雪地域の人にも新型デミオの走りと低燃費性能が楽しめるようになった。
問題は、新型デミオ クリーンディーゼル車の価格だ。アテンザ やアクセラ の例を見て、ガソリン車の約40万円高となると170万円がひとつの目安となる。ただ、新型デミオはシングルターボだったりするので、ややコストは下がりそうな印象。仮に10万円下がったとしても、160万円となる。ガソリン車との価格差はかなり出てしまうので、これを燃費と燃料費差で取り戻すことはなかなか難しい。やはり、クリーンディーゼル車は、走りの方向性の違いや他社のハイブリッド モデルの購入も考えている人が比較検討すべきかもしれない。
フィットだと、ガソリンとハイブリッドの価格差はエントリグレード比で約40万円。ハイブリッドとクリーンディーゼルの価値を同程度とすると、仮に新型デミオのガソリン車が130万円とするならば、クリーンディーゼル車は約40万円アップの170万円。しかし、これだとハイブリッド車に対して価格優位性があまりない。そう考えると、ハイブリッド車最安値のフィットハイブリッド が約168万円なので、エントリグレードは165万円を切ってくる可能性も出てくる。
フィットハイブリッドよりも安い価格ならば、新型デミオは積極的にディーゼルを選んでもいいかと思う。ハイブリッド車は、燃費が良くても走りにそれほど余裕はない。しかし、新型デミオのディーゼルのように、250Nmという大トルクがもたらす余裕のある走りと低燃費性能、燃料費の安さは、それなりの価値がある。また、クリーンディーゼルへの補助金は不明だが、補助金一定金額出るとしたら、その分もメリットになる。
新型デミオのディーゼル車が発売され、半年から1年くらいが経過し、ディーゼルばかりが売れ、ガソリンが売れないという状況になってくると、ガソリン車がお得になる可能性も考えられる。黙っていても売れるディーゼルは値引きなし、対してライバル車と単に価格競争になりそうなガソリン車は値引き拡大。そうなってくると、ガソリン車の価格バリューが高くなるので、ガソリン車に興味がある人は、しばらく様子見したほうがよいかもしれない。
新型マツダ デミオSKYACTIV-D 1.5(クリーンディーゼル)スペック
代表グレード | マツダ デミオSKYACTIV-D 1.5 |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,060×1,695×1,500mm |
ホイールベース[mm] | 2,570mm |
トレッド前/後[mm] | 1,495/1,480mm |
車両重量[kg] | 1,130kg |
総排気量[cc] | 1,498cc |
エンジン最高出力[kW(PS)/rpm] | 77(105)/4,000rpm |
エンジン最大トルク[N・m/rpm] | 250/1,500-2,500rpm |
ミッション | 6速AT |
タイヤサイズ | 185/60 R16 |
JC08モード燃費 | 未定 |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 未定 |
発売日 | 未定 |
レポート | 大岡智彦 |
写真 | 編集部 |
新型マツダ デミオSKYACTIV-G 1.3(ガソリン車)スペック
代表グレード | マツダ デミオSKYACTIV-G 1.3 |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,060×1,695×1,500mm |
ホイールベース[mm] | 2,570mm |
トレッド前/後[mm] | 1,495/1,480mm |
車両重量[kg] | 1,030kg |
総排気量[cc] | 1,298cc |
エンジン最高出力[kW(PS)/rpm] | 68(92)/6,000rpm |
エンジン最大トルク[N・m/rpm] | 121/4,000rpm |
ミッション | 6速AT |
タイヤサイズ | 185/65 R15 |
JC08モード燃費 | 未定 |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 未定 |
発売日 | 未定 |
レポート | 大岡智彦 |
写真 | 編集部 |
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