9月末の期限を前に、7日申請分を最後に補助金は打ち切られてしまった。このご時世に新車が買える裕福な人たちだけが恩恵を受けた制度だった。
比較的裕福な人だけが恩恵を受けられた制度には疑問もあった
フォルクスワーゲンが独自で行う補助金制度[フォルクスワーゲン ホームページより]
8月に入って大量の駆け込み需要が発生したエコカー補助金の狂想曲も、9月7日に予算切れで終了した。次世代自動車振興センターの発表によると、既に8月30日の時点で、5837億円の予算のうち5316億円分の申請が受理されたという。残り500億円ほどになっていた。
大型トラックなどの重量車を除くと、登録車と軽自動車を合わせて337万台ほどのクルマがエコカー補助金の恩恵を受け、4200億円ほどが支払われている。台当たりの補助金は軽自動車の5万円から解体を伴う登録車の25万円まで4種類あるが、平均すると1台当たり12万5000円ほどの補助を受けた計算になる。
1年半ほどの間に337万台ものクルマにエコカー補助金が適用されたのだから、かなり幅広いユーザーが恩恵を受けたといえなくもないが、恩恵を受けていない人のほうが圧倒的に多いのだから、ある意味で困ったものという側面もある。
恩恵を受けたのはこのような時期でも新車を買えるだけの余力がある人で、比較的裕福な人が中心だ。金持ちのユーザーほど、自分で納めた税金を補助金という形で取り戻すことができた。
逆に本当に経済的に厳しい人は、古いクルマに乗っていて25万円の補助金がもらえる状態にある場合でも、安くても100万円くらいの出費になる新車を買うことなどできない状態にある。なので新車ではなく価格の安い中古車を買うとエコカー補助金は受けられない。そうした人も含めて、多くの人が払った税金を、補助金という名前の自動車メーカーの販売促進費として支出することに、どれだけ正当性があったか疑問だ。
エコカー補助金はリーマンショック以降の景気の落ち込みに対応して、緊急経済対策として実施された。景気の回復には裾野の広い自動車産業が元気になることが大切とされ、景気対策というと反対しにくい雰囲気の中で進められた。
でも、エコを看板にするなら、エコの標語である3Rを無視したかのようなエコカー補助金に正義があったのか。1台のクルマを長く使い続けることで自動車の消費量を減らしたり(リデュース)、使ったクルマを中古車として再流通させること(リユース)も立派にエコであるのに、新車に乗り換えたときにだけ補助金が出て、また古い中古車を解体することで補助金の額が増えるという制度はどこかが間違っている。
大型トラックなどの重量車を除くと、登録車と軽自動車を合わせて337万台ほどのクルマがエコカー補助金の恩恵を受け、4200億円ほどが支払われている。台当たりの補助金は軽自動車の5万円から解体を伴う登録車の25万円まで4種類あるが、平均すると1台当たり12万5000円ほどの補助を受けた計算になる。
1年半ほどの間に337万台ものクルマにエコカー補助金が適用されたのだから、かなり幅広いユーザーが恩恵を受けたといえなくもないが、恩恵を受けていない人のほうが圧倒的に多いのだから、ある意味で困ったものという側面もある。
恩恵を受けたのはこのような時期でも新車を買えるだけの余力がある人で、比較的裕福な人が中心だ。金持ちのユーザーほど、自分で納めた税金を補助金という形で取り戻すことができた。
逆に本当に経済的に厳しい人は、古いクルマに乗っていて25万円の補助金がもらえる状態にある場合でも、安くても100万円くらいの出費になる新車を買うことなどできない状態にある。なので新車ではなく価格の安い中古車を買うとエコカー補助金は受けられない。そうした人も含めて、多くの人が払った税金を、補助金という名前の自動車メーカーの販売促進費として支出することに、どれだけ正当性があったか疑問だ。
エコカー補助金はリーマンショック以降の景気の落ち込みに対応して、緊急経済対策として実施された。景気の回復には裾野の広い自動車産業が元気になることが大切とされ、景気対策というと反対しにくい雰囲気の中で進められた。
でも、エコを看板にするなら、エコの標語である3Rを無視したかのようなエコカー補助金に正義があったのか。1台のクルマを長く使い続けることで自動車の消費量を減らしたり(リデュース)、使ったクルマを中古車として再流通させること(リユース)も立派にエコであるのに、新車に乗り換えたときにだけ補助金が出て、また古い中古車を解体することで補助金の額が増えるという制度はどこかが間違っている。
新車だけでなく中古車市場もいろいろな影響を受けた
補助金による効果で新車の販売が復活し、自動車業界は一息ついた状態にある。でも政府から補助金を受けなければならないような業界はそもそもダメな業界だ。補助金という名のドーピングをしなければ生きて行けないよう企業は退場していくというのが資本主義の基本的なルールであるはずだ。
また今回の補助金は自動車メーカーにとっても良いことづくめではない。補助金によって販売は回復したが、8月の販売が駆け込み需要で前年の2倍近い数字になっていることなどから見ると、10月以降の新車販売の落ち込みは相当に深刻なものになりそうだ。
販売の落ち込みを防ぐためにメーカー各社は販売促進費の支出を迫られるような状況にあり、エコカー補助金があったために余分な対応を迫られることになる。
販売の落ち込みによって工場のラインにも大きな繁閑の差が出ることになる。当然ながら今年になって増やし始めた期間工を、10月以降は再び削減することになるなど、雇用にも影響を与えるようなことになる。
新車の売れ行きに大きな波ができるのと同じように、中古車の売れ行きにも大きな影響が出ている。このところ中古車はずっとマイナス成長が続いているが、これは中古車を買うユーザーの一部が補助金を目当てに新車に流れているためだ。
10月以降は、補助金がなくなるため新車ではな中古車を買う人が増えるものと予想される。でも、新車が売れなくなると中古車の発生が減るので中古車の相場が高めになる可能性がある。
政府がエコカー補助金という政策をとったため、新車も中古車もクルマの市場がいろいろな影響を受けている。なのでエコカー補助金のように市場を歪めるような政策は、本来的にとるべきではないのだ。
今また円高が騒がれているが、これを理由にした景気対策として、エコカー補助金が復活することがないように望みたい。
また今回の補助金は自動車メーカーにとっても良いことづくめではない。補助金によって販売は回復したが、8月の販売が駆け込み需要で前年の2倍近い数字になっていることなどから見ると、10月以降の新車販売の落ち込みは相当に深刻なものになりそうだ。
販売の落ち込みを防ぐためにメーカー各社は販売促進費の支出を迫られるような状況にあり、エコカー補助金があったために余分な対応を迫られることになる。
販売の落ち込みによって工場のラインにも大きな繁閑の差が出ることになる。当然ながら今年になって増やし始めた期間工を、10月以降は再び削減することになるなど、雇用にも影響を与えるようなことになる。
新車の売れ行きに大きな波ができるのと同じように、中古車の売れ行きにも大きな影響が出ている。このところ中古車はずっとマイナス成長が続いているが、これは中古車を買うユーザーの一部が補助金を目当てに新車に流れているためだ。
10月以降は、補助金がなくなるため新車ではな中古車を買う人が増えるものと予想される。でも、新車が売れなくなると中古車の発生が減るので中古車の相場が高めになる可能性がある。
政府がエコカー補助金という政策をとったため、新車も中古車もクルマの市場がいろいろな影響を受けている。なのでエコカー補助金のように市場を歪めるような政策は、本来的にとるべきではないのだ。
今また円高が騒がれているが、これを理由にした景気対策として、エコカー補助金が復活することがないように望みたい。
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(レポート:松下 宏)
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