トヨタハリアー がフルモデルチェンジを受け、国内専用モデルになった3代目モデルが登場した。その経緯についてはガソリン車の項に詳しく書いたので、そちらを参照して欲しい。

新型ハリアーハイブリッドの外観は、見た目はガソリン車とほとんど変わらない。ハイブリッド 車であることを示すエンブレムが装着されているのがわずかな相違点だ。以前はハイブリッド車であることを強調するデザインを採用するのが普通だったが、今ではハイブリッド車が当たり前のクルマになったためか、ハイブリッド車もガソリン車と変わらないデザインとしている。

インテリアは、外観以上に高級感をうまく演出した室内空間が作られている。本物の自然素材ではない部分もあるので微妙だが、高級感の演出というか、見た目の見栄えの良さは高レベルにあるし、ソフトパッドの触感なども合わせて独特の雰囲気が作られている。

内装もハイブリッド車とガソリン車で大きな違いはない。違うのはメーターパネルだ。ガソリン車ではタコメーターがある部分がハイブリッドメーターに変わり、モーターが使われている状態など、走行状態が表示される点が異なっている。

内装の全体的な仕上がりが良いだけに、ナビのスイッチが英字で表示されているのが何とも残念だ。ガソリン車の項でも書いたことだが、日本人としての誇りに欠けたクルマ作りに対しては、ここでもしっかり文句を言っておきたい。

　ハリアーハイブリッドは、カムリ 用と同じ2.5Lエンジン＋THS-IIを採用し、後輪用のモーターを加えて4WD車 に仕上げている。ハイブリッド車の重量は1700kgを超えていてけっこう重いのだが、システムとしての最高出力は145kWを発生する。そのため、多少重いハリアーのボディを引っ張るのに十分な動力性能であり、静かで滑らかな走りもハイブリッド車らしいものだ。

新型ハリアーのハイブリッドシステムは、旧型モデルに設定されていたハイブリッド車と比べたら動力性能は見劣りするが、逆に燃費に優れていて、JC08モードで21.4km/Lを達成している。SUV として考えると、カタログ燃費の水準は相当に良いレベルにある。

　足回りは、全体に乗り心地を重視した柔らかめのチューニングで、アイポイントが高いこともあってコーナーではそれなりにロールを感じるが、日常シーンでの使い方を想定した走りでは、それなりに快適な走りが楽しめる。

今回の試乗では、ハイブリッド車とガソリン車で、18インチタイヤ装着車と17インチ装着車を取り混ぜて試乗したが、空気圧は18インチのほうが低めの設定なので、乗り心地の感覚に大きな違いはなかった。

ただ、18インチタイヤの装着車は、最小回転半径が大きく5.7mに達している。これでは何とも取り回しがしにくい。17インチなら5.4mなのだから、この数値に抑えて欲しいところだ。

新型ハリアーでは、走りの余裕を考えたら、ガソリン車よりハイブリッド車のほうがお勧めだが、問題は価格設定だ。対応するグレード同士で比較すると、ハイブリッドの価格はガソリン車のに対してざっと70万円ほど高くなる。FF車との比較ではさらに20万円ほど差が広がる。この価格差を燃費で取り戻すのは無理だから、経済性を考えたらガソリン車のほうが有利になる。短期の乗り換えで考えると、ハイブリッド車の方がリセールバリューも期待できるなど、どちらを選ぶかが難しいクルマである。

■新型トヨタ ハリアーハイブリッドE-Four（電気式4輪駆動）価格
GRAND 3,610,000円
ELEGANCE 3,670,000円
PREMIUM 　3,920,000円
PREMIUM“Advanced Package” 4,470,000円

定員［人］5人

[ハイブリッドシステム主要諸元]
・エンジン
排気量 (cc) 2,493
最高出力 (kW[PS]/rpm) 112[152]/5,700
最大トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 206[21.0]/4,400〜4,800

・モーター
フロント 最高出力(kW[PS]) 105[143]
最大トルク(N・m[kgf・m]) 270[27.5]
リヤ 最高出力(kW[PS]) 50[68]
最大トルク(N・m[kgf・m]) 139[14.2]

・システム全体 最高出力(kW[PS]) 145[197]