■もっともスピンドルグリルが似合うレクサスがNX! デザイナーこだわりのデザインを実現したレクサスの生産技術も高評価!
世界的に活況を呈しているコンパクトSUV に、レクサスは新型NX を投入した。新型レクサスNXは、昨年の東京モーターショー で展示されたLF-NXの市販モデルである。
レクサスNXの試乗会場は、緑が美しい夏の軽井沢で開催された。美しい森林に囲まれたレクサスNXは、写真でみるより遥かにカッコイイ。ただ、レクサスが「スピンドルグリル」と呼ぶ、大きく口を開けたフロントスタイルは強そうで好きになれなかった。
しかし、レクサスNX の実車を見ると、どのレクサスモデルよりも「スピンドルグリル」が奇麗にスタイルに溶け込んでいる。イケメン? であるフロントばかりが目に付くが、リヤフェンダーのボリュームある複雑な造形もイイ。この複雑な造形を可能としたレクサスの生産技術もさすがだ。
LEDリヤコンビネーションランプも凝った作りで、夜間に点灯した状態で見たかった。NXの拘ったデザインは、デザイナーの主張が見えて、好き嫌いは別として好感が持てる。
レクサスNXのインテリアは、他のレクサスと同じセンターフレームを協調したスポーティ感のあるデザイン。質感は高く、コストをかけた上質な仕上げで、ステッチの色の使い方もオシャレである。ドライバー正面のメーターには、最初は気が付かなかったが4.2インチTFTカラーディスプレイが採用されていて、スイッチによりナビゲーション、オーディオなど色々な情報が表示出来る。
■快適な乗り心地を保ちながら、スポーティな走りを披露するNX300h。ハイブリッドのネガティブ要素は感じない!
最初の試乗は、トップモデルあるレクサスNX300h”F SPORT”(AWD)。NXは2WD(FF)、AWD の2種類の駆動方式を選択できる。2.5L直列4気筒アトキンソンサイクルエンジン(最高出力112kw(152PS)/5,700rpm、最大トルク206N・m(21.0kg-m)/4,400-4,800rpm)に、FFモデルはフロントモーター(143PS)のみ、AWDモデルはリヤモーター(68PS)を組み合わせて電気式AWDシステムを構成している。
ひとクラス上となるレクサスRX350hのような「速いハイブリッド 」を想像していたが、ある意味常識的なハイブリッド車だった。バッテリーに十分な電気があれば、EV 走行により静かで滑らかにスタート、アクセルを強く踏み込むとエンジンが始動し加速力が強まる。走行中のエンジンのストップ、再始動、そしてブレーキの違和感もなく、「ハイブリッド車だから」のデメリットは感じない。
レクサスNXの乗り心地も良い。試乗車は、辛口スポーツモデルの”F SPORT”であったが、荒れた路面でもしなやかな乗り心地である。一方、車高の高い割にロールは少なく、ハンドルに対して忠実に車が動くので、運転を楽しめる。最終的にはアンダーステアが顔を出すが、そこに至るまでは穏やかな特性であり乗り易い。
乗り心地が好印象だった理由の一つとして、シートが良い。やや小振りで、サイドサポートが張り出しは強いスポーツシートであるが、身体にフィットし長時間のドライブでも疲れが少ない。さらに、試乗車の本革シートには、ベンチレーション機能が付いていて涼しい風がシートから吹き出し、暑い日でも快適であり、NXを買うなら絶対に欲しい装備である。
■パワフルな直噴ターボを搭載するNX200t。ハンドリング性能を含め、欧州ライバルと肩を並べるパフォーマンス!
次に試乗したのがレクサスNX200t”F SPORT”(AWD)。高熱効率・低燃費を目指した新開発の8AR-FTS型2.0L直噴ターボエンジンは最大出力175kW(238PS)/4,800-5,600rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1,650-4,000rpmを発生。同じく新開発の6速ATを組み合わせている。スタートした瞬間から開発陣が狙った「単に効率を追求しただけでなく低速からの分厚いトルク、ワイドトルクバンドを狙ったレスポンスの良いエンジン」を実感した。
アクセル開度に応じて、欲しい時に欲しい分だけ、充分なトルクが出てくる。またレスポンスが良いので市街地でも運転が楽である。さらに峠道や高速道路では、NX300hより厚いトルクがモリモリと出てくるので運転が楽しい。運転が楽しいからついスピードを出しがちになるが、サスペンションやステアリングがしっかりとハイスピードを受け止めてくれる。この感覚は、従来の日本車に無かったものであり、NXはヨーロッパ車と肩を並べられる車である。
私は従来、レクサス・ブランドの車は「高価なトヨタ 車」としか思えなかった。しかし、今回試乗したレクサスNXは、スタイル、質感、そして満足感が高くなり、ブランド力が高まったモデルで誰にでもお薦め出来る。
一方、改善して欲しいのは、衝突安全被害軽減ブレーキやクリアランスソナー、ヘッドアップディスプレイ、パワーバックドアなどの高級車には標準装備であるべきモノがオプションになっている事である。
レクサスNXは、500万円をオーバーする車両価格なのに、目先の価格を抑えようとする意図は、高級ブランドではない。特にカタログでは「統合安全コンセプト」と、安全に対するレクサスの姿勢を謳っているのに最高級グレードでも安全装備の一部がオプションとは可笑しいと思う。
また、モニターが7インチと標準的で、レクサスなら10インチ以上であるべきである。せっかく、車が上質になってきているのに細かの所にケチっているのが目に見えてしまい、とても残念である。
もし、私がNXを購入するならNX200t(AWD)を選択する。200tを選んだ理由はエンジンが気持ち良く、燃費がハイブリッドモデルより悪くても70万近く安いからだ。この価格差を埋めるには、かなり走行距離を延ばさないと元が取れない。予算に余裕があるならグレードは”F SPORT”を選びたい。理由はズバリ、カッコイイからである。カッコイイからレクサスに乗る。だから”F SPORT”なのだ。
■レクサスNX価格、燃費、スペックなど
■レクサスNX200t価格
・NX200t 2WD 4,280,000円 4WD 4,540,000円
・NX200t versionL 2WD 4,920,000円 4WD 5,180,000円
・NX200t F SPORT 2WD 4,920,000円 4WD 5,180,000円
・NX200t l package 2WD 4,420,000円 4WD 4,680,000円
■レクサスNX300h価格
・NX300h 2WD 4,920,000円 4WD 5,180,000円
・NX300h versionL 2WD 5,560,000円 4WD 5,820,000円
・NX300h F SPORT 2WD 5,560,000円 4WD 5,820,000円
・NX300h l package 2WD 5,060,000円円 4WD 5,320,000円
代表グレード | レクサスNX300h F SPORT AWD(NX200t F SPORT AWD) |
---|---|
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高) | 4,630×1,845×1,645mm |
ホイールベース[mm] | 2,660mm |
トレッド前/後[mm] | 1,570/1,570mm |
車両重量[kg] | 1,850(1,800)kg |
総排気量[cc] | 2,493(1,998)cc |
エンジン最高出力[kW/rpm] | 112/5,700(175/4,800-5,600)rpm |
エンジン最大トルク[N・m/rpm] | 206/4,400-4,800(350/1,650-4,000)rpm |
フロントモーター | 最高出力105kw 最大トルク270Nm |
リヤモーター | 最高出力50kw 最大トルク139Nm |
ミッション | 6速AT(電気式無段変速機) |
JC08モード燃費(㎞/L) | 19.8(12.4)㎞/L |
定員[人] | 5人 |
税込価格[円] | 5,820,000(5,180,000)円 |
発売日 | 2014年7月29日 |
レポート | 編集部 |
写真 | 編集部 |
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