総選挙で、どうなる自動車業界!? TPPに増税による需要ダウン、エコカー補助金、自動車取得税など関連税など問題は山積! 評論家 松下 宏が自動車業界目線で、政治を斬る!

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【ビジネス・経済】2012/12/13

 

TPPで軽自動車優遇が、無くなる可能性も!

新型ダイハツ ムーヴ

 12月20日に発売される新型ダイハツ ムーヴの燃費は29.0km/Lと、世界トップレベルの低燃費性能を誇る。優遇といわれる軽自動車だが、輸入車を拒んでいるわけではない。最近では、軽自動車サイズに近いフォルクスワーゲンup!が、低価格と高い安全装備で大人気だ。
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 政治絡みの話には避けたいというのが本音だが、今回の選挙がクルマや自動車業界にどのような影響を与えるかを考えてみたい。

自動車業界にも影響のある大きな争点としては、TPPに賛成か反対かという問題がある。自動車業界では、自由貿易を促進する立場からTPPのみならず、欧州や中韓などとの自由貿易協定も含め、貿易の自由化を望んでいる。

ただ、自動車などの工業製品の貿易自由化を実現するには、それと引き換えに農作物などの輸入自由化を受け入れなければならず、農林水産業関係者などを中心に反対の声も強い。

TPPに関しては、軽自動車の制度が公平ではないという指摘につながる可能性があるほか、自動車保険やローンなど金融関係の自由化も飲まなければならないからますます難しい。

民主党は基本的にTPPを押し進める立場にあり、自民党も積極推進とは言っていないものの、基本政策が対米重視だから、結果的にはTPPを進めることになると思う。

国内の反対勢力の声をどのように抑えることができるかが、TPP実現の課題となる。現実には農業などに補助金を出したり所得保障をすることによってTPPを進めることになるのだろうが、TPP加盟が実現すれば、農業が大きな影響を受けるのは間違いない。

自動車などの工業製品の輸出によって外貨を稼ぐことを重視するか、あるいは国内の農業などを守ることを重視するかによってTPPに対する対応が分かれることになる。

第三勢力などは、ほとんどの政党がTPPに反対か、それに近い立場を表明しているが、これらの勢力が多数を占めることにはなりにくい。また民主党も自民党も内部にTPP反対派を抱えているので、単純にTPP推進にはならず、いろいろな紆余曲折を経ての加盟になるのではないか。

増税で、長期に渡りクルマが売れない氷河期へ!

 もうひとつの大きな争点である消費税については、民主党、自民党、公明党が増税で合意し、ほかの各政党が反対を表明している。

震災復興予算が九州で使われたことなどが典型的に示すように、官僚のでたらめな利権争奪戦の結果が、現在に日本の大借金につながっている。政官業の鉄のトライアングルを組む自民党が政権に復帰すると、この利権路線がさらにひどいことになるのは見え見えだ。

前回の選挙では、それではダメだからということで、民主党にゆだねたわけだが、民主党も結局は官僚に取り込まれて、消費税の増税などを打ち出すに至っている。官僚にいいように操られる結果にしかなっていない。

消費税が増税されれば、その直前には一定程度に駆け込み需要が発生するものの、その後は1〜2年以上の長期にわたって自動車などの高額商品の販売が低迷するのは確実で、相当に難しい状況が待っていると考えるしかない。

消費税と自動車取得税など、二重課税問題も、解決は先送りか? エコカー補助金も効果なし?

 消費税を増税するときには、消費税との二重課税になっている自動車取得税や課税根拠がなくなった自動車重量税が廃止されるとの期待も持たれるが、常に財源難を言い続ける財務省が簡単にうんというかどうか。

民主党にも自民党にも、財務省に自動車税制の抜本的な改正を飲ませるだけの実力を期待するのは無理だろう。

税制改正の代りに、エコカー補助金を再再実施する可能性は多少は考えられる。エコカー補助金は、自動車業界もあまり期待というか歓迎しない雰囲気になっている。効果の測定が難しい上に、需要を先食いするため予算切れ後に売れ行きが落ち込むなど、必ずしも良いとはいえないからだ。

このように、今回の選挙はある程度まで結果が見えていて、その結果に基づく経済政策もある程度予想がつくような状態だ。おもしろくも何ともない選挙である。

投票に行く気も薄れるような選挙だが、行かなければ、それが官僚や政治家の思うつぼになることを考えたら、何らかの意思表示をしたほうが良いのだろう。

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(レポート:松下 宏

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