トヨタC-HRは、SUVとクーペを融合したクロスオーバーカー。2014年のパリモーターショーに出品したコンセプトカーで、非常に話題となった。

新世代プラットフォームであるTNGAの登場を待って開発が本格化し、2016年3月のジュネーブショーで量産モデルがベールを脱いでいる。11月にWEBで受け付けを開始し、発売されるや大ヒットを飛ばした。

エクステリアを手がけたのは、トヨタのアメリカの拠点、CALTYだ。2ドアクーペにも見える躍動感あふれる美しいフォルムに魅せられ、購入する人が多い。

　パワートレインは、4種類ある。日本仕様に搭載されるのは、そのうちの2機種だ。ひとつは1.8ℓのアトキンソンサイクル4気筒エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッド車。プリウスと基本的なメカニズムを共有する。だが、C-HRは車両重量が70kgほど重いため専用チューニングを施した。駆動方式は前輪駆動のFFだけの設定だ。

もうひとつは、オーリスに搭載されている1.2ℓの直噴ターボ。こちらは無段変速のCVTを組み合わせ、駆動方式は電子制御4WDとしている。

ハイブリッド車は、プリウスより応答レスポンスを高め、ミッションもローギアードな味付けとしているからパンチがある加速を披露した。軽快にスピードメーターが上昇し、再加速したときの立ち上がりも素早い。70kgほど重くなっているが、そのハンディを感じさせない軽やかな加速フィールだ。クルージング時の静粛性もプリウスを上回る実力を秘めている。

1.2ℓの直噴ターボを積む4WDも優れたパフォーマンスの持ち主だ。レギュラーガソリン仕様に変更されており、日本のユーザーに合わせている点は好感がもてる。

ただ、車重がわずかだがハイブリッド車より重い。さすがに、1.2Lターボでは低回転のパンチ力不足だ。だが、そこから先はターボの後押しとローギアードなギア比によって力強い加速を見せつける。

ただし、バドルシフトが装備されていないのは大きな不満だ。マニュアルモードはあるが、パドルシフトのほうが使い勝手はいいはず。

　トヨタC-HRの魅力のひとつ、それはTNGAである。強靭なシャシー性能とザックス製のショックアブソーバーによって気持ちいいハンドリングを手に入れた。背の高さを意識させない軽やかな走りを身につけ、コントロールしやすい。タイトコーナーでも狙ったラインにたやすく乗せることができる。

大きな18インチタイヤを上手に履きこなし、乗り心地も悪くない。4WDのS-Tは215／60Ｒ17サイズのタイヤを履いているためスポーティ度は一歩譲る。だが、優れたスタビリティ能力を身につけ、安心感が高い。

C-HRのインテリアは水平基調のインパルと見下ろし感覚のアイポジションによって小柄な人でも運転しやすい。ただし、廉価グレードはインテリアの質感が物足りなく感じる。

キャビンは、外観から想像するより広く、後席の足元も十分な広さを確保していた。だが、サイドウインドーの面積が小さいため、開放感は今一歩だ。

安全運転支援装備は、上級モデルと同じトヨタセーフティセンスＰを標準装備する。上級グレードだと装備は充実しているが、価格はちょっと割高な印象だ。個性的なデザインもちょっと旬が過ぎたのか、販売は落ち着いてきた。

■トヨタC-HRグレード別価格
・1.2Lターボ　4WD
S-T　2,516,400円
G-T　2,775,600円
・1.8Lハイブリッド　2WD
S　2,646,000円
G　2,905,200円

代表グレード	トヨタC-HR G
ボディサイズ［mm］（全長×全幅×全高）	4360×1795×1550mm
車両重量［kg］	1440kg
総排気量［cc］	1797cc
エンジン最高出力［kw(ps)/rpm］	72（98）/5,200
エンジン最大トルク［N・m(kg-m)/rpm］	142（14.5）/3,600
モーター最高出力［kw(ps)］	53(72)
モーター最大トルク［N・m(kg-m)］	163(16.6)
ミッション	電気式無段変速機
JC08モード燃費［km/l］	30.2km/l
定員［人］	5人
税込価格［円］	2,905,200円
発売日	2015/12/14
レポート	片岡英明
写真	トヨタ