日産 NEW エルグランド 対 トヨタ アルファード/ヴェルファイア比較評価試乗 ROUND1 ファーストインプレッション [CORISM]

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【対決】2012/04/20

オススメのミニバンはどっちだ? トヨタ ヴェルファイア/アルファード、日産エルグランドを評価する

ミニバンが成熟しきったと言える現在の日本。ひと口にミニバンと言っても、さまざまなジャンルが存在するが、その最高峰に位置するのがLLクラスだろう。今やサルーン的な要素も含めて立派な高級車なだけに、モデル数は少ないが、それだけに各メーカーとも大いに力を入れて開発を行っている。その代表格かつ先駆車なのが、日産のエルグランド。そしてそれを追う形で登場してきたトヨタのアルファード/ヴェルファイアだ。開発に滞りがあったこともあり、3代目へのスイッチが遅れていた日産のエルグランドが待望の新型へとスイッチ。迎え撃つトヨタ ヴェルファイアはそのスキに相当優位に立っていたのは事実。そこに対しての新型エルグランドである。相当に熟成を重ね、満を持しての登場だけに対決は興味津々だ。

構成・文/近藤暁史

日産 エルグランド トヨタ ヴェルファイア
日産 エルグランド フロントビュー. トヨタ ヴェルファイア リヤビュー
すべてにおいてキングは大げさじゃない! 今や押しも押されぬ高級ミニバンの代表格
 実質の開発やり直しもあり、3代目へのスイッチが遅れてしまっていた日産のエルグランド。それだけに相当熟成されて登場してきたのは事実で、結果よかったのではないだろうか。まず大きな変更点としてはFF上級乗用車用の基本プラットホームを採用することで、FRを捨てたこと。また低床プラットホームとすることで、先代で気になっていた乗り込む際のよじ登り感はなくなり、違和感なく乗り込めるようになった。パッケージング的にも全高は95mmも低くなったが、室内高自体は高くなっているほど。さらに全幅は35mm拡大されてワイド&ロー化が進められ、見た目の威風堂々感はさらに強調されている。
 もちろんLLクラスミニバンで最大のキーとなるインテリアの高級感も抜かりはまったくなし。木目調パネルをずい所にセンス良く配置するなど、質感はかなり高い。またシートについては、以前CMでファーストクラスとの快適性を謳っていたが、それをさらに昇華。サイズ大ぶりで多層化されたシート内部などもあり、座り心地は文句なしの極上で、装備的にもオットマン(助手席/セカンドキャプテンシート)や肩から上を支えてくれる中折れなど、絶妙にアシストしてくれる。
 そして車内ともども驚いたのが、走りの進化。サイズがサイズだけにふらついたりするのは致し方ないと思っていたが、新型のスタビリティは相当高く、コーナーでふらついたり、ボディ自体がよじれる感じは皆無で、高めのスピードでステアリングを切っていってもじつに自然にスイと曲がってしまうのには驚いた。またエンジンは3.5リッターV6のフィーリングのよさに目がいきがち。今までは確かに2.5リッター直4となると、経済性重視で走りは最低限といった感じが正直していたが、こと新型エルグランドに関してはそんなことはなし。逆にバランスのよさでは2.5リッターのほうが光るといってもいいだろう。

[エコ&燃費]
 2トン越えの車重ながら、10km/L近い燃費を誇るのはCVTの制御も含めた結果の数値だ。しかも実燃費との差があまりないのもトピックスのひとつである。2.5リッターモデルでは11km/Lを越えており、購入時に迷いどころとなるかもしれない。

[安全性能]
 全席に3点式ELR付きシートベルトが標準装備というのは当然のこと。バックル自体も操作しやすいタイプとなっている。横滑りを防止するVDCも全車標準装備。3.5リッターグレードでは最新のインテリジェントクルーズコントロールとインテリジェントブレーキアシストなどがオプションながら豊富に用意されている。

[取材時実測燃費]
8.2km/L

[日産 エルグランド価格帯]
307.65-577.5万円

 トヨタのアルファードが2代目へとスイッチする際に新たに加わったのが、ヴェルファイアだ。トヨタが得意とする販売店違いの兄弟車というだけでなく、フロントまわりを中心にしてそれぞれ専用デザインとしている点に注目で、ファミリーユース向きのアッサリとしたアルファードに対して、ヴェルファイアはスタイル重視のちょっと悪な感じとうまくイメージを分けている。ノア/ヴォクシーのような2トップ体制で、アルファードはトヨペット店。ヴェルファイアはネッツ店での販売となるのだが、購入時は迷いどころとなりそうだ。販売的にはアルファードよりもヴェルファイアのほうが大きく上回っている。
 装備的にはまさにエルグランドと真っ向勝負。とにかく高級感アップに力を入れているのが特徴で、オットマン付きのリラックスキャプテンシートなど、その充実ぶりたるや書ききれないほど。さらにオプションの「エグゼクティブキャプテンシート」を選べば、電動リクライニング&オットマンとなるだけでなく、大型ヘッドレストやフットレストなどでさらにゆったり。その点からすると、やはり8人乗りよりも7人乗りがオススメではある。また全グレードでレスとしつつで、好みでオプションとして選ぶことができるのもフラッグシップらしい点だ。
 エンジンは2.4リッター直4と3.5リッターV6の2本立てで、3.5リッターはエスティマ譲りの280馬力でスペック的には新型エルグランドとまったく同じ。組み合わされるのはそれぞれCVTと6ATなのだが、こちらもエスティマ譲りなのだが、静粛性に磨きをかけ、燃費も20%アップとは驚く。また足まわりも重心の高さゆえにセッティングが重要となるところだが、ロールを押さえて操縦安定性を大幅に向上させるなど、まさにLLサイズミニバンの代表格であり、高級車と言っていい存在感を示している。

[エコ&燃費]
 先代比較で、2.4リッターでは20%も燃費性能をアップ。さらに 3.5リッターも3リッターに対して、排気量をアップしながらも7%燃費性能を向上させているのはさすがのひと言。たとえば2.4リッターでは11.6km/Lとこちらもエルグランドとほぼ同じ。

[安全性能]
 ボディは全方位で衝突安全性を高いレベルで確保するだけでなく、歩行者保護にも配慮。2トン近い重量級だけに、全グレードの全輪を16インチディスクブレーキとし、ブレーキ性能もさらなる煮詰め直しを実施。エンジンパワーだけでなく、ブレーキ、電動パワステとの一体制御を行なうS-VSCも全車に標準装備としている。さらに7つものエアバッグや全席3点式シートベルトの標準採用など、安全性に関しても最先端を行っているといっていいだろう。

[取材時実測燃費]
7.2km/L

[トヨタ ヴェルファイア価格帯]
300.0-450.0万円

スペック表

代表グレード 日産 エルグランド 350ハイウェイスター(7人乗り)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4915×1850×1815mm
車両重量[kg] 2000kg
総排気量[cc] 3498cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 206ps(280kW)/6400rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 35.1kg-m(344N・m)/4400rpm
ミッション CVT
10・15モード燃費[km/l] 9.8km/l
定員[人] 7人
税込価格[万円] 385.35万円
発売日 2010/8/4
スペック表

代表グレード トヨタ ヴェルファイア3.5Z(7人乗り)
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) 4685×1840×1900mm
車両重量[kg] 1950kg
総排気量[cc] 3456cc
最高出力[ps(kw)/rpm] 206ps(280kW)/6200rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm] 35.1kg-m(344N・m)/4700rpm
ミッション 6AT
10・15モード燃費[km/l] 9.5km/l
定員[人] 7人
税込価格[万円] 393.0万円
発売日 2008/5/12
日産 エルグランド コクピット

ウッドパネルを多用したコクピット。メーターは自発光式のファインビジョンメーター。純正ナビには全方位をモニターでできるアラウンドビューモニター付き。
日産 エルグランド シフトノブ

全車に6速マニュアルモード付きのCVT(無段変速)を採用。運転状況や走行環境を検知しながら最適な変速制御を行い、エンジンのポテンシャルを最大限引き出す。
日産 エルグランド セカンドシート

7人乗り仕様は2列目がキャプテンシートに。オットマンに加え、シートバックには中折れ機構も採用。
日産 エルグランド サードシート

3列目でも広さは十分。大型アームレストも装備しているので快適。長時間座っても疲れは少ないはず。
日産 エルグランド 荷室大

3列目シートはワンタッチ電動格納&復帰機構を装備。荷室のアレンジは極めて簡単。床下には収納スペースあり。
日産 エルグランド タイヤ

18インチアルミ&タイヤはハイウェイスター系の標準装備。ベーシックな250XGのみ16インチ。
トヨタ ヴェルファイア コクピット

オプティトロンメーターやエコドライブインジケーターを装備。エアコンは前席左右・前後独立温度コントロール式となるなど、高級車と呼ぶにふさわしい装備内容。
トヨタ ヴェルファイア シフトノブ

3.5lは6AT、2.4lには7速マニュアルモード付きのCVTを搭載。コーナー手前で変速制御を自動で行ってくれる、純正ナビとの協調制御も売りのひとつだ。
トヨタ ヴェルファイア セカンドシート

7人乗りのリラックスキャプテンシートは、ロングスライド機構でゆったりくつろぐことができる。
トヨタ ヴェルファイア サードシート

3列目シートは左右分割式の跳ね上げ式。2列目ほどの快適性は望めないが。申し分のない実用性を備える。
トヨタ ヴェルファイア 荷室大

荷室スペースはエルグランドに比べて左右方向で劣るが、高さ方向にはゆとりがある。シート格納はやや面倒。
トヨタ ヴェルファイア タイヤ

グレードによって16、17、18インチアルミが標準装備になっている。

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(レポート:CORISM編集部

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